68-968『あさきゆめみし』

一富士二鷹三茄子四扇五煙草六座頭。
縁起のいいと言われる初夢。
…………座頭が出てくる夢なんて、どんな夢なんだか。
「今日はもう寝るかな。」
年の瀬にキョンとも会えたし、来年は良い年になるといいな。
…………そういえば、年始の挨拶を忘れていたような。まぁいいか。本来、会って言うのが望ましいが、明日にでもメールを送るとしよう。
お風呂に入り、愛しの我が布団へ。………なんだったかな?漢詩であったな。
『我思う、我を思いて眠る、君の錦の寝具の冷たき事を』
だったかな?シチュエーションは逆だけど……なんだか理解は出来る。……まぁ、理解は。
ここまで自意識過剰に思うわけじゃないが、こうであればいい。彼の場合、妹さんや愛猫のシャミセンが、寝具を暖めているんだろうけど。
暫くすると布団は、体温で温もる。湯タンポも手伝い、あっという間に寝具は温もりを持った。
つらつらと眠りにつく。

…………特に何もなく、月を見上げていた。隣には、何も言わずに笑っているあなた。私も笑いかけて……そっと目を閉じた時……目が覚めた。

…………夢から覚めると、私は一人。…………でも………初夢にこれは悪くないよ。明晰夢ではないが、彼が出てきたのだけは生々しく覚えているから、まぁよしとしよう。
年始の挨拶を終え、橘さんと初詣に。橘さんは嬉しそうに言った。
「いい初夢なのでした。」
「へぇ?どんな夢だったの?」
橘さんは、極上の笑顔で言った。
「藤原くん、九曜さん、佐々木さんと遊んでいる夢なのです!」
………天真爛漫な答え。微笑ましい初夢だ。…………そうだね。また遊べるといいね…………。
橘さんは、ニコニコしながら言葉を紡ぐ。
「知ってます?夢に人が出てくるって、出てきた人の会いたいって思う気持ちが飛んでいって、夢の中で会わせてくれるそうですよ。」
…………え?
「だから、私は藤原くん、九曜さん、佐々木さんが、そうだったのかな、って思って。」
「…………そ、そうだね。た、橘さん。」
え、えーと………つまり、それは…………わ、私の夢にはキョンが…………え、ええっ?!

「……………えっらい夢見ちまった……………」
正月早々、佐々木の夢。何もなかったんだがな。やったら生々しく覚えている。
眠気覚ましに、妹と初詣に行ったら、佐々木と橘とバッタリ。佐々木は4回連続で大吉を引いたらしい。
あ?俺?佐々木が俺の運を持って行ったんだろ。凶だ。待ち人既に去る。何の嫌がらせだ、何の。

「くつくつ。」
私は持ち帰った御神籤を見た。すぐに叶えるとは、なかなか粋な御神籤じゃないか。

『待ち人すぐ来る』

今年は、良い一年になりそうだ。

END

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最終更新:2013年02月03日 18:15
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