39-661「掌の温もり」

「キョンは、どこの大学に行くんだい?」
「んー、あんまり考えてないけど、文系かなやっぱ?数学よりそっちの方が向いてる気がするし」
「ふ~ん。」
……………
「佐々木。何で、俺と同じ大学に来たんだ?」
「なんでだろうね?」
「なんでだろうねって、お前だったら、もっと上に大学に行けただろう?」
「ねぇ、キョン。僕がどうして君と同じ大学に来たか、これは、じっくり語り合う必要がある話題じゃないか?」
「うーん、語り合うねぇ…」
「ああ、別に急ぐ必要はないんだよ。難しく考えないでくれたまえ。僕たちの時間は、これからたっぷりあるんだから、ゆっくり、話し合おうじゃないか」
「まぁ、4年あるわけだしな。」
「そうだよ。これからは、ずっと一緒なんだからね」
「そうか。まぁ、そうだな。」
「とりあえず、学食に顔を出さないか?どんなものを出すのか、興味があるんだ」
「そうだな。ゆっくり話し合いながら…な」
「・・・・・・・・うん。」

キョンは、そういうと優しい笑顔で僕の手を握り、学食へと歩き出した。
これは、キョンが僕の気持ちに気がついたのか、彼が女の扱いを覚えたのか、
それともお得意の天然で離れ離れにならないようにやったことなのかわからないけど、
中学時代より2回りは大きくなったキョンの掌は、僕の掌がすっぽりと収まってしまう。
この大きさと温もりにドギマギしながら、僕は、ニマニマ笑っちゃうのを止められなかった。

これから、きっと、僕は幸せになれる。
君とずっと、一緒だから・・・・・・

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最終更新:2009年03月14日 22:25
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