第二十一話 大切なもの、大切な時間
──バキッ
乾いた音が響き渡り、喪失感が身を襲う。
どこかで、消えていった。
震える魂と、朽ちていく鼓動。
永遠などないと、物語っている。
『ごめんね・・・』
◇橋◇
桜「うぁぁ・・・・・・・・・・・」
ひざが震える。
顔を背けたくなる。
でも、それは現実から逃げることになるから。
花城「っ・・・・・」
さゆり「そ・・・・・そんな・・・・・」
その場にへたり込んでしまった。
あまりに唐突すぎて、受け入れられない。
茨『貴様ぁぁ・・・・・・』
雛菊『茨・・・・・』
茨『っち・・・』
もう、見る影も無い。
椿月「あっけない終わり方です。 もっと、張り合いがあるかと思ったのに」
さっきの狙撃銃を撃った女性があざ笑うかのように雪鎖を見下している。
その視線からは、『無様だな』というようなものさえ読み取れる。
??「黙れよ、馬鹿が」
その時、後ろの方から声が響いた。
さらに──
??「ふざけてんじゃねぇ!馬鹿野朗がぁぁ!!」
──ドォンッ
椿月「っぐぅ!!」
眼にも留まらぬ速さで女性の後ろに移動し、背中に回し蹴りを当てていた。
桜「ふぇ・・・・」
あまりに突然すぎて、間抜けな声が出てしまう。
??「おいおい、この程度かよっ!」
さらに、続けて腹部への<硬突き>。
おそらく、高速型の能力者だろう。
椿月「だ・・・れ・・・だぁ・・・・」
??「名乗るかよ、馬鹿」
あれは、もしかして・・・
◇砂浜◇
月夢「はぁ・・・・はぁ・・・・はぁ・・・・はぁ・・・・」
あれからおよそ、10分。
月夢は、全ての敵機を撃墜し、ひざを突いて呼吸を荒くしていた。
その隣には、眞之が眠っている。
光李「月夢・・・」
あの能力は、何なんだ・・・。
<ライトサボタージュ>。
内部破壊に特化した打撃術、といったところか。
真「眞之、眞之!」
ゆら「ノックを一撃で・・・」
こいつの能力は、<治癒魔法>と<星使い>のはず・・・。
なぜ、近接戦闘型の攻撃が・・・。
月夢「<デスボディ>」
光李「なっ!?」
アンデット・・・・黒魔法だと?
多重能力・・・だと・・・
こいつ、何者なんだ・・・。
小雨「会長、あれは・・・」
光李「ああ、妙だな・・・」
青魔法、空魔法、打撲術、黒魔法・・・。
4つの能力を司る多重能力・・・。
2つでも珍しいってのに・・・。
光李「パーソナルリート・・・・か」
◇学園◇
白虚「空が綺麗だよ」
雨針「そうだね」
寂弥「綺麗だね」
屋上から見える星空は、ため息をつきたくなるほどに綺麗で、
今起きていることなんて、まるで夢なんじゃないかと思えてくる。
白虚「久しぶりの再開が、こんな状況だなんてな」
雨針「そうよね。もっと、ゆっくり話でもしたかったね」
雨針は、寝転んだままで
こちらに見やる。
白虚「ん?」
雨針「ほんと、大人になったね」
雨針のむこうで、寂弥が笑っているのがわかる。
白虚「何がおかしいのよ」
寂弥「んー? べっつにー」
明らかに、この状況を楽しんでいるのが分かる。
まあ、こいつも笑えるようになってよかったと思う。
白虚「なにが、べっつにー、よ。明らかに面白がってるじゃない」
雨針「ふふふ」
寂弥「あはは」
二人して笑っている。
こんな時間が、とても大切なんだと思う。
白虚「ぷっ、ぷふふ、あはははは!」
ついつい、つられて笑ってしまう。
雨針「あははは」
雨針と、
寂弥「あははははは」
寂弥と、
白虚「あははははは」
私と。
こんな時間が、ずっと続いたらいいな、と、思う。
最終更新:2012年02月22日 21:09