「どうだいキョン、おかっぱにしてみたよ」
「そうか」
「それだけかい」
「だって前もおかっぱみたいなもんだったろ」
「そうかな。これでもずいぶん外見のイメージはかわったとおもうのだけどね」
「かわっても俺にとっては佐々木は佐々木さ」
「これはよろこぶべきなのか、へこむべきなのかわからないな。おや、橘さんに周防九曜さん」
「なんだ佐々木、おまえらの中ではおかっぱが流行ってるのか?」
「偶然だよ、少なくとも僕にとってはね。橘さんたちが勝手に合わせた可能性は否定できないが」
「なに見てんだい?うらやましいかい?あなたもおかっぱにしたいのか?」
「おい佐々木、この誘拐女しゃべり方がかわってないか?なんで俺がおかっぱにするんだよ」
「思うにキョン、彼女たちはなにかにかぶれてるんだと思うよ」
「こ―――――…・……ほ――――――」
「後方?広報?工法?日本語は同音異義後が多くて困るね、キョン」
「わかった、これは似ているな。佐々木、ウォーズマンって知らないか?」
「なんだい?特撮番組かなんかかい?そっちには少々うとくてね」
「キン肉マンという漫画に、コーホーとしか言わない無口なロボ超人が出てくるんだが
ちょうどこんな黒いヘルメット頭なんだぜ。それにしても髪に見えない材質だなコレ」
「キョン、きみは漫画にくわしいね。そういえばこのまえ牛丼屋にポスターが貼ってあったようだったが
あれはずいぶん昔の漫画なんじゃなかったかい?」
「―――にく………29―――周年………」
「なるほど、つまりこういうことだね。そのキン肉マンは今年で29周年になるのだが、
何故30周年でなく区切りの悪い29周年で牛丼屋に登用されているかというと
キン肉マンだけに肉と韻を踏んで29周年に意味を持たせていると言うことだね」
「あー、何年かはよく知らんが、今もキン肉マン2世という続編をやっているぜ。
ということは誘拐女、おまえの頭に変な縫い目みたいなのがあるのは、それはジェロニモのつもりか」
「ふむ、そのキン肉マンにはジェロニモという超人が出てくるわけだね」
「超人ていうか人間だったんだけどな。まあ細かいことはどうでもいい。
ジェロニモは頭が裂けたあと、ドクターボンベの手術によって頭を縫い合わされて復活したんだ。
おい誘拐女、おまえたちはキン肉マンごっこでもやってるのか?」
「ウミネコだ」
「はぁ???」
「女を誘拐する。佐々木さんを神にする。おまえごときに両方やるというのはそうムズかしいことじゃあない」
「両方ともできてねーけどな。それに両方ともさせねぇ。つーか、ブチャラティだったのかよ」
「キョン、僕にはなんのことだかわからないよ。おいてきぼりにしないでくれたまえ」
「佐々木と話すといっつも俺の方がおいてきぼり気味だからな、たまにはこういうのもいいもんだな」
「この味はうそをついてる味だぜ」
「あっ橘さん!」
「ついてねえよ!つーか顔なめんな誘拐女。佐々木、こいつはジョジョ5部に出てくるブチャラティというキャラだ」
「その人も頭を縫ってるのかいキョン」
「縫ってるというか、編み込んでる感じだな。荒木先生のキャラデザは個性的なんだ。俺はジッパーをモチーフにした
髪型だと思うんだけどな」
「ジッパー?もっと筋道立てて話してくれないかキョン」
「いや、すまん。話が脇道にそれた。こんど貸してやるよジョジョ。てか佐々木、おまえ漫画とか読む?」
おわり
佐々木(橘さんめ、キョンのほっぺたをなめるなんて、まったく油断もすきもない子だな。
でもこれで思いがけずキョンとの共通の話題が広がるきっかけになったから、そこはお礼をいっとくべきかな)
最終更新:2008年09月28日 17:15