「しまった・・・」
やぁ。実は少し近道しようとして路地裏の細い道を無理矢理通ろうとしたら壁と壁の間に胴の部分が挟まってしまったんだ。
幸いここは人通りの少ない路地裏なのでこんな姿を誰に見られるというのは無いけれど、それが良かったのか悪かったのか、正直考えてしまう。
自力では無理だ。10分ほど頑張ってみたのだが、いささか無理があるみたいだ。
滅多に時間に遅れる事はないからいつもはゆっくりと行くのだが、今日は少々勝手が違った。
道に迷った風な女の子がいたので家まで送っていたら塾へ間に合わなくなってしまった。
女の子の方が大事だからいいんだが、こういう時は意地でも間に合おうとしてしまうものだ。
こんな所を不良に襲われたりしないように早く抜け出そう。
そう決心し体を無理矢理通そうとする。・・・がそんなに簡単には抜けない。
どうやら胸部周辺が挟まっているみたいだ。動かすと痛い。
時間帯はまだ昼。ここは明るいが、陰になっているので暑さでどうかなるという事は無いだろう。
「いい天気だなぁ。空が青いし雲が無い」
風も心地よい。本当に今日はいい天気なので思わず独り言を呟いた。
今日の塾は休もう。
私は普段塾を休むなんて事はしないのだが、このスカイブルーの空の下で風に吹かれていると、どうしても彼の事が頭に浮かぶ。今や私のリラックス法の一つだ。
「こんな天気のいい日は君とデートでもしたい気分だね、キョン」
自分で言っておいて切なくなる。
ここで彼が助けに来てくれたら今日は今までの人生でベスト3に入る大切な日になると思う。
試しに呼んでみようかな。
「助けに来てくれ、キョン・・・!」
そろそろ焦る頃だろうか・・・。だが、どうやったら抜け出せる?
「佐々木?」
そう、君が助けに来るしかないみたいだよ、キョン。
「助けに来てやったぞ、佐々木。全くお前みたいな奴がこんな所で何やってんだか」
「嬉しいよ、キョン。助けに来てくれた・・・え?」
「何驚いてんだ?助けに来てやったから、ほら、手を握れ。ゆっくり引っ張るから」
「ほ・・・本当にキョンなのかい?」
「俺は俺だ。あー、もういいからほら、手、掴め」
「あ、あぁ。ありがとう」
キョンの尽力もあってすぐに抜け出すことができた。
「助かったよ、キョン。・・・しかし、どうしてここが分かったんだい?」
「ああ、その事だが」
「私が連れてきたんですよ!」
とキョンの後ろから現れたのは自称超能力者の、
「橘さんが連れてきてくれたのかい?」
「ああ。こいつが突然俺の所へ走ってきて腕を引っつかまれ、無理矢理連れ去られた。途中で話を聞いて、こいつの組織の車で来たんだ」
「んもぉー。佐々木さんが壁の間に挟まっていたのですぐにキョンさんを呼んだんですよ」
「しかし、びっくりしたぜ。佐々木があんな事になってるなんてな」
彼はそう言って意地悪に微笑む。
「まったく、僕もあんな事になるなんて思っていなかったよ。だが、君が助けに来てくれて本当に良かった。ありがとう、キョン。改めて御礼をさせて頂くよ、くっくっ」
「どういたしまして、だな。橘にも言っといてやれ。珍しく役に立ったんだからな」
「ありがとう、橘さん」
と言って、2人に笑いかける。
「さて、どうせ暇だしこれから3人でどこか行くか」
「キョン・・・。僕は是非そうしてもらいたいよ」
「いいですね!行きましょう行きましょう!」
む、橘さんはキョンにくっつきすぎじゃないか?、、という疑問もこの天気、この気分ではどうでもいい。僕も久しぶりにテンションはハイだ。
「ほら、佐々木。行くぞ」、、と言って彼は手を差し伸べてきた。
これも今日みたいな日だからかな。僕は差し伸べられたその手をしっかりと握る。ほどけないように。
今日は一生の思い出になりそうだ。
ありがとう、キョン。
~後日談~
「ところで橘さん」
「はい?」
「君の言っていた事から想像すると、君はずっと僕の後を追けていたのかい?」
「いえ、違いますよ。佐々木さんの事は仲間から電話が来て、佐々木さんの閉鎖空間に少し同様が見られたという事で、キョンさんを連れてあなたの元へ向かえと指令が出たんです。
キョンさんの見張りをしていた私はすぐそばで変装していましたから、変装を解いてキョンさんに話しかけたと言うことです」
と言って嬉しそうに笑っている。
「でも、キョンさんって結構面白いんですね。朝、家から出てからずっとキョンさんの後をつけてましたから色々面白い物が見れましたよ~!」
キョン「・・・」
佐々木「橘さん、明日会合でも開こうか」
橘「へ?いいですよ?」
キョン「さ、さあ!最初はどこへ行く?」
佐々木「明日4時いつもの場所ね」
橘「りょーかいですっ!」
Kさん曰く、「あの時の佐々木は恐ろしいなんてもんじゃなかった。橘あの後どうなったんだろうな」
めがっさ続かない
最終更新:2008年02月28日 22:15