春休みの団活。一年ぶりに佐々木に会った。
「君の友人達に挨拶させてもらって良いかな?」
「別にかまわないぞ」
「キョン!毎回遅れてくるなんて良い度胸ね―。今日は鶴屋さん達も来ているのよ。しっかりしなさい
ところで、それ、誰?」そうだった。今日は鶴屋さんと谷口と国木田がいるんだ。
「こいつは佐々木と言って俺の中学時代の」
「恋人」
佐々木は俺に向かって話す。
「といっても元だが。僕を振った男が今何しているか知りたくてね。くつくつ」
周囲から恋人と見られていたから、必ずしも間違いではないと思うが。
いくら仲が良くても、恋愛感情の無い者どうしが恋人になれるのか?
それに、もしかして、俺が振ったことになっているのか?
「あなたがキョンの今の恋人ですか?」
と言って、佐々木は朝比奈さんに握手を求めた。
朝比奈さんは反射的に差し出しそうになった手を引っ込め、鋭い眼付きで睨むハルヒと長門をオドオドと見つめた後こう言った
「えーと、違います。あたしじゃないです」
「私のカンが外れたか。キョンの態度で確信していたのだけれど。ということは、あなたが今の恋人ですね」
と言って鶴屋さんに握手を求めた。
おいおい、朝比奈さんはともかく、鶴屋さんは完全に違うぞ。
「よろしくっさ」
鶴屋さんは手を差し出し握手した。
ハルヒは怒りを堪えた笑顔で叫ぶ
「鶴屋さんは恋人じゃないわよ。SOS団は恋愛禁止なの。
それに、誰もキョンみたいな冴えない男相手にしないのだから」
いつの間にか、恋愛禁止になった団。でも、団長様、本当の事が一番傷付くのですが。
「それは団には良かった。でも、北高にとってはどうだろうかね」
佐々木は悪魔のような、ぞっとする笑みを浮かべた
「どういうこと?」
「詳細を」
「キョンは僕と付き合う前は、軽薄なジゴロだったのだよ」
何て嘘をつくんだ、佐々木よ
「何人がその毒牙にかかったか正確なところはわからないけど、軽く2桁いってるね。
妊娠させられたのに宗教上の理由でおろせなくて、母の実家に転校した、かわいそうな子もいたよね」
「いたいた。急に転校していった変な子が。あれってそうだったんだ」
おい国木田。いい加減なことを言うな。佐々木の嘘を信じるな
「あんたって昔から最低男だったのね」
「…詳細を」
「キョンくん酷い」
「その話は、まんま朝倉にも当てはまるよな。今もやりまくっているんだろ、キョン」
「少年めがっさ経験あったんだ。お姉さん驚きっ」
「あなたという人はどこまで…」
おい、何故みんな信じる。
「塾があるので僕はこのへんで。幸運を祈るよキョン」
佐々木、俺の潔白を証明してから去ってくれ。頼むから
(終わり)
最終更新:2008年02月28日 22:14