32-203「ゆ ゆ ゆりゆり ゆりりんりん」

ゆ ゆ ゆりゆり ゆりりんりん♯
ゆ ゆ ゆりゆり ゆりりんりん♯

春休みのある日、私はそんな歌を歌いながら町まで買い物に行ったのね。
昨日は涼宮さんがルソーを見に来てくれたのね。
今日はクラブもなくて暇なのね。
今年の文化祭では涼宮さんと一緒にバンドをやりたいのね。

そう思っていると、涼宮さんの気配がしたので振り向くとそこには涼宮さんがいなかったのね。
代わりにショートカットの美人さんがいたのね。どっかで見たような記憶のある。
涼宮さんと同じ匂い、いえ、涼宮さんと会う前にどっかで同じ匂いの女の人に会った記憶があるのね。それと同じなのね。
その女の人はツインテールの女の人と話していたのね。どことなくSOS団を立ち上げた時の涼宮さんと同じ目をしていたのね。
 ・
 ・
「橘さん、あなたの言う内容は理解したけど、信じられないわね」
「そうですか、やはり…」
「何か証拠を見せてくれると信じられるかもしれないけど」
「でも天蓋領域の九曜さんも、未来人の藤原さんも、思念体で我々に協力してくれている者も
 全員、佐々木さんの前で能力を見せるのを禁止されているらしいです」
「それは残念ね」
 ・
 ・
その時、不意に声をかけられたのね。
「よう阪中。奇遇だな」
彼とは中学が同じで、塾も同じだだったのね。恋人?そんなのじゃないのね。

久しぶりに再会した私達はお互いの高校生活、私は主に涼宮さんのことを話したのね。特にキョン君とのバカップリぶりを

「バカップルというと、俺達がいた塾にすごいバカップルがいたな。まさかあれと同じとかいうことは?」
「そこまで酷くはないのね」
「今どうしているかな?最近全然見ないけど」
「今もどこかでラブラブしているのね」
「別々の高校に行ったらしいな。別れていないといいけど」
私達みたいに?私達は恋人でなかったけど…
「確か彼氏の方はお前と同じ高校じゃなかったっけ?」
「えーと、記憶に無いのね。○○君、別のクラスだっけ?」
女の人の方とは、できればもっと仲の良いお友達になりたかったことを覚えているのね。
あの女の人からと同じ匂いを涼宮さんにも感じていて、涼宮さんに話しかけても初め全然相手にされなくて…
そして男の子の方からはキョン君と同じ匂いが…キョン君と同じ匂い?あれ?
そして、新学期が始まったある日曜日。私は中学時代の友達と一緒に遊ぶことになったのね。
涼宮さんとキョン君がいるような気がして振り返るとキョン君と、涼宮さんでなく春休みの女がいたのね。どう見ても恋人どうしのように仲良さそうに…
キョン君もしかして二股?何を話しているのね?
 ・
 ・
「キョン、塾であった恋人のことを覚えてないか?」
「塾であった恋人?確か一組だけだったよな。誰かが二組いると言ったけど二組目がどうしても思い出せない」
「この前も話題になったけど、今どうしているかな?」
「高校生にもなったし、今頃はラブなホテルにでもいるんだろ。大抵そうだな」
「そう言い切る根拠がどこから出るのかが知りたいな。別々の高校に行ったから疎遠になったとは考えないのかな?」
「あいつらは別々の高校に行ったくらいで別れる雰囲気じゃなかったぞ」
「君の言動を見ると全く説得力が無いね」
「おい、佐々木。どういう意味だよ」
 ・
 ・
キョン君、気のせいかどうか知らないけど涼宮さんといる時より楽しそうに見えるのね。
「あの二人まだ付き合っていたのか。最近見ないので心配していたのだが」
「あの二人?」
「この前話題になった、中学時代の塾で会ったバカップルじゃないか。お前は顔も忘れたのか?」
「あの二人があのバカップル?」
あの男の子のほうは実はキョン君?やっと思い出したのね。随分美人になっていたのでわからなかったのね。
「ちょっと挨拶してみよう」
えーと、やめた方が良いのね。

「おーい○○」
 ・
 ・
「君の本名が呼ばれているよ」
「中学時代のクラスメートかな?」
 ・
 ・
そして私達は中学時代のことを話し合ったのね。
「君達は同じクラスなのに全く気がつかなかったのかい?」
「恥ずかしい話だが、2人はセットで覚えていたような気がする」
私は中学時代のキョン君を本名で覚えていたのね。それに、佐々木さんがいる時といない時で全然キョン君の雰囲気が違うのね。



その日からキョン君は私のことを変な目で見るのね
「阪中。なんだその目は」
「キョン君こそ」ムカムカ
「しかし、お前は中学時代からの彼氏がちゃんといるのに『古泉君かっこ良いのね、お付き合いしたいのね』とか言っていたのか」
「彼と再会したのは、この前の春休みなのね」
「そんなわけないだろ。ずっと付き合っていたのは見ていてすぐわかるぜ」
私もキョン君と佐々木さんが再会したのが、この前の春休みだとは信じることができなかったのね。でも事実だったのね?
「キョン君は人のことが言えないのね。佐々木さんは本当に恋人では無いのね?」
本当は『涼宮さんがかわいそうと思わないの?』と言うべきだったのかもしれないのね。
でも何故かその時の私はキョン君の本命が中学時代からの恋人だと確信していたのね。
「…お前の方こそどうなんだよ」
「…」
その時、私もキョン君も『恋人じゃない』とはっきり言える自信は無かったのね。

(終わり)

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2008年04月14日 09:36
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。