『愛憎塗れで、ここを連れ出して』
(キャラ)上鳴電気、片桐・且元、尾田純
「夢…じゃねぇのかよ!」
驚きの声が、そこには響いた。
真夜中0時を指していると言うのに、電気のつく渋谷の商業ビル。
そこの家具量販店のソファで、少年にしてヒーロー、上鳴電気は目を覚ました。
「落ち着け…落ち着け俺…こういう時こそ冷静になれって先生も言ってたろ…とりあえず…」
自己暗示をかけるように、上鳴は周囲を見渡す。
「確か…あった!」
見つけたのは、テーブルに置かれていたディパックだ。
すぐさま駆け寄り中を漁る。
「確か…スマホと…ルールブックと…あれ…?」
上鳴は順調に物をどんどんと取り出していく。
だが同時に違和感も襲う、おかしい、無い。
「おい…ちょっと待てよ!俺の支給品は!?」
そう、本来支給されるべき支給品が無いのだ。
これには頑張って冷静を保っていた上鳴も、焦りを再び再発するほかなかった。
「無い…何処にも…つまり…」
流石に殺し合いが円滑になる道具を、運営が渡さないということはないだろう。
この建物の物を使えともとれる現状だが、それ以上に高いのは。
「盗まれたんだよなぁ…クソ~!」
今の上鳴はヒーロースーツ姿だが、発明に開発してもらった専用ポインターもなく、自分の個性による放電か、訓練で多少は得ることのできた体術ぐらいしか戦うすべはない。
「とりあえず、バック持って…トホホ…早速ふんだりけったりだよ…」
そんなことをぼやきながら、家具屋の入り口を通り抜けた次の瞬間だった。
「―――ごめんなさい」
「は?」
次の瞬間、上鳴に衝撃が走った。
◆
―――殺し合い
―――やらなきゃ殺される
―――やらなきゃ帰れない
ただの思考に、華奢な少年、片桐・且元は囚われていた。
未来の惨劇を止めるため、自分は母や父と敵対してでも止める道を選んだ。
そんな矢先だ、この"授業"を名乗る殺し合いに巻き込まれた。
情報もなく、他の面々もいるかわからない。
支給されたのはスタンガン一本。
(これで…やれるしかないんですね…)
そう、歪んだ覚悟で気を引き締める。
自分には術式「百文検知」があるが、それ以上に使い道があるのは母譲りの耳の良さだろう。
ビル内の音をかき分け、一つの物音も聞き逃さない。
神経を研ぎ澄ませ、ついに声を掴んだ。
見つけたのは一人の男、自分と同じくらいの金髪の少年。
(こんな姿…みんなにも…母さんにも見られたくない…けど…)
今の自分を見たら、十本槍も、母の鈴も、みんな自分を軽蔑するかもしれない。
―――それでも、やらなくちゃ。
スタンガンで気絶させて、その後撲殺絞殺だの好きな方法でやればいい。
そしてそのスタンガンが見事に決まった…はずだった。
「い、いやぁ~ほんと俺この個性で良かったわ…全然ハズレじゃなかったわ~…」
「は?」
男は苦虫を噛み潰した顔をしながらも、ピンピンしている。
これには片桐も驚きを隠せなかった。
「なんで効かな…うっ!」
「悪いけど…一回制圧!」
そして次の瞬間、上鳴は片桐のスタンガンを蹴飛ばすと、手と足を押さえ付け、覆いかぶさるように彼を拘束した。
「は、離し…」
「一回落ち着けって!なっ!こんなことしてもなんの意味ないし!」
上鳴は何とか説得しようとするも、片桐は暴れ続ける。
「無理ですよ…!ここは隔離された監獄のようなもの…そんなとこから、この殺し合いどう止めるんですか!」
「そりゃあわかんねぇけどよ…!それでも…!」
―――あぁ、俺は知ってる、ここできっぱりヒーローなら助けると言い切れる奴を。
―――無鉄砲なのか、ちゃんと考えてるのか分かんねぇけど、誰にでも手を差し伸べて、必ず助けに来る、最高のヒーロー(オールマイト)にそっくりなやつを。
―――でも、俺にはそこまでの自信はない、それでも―――
「俺、ヒーローだからよ!必ず逃げ出せるなりなんなりな方法、見つけてやるから!」
そう、何処か下手くそな笑みでそういった。
「…あ」
片桐はその顔に、何処か見覚えがあった。
――知っている、僕はこの顔を。
――聖連の記録や、母の話から何度も聞いた、その顔を。
――馬鹿だけど、同時に何処までも信頼された、父、葵・トーリの笑顔に、完璧では無いが、何処か似ていた。
「僕は…なんてことを…」
「とにかく、襲ったのか俺でよかったよ、とりあえずここから離れて…」
「それは困るなぁ」
「「!」」
その場を後にしようとした2人に、後ろから声が掛かる。
そこにいたのは、後ろ髪を伸ばした、何処か古臭い格好をした男。
「な、なんだおっさん…あっ!こいつに襲われたとかなんかか!そしたら…」
「違うんだよなぁ」
その男は淡々と二人にそう告げる。
「俺が君たちにしてほしいのはただ一つ」
不気味なほど、静かな空間が広がる。
そして、男から懐から取り出したのは。
「死んでくれねぇか、なぁ」
拳銃だった。
「「ッ!」」
取り出した瞬間、二人の脳内に一気に危険信号が流れる。
そしてそれと同時、鉛が早速一発放たれた。
「わっ!」
「っぶねぇ!」
上鳴は片桐を後ろに押し、バックステップでその鉛を避ける。
「弾は一つじゃないさ」
「ッ!逃げるぞ!」
「は、はい!」
そして、もう一発の銃弾を合図と言わんばかりに、二人は間近の止まったエスカレーターに飛び乗る。
「降りるより…これが早い!」
「わっ!」
上鳴が瞬時に判断し、取った行動は、なんとお姫様抱っこ。
「うわ軽!ていうか君男!?女!?」
「男ですよ!」
「あんまりふざけないでくれよ」
二人の騒ぎを諌めんとばかりに、三発目の弾丸が撃ち込まれる。
そして追撃するため、男がエスカレーターに足をかけたと同時だった。
「やりぃ!」
「うおっ!」
上鳴がエスカレーターに手を当てたと同時、光るように、電気が迸った。
上鳴電気、個性「帯電」
あらゆる電気を受け止めることができ、それを放つことができる。
当然、こうやって通電性のあるのものに当てれば、相手を遠隔で麻痺らせることだってできる。
そして、一瞬だったとは言え、男にはかなりの電流が走った。
「こっから走るぞ!」
「はいっ!」
そしで二人は一気に出口まで駆け抜けた。
◆
「よしこっからは…ん…あれは…!?」
外に出た二人、早速逃げようとしたが、上鳴があるものを目につける。
「これは…バイクか…?」
「旧時代の遺物…ですか?」
「君どんな未来人なの?」
銀色のバイクが、そこには置かれていた。
前には黄色のバイザーのようなものがついた、銀色のバイク。
片桐の認識の差にツッコミを入れながらも、上鳴は笑みを浮かべる。
「ワンちゃんこれに乗れば!俺運転分かんねぇけど…!」
「ちょっと!それ大丈夫なんですか!」
「いろいろまずいけど…四の五も言ってられないってやつだよねぇこれ!」
そう言うと、上鳴は片桐の手を引き、バイクへと向かって走り出した。
「よし!届い…」
「させねぇよ」
「ッ!」
上鳴がバイクに手をかけたと同時だった。
男の放った鉛が、片桐の左足を抉ったのは。
「うっ!」
「おい!大丈夫か!」
「甘いなぁ…逃げればいいのに…」
「ッ!おっさん…あんた…」
「そう怒るなよヒーロー…かっこいい顔が台無しだぜ?」
怒る上鳴を煽るように、男は嘲れながら二人に話す。
「だったら!なら…」
「おっと動くなよ、動いたらそいつの命はない」
放電をしようとする上鳴より先に、男は片桐に銃口を向けた。
「くっ…」
「まぁ俺も色々あんだけだよ…」
淡々と語りながら、男は銃口を離さない。
「とりあえず、油断してくれたお前から殺すか」
「お前…!」
上鳴は男を睨むが、状況は変わらない。
「まぁ…死んでくれよ、俺のヒーローを俺のためにするために」
そう言い、鉛を放ったのと同時だった。
ガキン!と、鉛が弾かれる音が響く。
「は…?おいおい…嘘だろ…!」
「え…?」
「は…?な、なんでだ…!?どうして…」
そこにいる3人全員が、驚きの顔を隠せなかった。
何故なら、2人が乗る予定だったバイクは。
「ロボットになってんだよ!?」
立派な等身大の人型ロボットに姿を変えていたからだ。
「どんな技術か知らないけど…こいつで…!」
男は拳銃を乱射する、だが、鉄の身体には、それが一切通用しない。
「マジかよ…ッ!こっちに!」
男の攻撃が止むと、ロボットは急加速、男との間合いを一気に詰める。
「避けられ…ぐおっ!」
そして男は避けきれず、ひき逃げされるようにタックルを受ける。
断末魔と共に、男は吹き飛ばされ、なんとそのまま身体をゴミ箱に入れてしまった。
「…」
「な、なんだよ…うわっ!」
そのロボットは2人のもとに近づくと、再びバイクモードに変形、乗れ、と言わんばかりにライトをカチカチと反応させる。
「と、とにかく乗ろう!」
「は、はい…」
上鳴は片桐をおぶり、バイクへとまたがる。
バイクはすぐさま道路に出ると、夜の渋谷へその煙を蒸していった。
片桐の足を癒せる場所を探すため。
【上鳴電気@僕のヒーローアカデミア】
[状態]:疲労(小)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×0~2、オートバジン@仮面ライダー555
[思考]
基本思考:なんとかこの殺し合いを解決する
1:こいつ(片桐)をなんとかしないと…!
2:あのおっさんはやべぇ…!
3:A組の皆やプロヒーローはいるか…?
【片桐・且元@境界線上のホライゾン】
[状態]:疲労(小)、左足に銃槍
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~3
[思考]
基本思考:とにかく生き残る
1:とにかくこの人(上鳴)についていく、足を治す
2:ほかの皆さんは…
◆
一方、吹き飛ばされた男、尾田純は、なんとかゴミ箱からその身を抜け出していた。
「クソッ…あの二人には逃げられちまったか…!」
尾田は舌打ちし、その身なりを整える。
「追うにはしては時間は掛かる…とりあえず銃をリロードして…そして…」
尾田は月を仰ぐ。
自分の理想は汚れている、自分を拾ったヒーローの妹を殺してまで、自分のヒーローと居場所を守ろうとする。
それがそのヒーローを裏切ることになろうとだ。
「あぁ、わかってる…俺は…俺は何処まで行っても…立華さんの為に…」
腕に入れた蝙蝠の刺繍が、何処か不気味に見える。
この男の歪んだ物語は、未だ終わらない。
【尾田純@龍が如く0 誓いの場所】
[状態]:疲労(小)、ダメージ(中)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×0~1、拳銃@現実 拳銃のマガジン×3@現実
[思考]
基本思考:願いを叶える
1:俺は立華さんのために…
2:桐生も…マキムラも…渋澤も…当然立華さんも…いないでくれよ…
最終更新:2026年07月08日 23:32