佐々木さん、平凡な夏休みの一日の巻
キョン「あー、暑い。外出るんじゃなかったな」
佐々木「わざわざ人を誘っておいてそれかい、キョン。あまりにひどいと思わないかね」
キョン「いやー、中3の夏休みは受験でつぶれたし、去年はSOS団のせいで、
盛りだくさんではあったが、やけに忙しい夏休みだったもんでな。
特に目的もなくムダにすごす、本来の夏休みを過ごしたくなっちまってさ。
しかしこの蒸し暑さはヒドいな。からっとしてるならいいんだが」
佐々木「それで僕を誘うという了見がよくわからないが、まあそれは置くとしよう。
で、特にあてがないというなら、あそこの日陰のベンチで座らないかね。
せっかく新調した麦藁帽子を活用したくはあるのだが、流石に熱中症になりそうだ」
キョン「そ-だなー。よっこいしょっと」
佐々木「本気でだらけているね、キョン。君の学校には夏季講習や特別カリキュラムはないのかね」
キョン「あー、理系コースは希望であるみたいだけど、俺たちはぜんぜん」
佐々木「で、塾にもいかずこうして呆けているというわけだ」
キョン「まあ、ある意味SOS団で極度の疲労を強いられるから、その反動で弛緩状態になっているというか」
佐々木「無理やり理屈をつけなくても、毎日の授業がなくなって、ゆるみっぱなしというのが歴然だよキョン」
キョン「やっぱりバレるか。そういや佐々木、おまえさんとこは夏季講習とかあるのか?」
佐々木「それはもう。午前中はだいたい学校に行ってるし、午後は塾の特別講習だよ」
キョン「うえー、さすが進学校。俺はこっちでよかったよ」
佐々木「そんなことを言っているがね、キョン。来年になったら本格的に受験だよ。君も進学希望なんだろう?」
キョン「まあ、どっか適当に入れる大学があるといいんだが」
佐々木「相変わらずだね、君も。確か中学の時、「高校入ってからやりたいこと見つける」と言っていた記憶があるのだけれど、
今度は「大学入ってから将来のことは考える」というところかね。まあ、それが悪いことではないけれど」
キョン「なんだよ佐々木、よく覚えてるなそんなこと。俺自身そんなこと言った記憶がぜんぜんないんだが」
佐々木「覚えてるよ、全部。君の言ったことは。
それにしても、記憶にないというのなら、僕の勘違いや偽証だとは思わないのかい。証拠は何もないんだよ」
キョン「あー、佐々木がそう記憶してるんならそうなんだろ。間違いないって」
佐々木「そんなものかね」
キョン「そんなもんだよ」
佐々木「…………」
キョン「…………」
キョン「あ、セミが鳴いてら」
佐々木「あれはクマゼミだね」
ショワショワショワショワショワ
キョン「……夏だな、佐々木」
佐々木「……夏だね、キョン」
ショワショワショワショワショワ
キョン「……そういや佐々木、今日は塾とかなかったのか?」
佐々木「くっくっ。君は運がいいんだよ、キョン。今日はたまさか、予定のない日だったのさ」
キョン「そうか」
佐々木「そう、君が電話をかけてくれた瞬間に、そう決まったんだよ」
キョン「……そうか」
佐々木「……そうさ」
ショワショワショワショワショワ
最終更新:2007年07月24日 07:21