30-39「ほのぼの」と「寝顔」」

今日はこの間久しぶりに会ったキョンが僕の家へ勉強を教えてもらいに来ている。
なんでもSOS団にいるならば学力は結構無ければならないらしい。
普段は涼宮さんに教わっていたらしいが、
こういう時に僕を頼ってくれると心の底から嬉しい気持ちが湧いてくる。
もちろん彼の事だから他意は無いのだろうが。本当に君って奴は・・・だよ。キョン。

ふと気付くとシャープペンシルの音が止まっている。
「キョン、寝たのかい?」
・・・。返事はない。本当に寝たみたいだ。
「全く・・・何のために僕が来たんだか・・・。
僕は別に不満ではないのだけれど、君は大丈夫なのかい?」
確認のために顔を覗き込んでみる。案の定、彼はスースーと寝息を立てて眠っている。
こういう時の男の子の寝顔は─キョンの物だからかも知れないが─・・・本当に興味深い。
気付いたら、無意識の内に彼の髪へ指を通して梳いていた。
思ったよりもサラサラしている。心がすごく落ち着く。
「ずっとこうしていたい気分だよ、キョン」
こんな時の僕の顔はどうなっているんだろう。
今、ここで寝ているキョンのような幸せな顔をしているのだろうか。そう考えると恥ずかしくなる。
僕も一眠りしようかな・・・。眠くなってきたし・・・─

「うぅ・・・ん」
あれ?何で俺は寝てるんだ。あ・・・っと、しまったな。
自分で佐々木を呼んでおいて寝てしまうなんて、本当いいご身分だな。
佐々木は目の前でスゥスゥ寝息を立てて眠っている。
「すまねぇな。寝ちまって・・・」
さて、残った分を一気に終わらせるか。頑張ろう。

僕が起きるとキョンは既に起きていたようで、なんと残りの課題はすべて終わっていた。
僕は一時間ほど寝ていたようだ。
「一時間でこれだけの量を終わらせるなんて、珍しく頑張ったんだね。キョン」
と少し意地悪く言うと、
「む、それは心外だぞ。佐々木」
なんて真面目に怒るもんだから僕も少し驚いたけれど
「くっくっ・・・冗談だよ、君を傷つけたのなら誤るよ。キョン、すまなかった」
と謝ると柔らかい口調に戻り、
「なんだ、冗談か・・・。佐々木が言うと冗談に聞こえないんだ。怒って悪かった」
とバツの悪そうに謝る。驚くほどに君は素直だよ。
「さてと・・・そろそろ帰るかな。
今日は手伝ってくれてありがとうな、佐々木。おかげで随分消化できたよ」
「最後の一時間は君だけで頑張ったんだ。僕はあんまりお役に立てなかったね」
「いやいや、そんな事はないぞ、佐々木。お前の寝顔も助けになった」
「・・・見たのかい?・・・全く君って奴は・・・本当に・・・」
「つい、な。わるい、佐々木」
僕も人の事は言えないが・・・。
しかし、こういう事を平気で言ってのけるのもやはり君だね、キョン。
「くっくっ・・・まあ、今日の所は君の頑張りに免じて許してあげよう」
「じゃあな。今日は助かったよ、佐々木」
「ああ、僕の力が必要なときはいつでも呼んでくれ。快く引き受けよう」
「そうか。また近い内に勉強やら何やらで呼ぶかもな。
・・・・・・ああ、良かったら息抜きに今度2人で遊びに行くか。もちろん俺の奢りで」
「君からそんな誘いを受けるとは想定外だった。くっくっ・・・驚いたよ、キョン。
だが、折角の誘いだ。喜んで行かせてもらおうかな」
「そうか、それはよかった。まあ一応予定が取れ次第、佐々木の都合を確認するから」
「くっくっ・・・そうだね。あのSOS団だからね・・・。では、キョン、また今度」
「ああ、また今度な」

キョンが帰った後、私は小さくガッツポーズをする。
と同時に、寝顔を見られたと言うことが無性に恥ずかしく感じられ、少し赤面する。
「こんなほのぼのとした時間もいいのかもしれないな」
そういって、私は想いを馳せるのだ。

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最終更新:2008年02月28日 22:13
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