さもり帝国真理省とは、帝国における言論活動を牛耳っている機関である。
さもり帝国の歴史を美化することを目的として作られた機関であり、
帝国内のあらゆる出版物、報道は真理省の支配下に置かれている。
言論統制を行い、帝国にとって不都合な真実は全て「なかったこと」にし、
反逆者には容赦のない制裁を加える恐ろしい組織である。
さもり帝国内に存在する学校で使われる教科書は全て真理省の検閲を受けており、
若きさもりたちは一種の洗脳教育を施されているのである。
しかし、善良なる帝国民たちはそのことに気づくことすらないのであった。
さもり帝国はその建国以来、徹底した平和主義を貫いており、他国への侵略は一度たりとも行っていない。
(『さもり帝国の歴史 小学6年生用』)
さもり帝国ができたころ、その国土はとても小さなものでした。しかしさもりはたいへん進んだ文化を持っており、周辺の多くの国々がその高度な文化にあこがれてさもり帝国に加わりました。この文化の繁栄と国土の拡大の時代を、さもり文化時代といいます。
(『さもり帝国の歴史 小学5年生用』)
上記は帝国の初等教育で使われている歴史の教科書の一部を抜粋したものであるが、
事実とは大きく異なっている。
このような状況に疑問を抱き、真理相、および帝国上層部を断罪すべく立ち上がり、
内部告発を試みた人物がいた。
以下が彼の主張である。
さもり帝国真理省の仕事は歴史を美化することにあり、帝国内のあらゆる出版物、報道は真理省の支配下に置かれている。帝国は他国を侵略していないことになっているが、建国以来帝国が他国を侵略しなかった年はなく、帝国はその領域を広げつつある。
(『亡国からの叫び さもり帝国告発の書』)
ところが……
書籍の発行から3日後、著者の大鍬道明は自宅付近の川で死体となって発見され、
翌日には書籍が「著者の死亡」を理由として発行停止とされた。
当件に関し質問を受けた真理相砂網星林は
国家は無関係であるとし次のように語る。
「暖季の先には冬が待っているものだ。」
しかし、今となってはそのような事件があったという事実さえも、確認できなくなっている。
当時の新聞、雑誌を確認していただきたい。
いや…そのような事件は存在しなかったのである。
このことについて
主婦さもは次のように発言している。
「事件?違いますね、あれは単なる1人のオークの小さな事故です。個人の事故など歴史に残す必要はありません。残らないのが当然なのです。」
全ては闇に葬り去られた。
さもり帝国とは実に恐ろしい国家なのである。
最終更新:2016年10月17日 21:18