ニギメダナ-壹話『散羅紙』


  当時ピカピカの上等学校一年生だった私の目の前には
薔薇色のスクールライフへの扉が無数に開かれていた。
  入学式などを終え、私は同好会選びをしなければいけなくなった。
中等学校時代は一応、陸上部に入っていたが私はほとんど活動に行かず幽霊部員と化していた。
運動が苦手な私のことであるから当然である。しかし私はピカピカの上等学校一年生。
何もかもが輝いて見え、どの同好会に入っても楽しい生活が送れるような気がしていた。
  そして私が選び取ったのは!

              ◆
  研究会と銘打っているものの、実際は生物好きの集まりであった。
私も幼少期から様々な生物と触れあってきたため、虫や魚などは好きであった。
そのため、最初の方は苦なく通うことが出来た。良き先輩達にも恵まれ、友人も出来た。
  しかし通っているうちに私は気付いた。周りの人間達が私を遙かに凌駕する生物知識を
持っていたということを。そして日に日にかようのが苦痛になっていった。
同輩達は超高度な生物話をしていて私が横から入ることが出来ない。
先輩達が指示することも超高度な生物用語を使っているので理解できない。
  このような生物オタク達に圧倒され、ついに私は同好会へ通わなくなってしまった。
  学生寮内を放浪していた私はある日、妙なチラシを見つけた。

 何なんだ、この妙に力の入った文字は・・・。“海苔の健男子”って何だよ・・・。
卯月廿日・・・何時に集合なのだ・・・。時間が書いていない・・・。
そのように思いながらも私はそのチラシに惹かれ、廿日に講堂前へ集まった。
幸い、廿日は恵曜日だったので授業が休みなのである。
時間が書いていなかったので一応、朝八時に講堂前へ行った。
そして四時間待った。


用語
  • 廿日・・・二十日、20日。
  • 恵曜日・・・七曜の一つ。恵曜日は週の始めであり、休みの日となる。
  • 七曜・・・一週間の各日の呼び名、七つの曜日。週の始めから
    恵曜日、大曜日、毘曜日、弁曜日、福曜日、寿曜日、布曜日となる。
    由来は南真教における七福神。

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最終更新:2011年04月08日 20:54