「キョン…」
いつもの声とは程遠い、俺の前でしか出さない甘い声で、佐々木はコツンと俺の肩に頭を委ねた。
「どうした?」
「もう勉強はやめたよ」
佐々木は俺の腕をきゅっとからめて言った。
「今日は君に甘えることにする」
「佐々木…」
暖かい日だまりの中、自然と重なる二つの唇。
唇を離し見つめると、佐々木の頬は仄かに紅く染まる。
「そんな目でみつめないでくれ」
「…嫌だ」
佐々木の細い肩を優しく抱き、啄むように二度目のキス。
「…んっ」
切ない声で俺の唇を求める佐々木に、愛しさが溢れだす。
「もっと君を感じていたいよ」
――まるで昨日のことのように思い出す。
「もっとお前を感じていたかったよ、佐々木」
あのときと同じ暖かい日だまりの中、
佐々木は幸せそうに微笑んだまま永久の眠りについた。
佐々木と過ごした季節はとても短かった。
もっと二人でやりたいことは沢山あった。
楽しい未来を築いていけると思っていた。
――俺は、
本当に佐々木のことが大好きだった。