Sadistic Rubber 56
ある夜の出来事
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sadisticrubber56
1
久しぶりに見つけて立ち寄った島には幸い大きな街があった。
ログが半日ほどでたまったので、食料を補給した船は夜明けを待って出航する予定だ。
「なぁあゾロ?」
真夜中、見張り台でうとうとしていたゾロにルフィが近付き、声をかけた。
「うわあ、何だよいきなり」
「俺ぇー、ちょっと出かけてくる」
麦わら帽子を少し目深にして、ルフィが言うと、ゾロは意味深にニヤリと笑った。
「…俺はお留守番かよ。しゃあねえ船長だな」
「お宝、、、持ってくるからそう拗ねるなって」
「ああ、頼んだぜ」
ルフィは見張り台から港の建物に手を伸ばし、あっという間に街へ飛び出していった。
2
「お宝、お宝…んぁー、お!すっげぇえええの見つけた!」
酒場の目抜き通りを歩いていたルフィが目を輝かせた。
視線の先には、、、女が一人。
しかも極上。
そう、ルフィは久しぶりの島での停泊の短さに我慢が出来ず、お宝、つまり女を探していたのだった。
「…なあ」
朗らかな、誰もがつられて陽気になる笑顔で、ルフィは女に声をかけた。
「はい?」
ルフィに声をかけられた女は、酒場に似合わない少年を見て、明るく返した。
そしてルフィがなおも朗らかに続ける。
「俺、ルフィ。海賊だ。お前、今晩俺のオンナになれ」
「え」
一瞬フリーズした女はすぐまたもとの笑顔に戻り、やだぁ、冗談おもしろい、と笑った。
ルフィも一緒になって高らかに笑った。
周りで飲んでいた男たちも、少年の無邪気な告白に、大いに沸いた。
が。
「!」
一瞬の出来事だった。
女の長い黒髪が、酔っ払いの男たちの視線をかすめ、少年と女が頭上に消えた。
ルフィが、女を抱きかかえ、屋根へと飛んだのである。
屋根から屋根へと飛び移りながらルフィは、驚きのあまり声の出ない女に低い声でゆっくり話しかけた。
「悪いな。でも俺海賊だから。お前どうしても欲しいんだ」
そう言われて、オンナになれという言葉を思い出した女の顔色は一気に青ざめた。
To be Continued