69-16『夕日の約束』

※ここだけ見るとハルキョン注意

三学期。来るべき朝比奈さんとの別れに備え、古泉達は準備を進め、長門は観測……場合によっては機関への協力を辞さない……構えを取っていた。
俺は……ハルヒの遊び相手になったり、話相手になったり、佐々木と会って勉強をしたりで、慌ただしく日々は過ぎた。
「……………正直、閉鎖空間の処理でいっぱいいっぱいですよ…………」
古泉が、珍しく愚痴をこぼしてきた。神人は、盛大に大暴れしてくれたほうがまだマシという状態らしい。
「ただ空を見上げていたり、叫んでいたり………。行動をしないんです。ある意味、安定しているのですが…………」
そんな状態の神人を倒すのは、さすがに心が痛むようだ。
「……………………」
長門は、無言で本を読んでいる。………まぁ、これはいつもの事か。
「まぁ…………ハルヒを安定させてやらねぇとな。」
「……………………」
古泉が、俺を寂しそうな目で見る。気持ちの悪いヤツだな。

「ハルヒ。」
「あぁ、なんだ。キョンか。」
帰り道。たまたま校門にいたハルヒに声をかける。
「たまには一緒に帰るか?」
勿論断られる事が前提だ。
「………………あんたと?ま、たまにはいいか。」
返事は、意外にもイエス。俺はハルヒと肩を並べて帰る事になった。
「浮かない顔だな。」
「そりゃそうよ。」
ハルヒは溜め息をついて前を見た。
「……………卒業式が終わったら、もうみくるちゃんと会えない気がする。」
………意外な言葉に、俺はハルヒを二度見した。
「…………こっち見んな、バカキョン。」
ハルヒは、憂鬱そうに言う。最近のハルヒの憂鬱。それは、朝比奈さんとの別れだとは分かっていた。しかし…………ハルヒは、持ち前の洞察力を駆使し、その先を考えていたのだ。
「……………あんたも知ってるわよね、あたしの中学時代。」
ああ。よく知っている。散々に奇行をやらかしていたみたいだな。
「…………茶化すな、バカ。とにかく、殆どいい思い出なんかなかった。……………そんな中で、北高に来て…………SOS団を結成して………………毎日が楽しかった。」
ああ。俺もだ。なんだかんだ言って、楽しいぜ。
「…………始まりがあれば、必ず終わりはある。それはあたしも理解してる…………。でも…………」
ハルヒは下を向く。
「…………笑って、お別れしてやらねぇとな。朝比奈さんと。」
「……………………。」
目に眩しいと思ったら、夕日か。ハルヒの表情は、逆光になり、よく見えない。
「……………あんたは、いなくならないよね?あたしの前から…………。」
夕日で、ハルヒの表情がよく見えない。
「ま、どんな形であれ、お前とは一生付き合うような気がするぜ。」
お前が望む限り、な。
ハルヒは、その言葉に満足したらしい。100Wの笑顔を見せ、俺を向くと………
「団長命令よ!」
と笑顔で叫んだ。
「やれやれ。」

ハルヒと別れて暫く歩いていると、後ろから声をかけられた。
「やぁ、親友。」
「よう。佐々木。」
佐々木だ。今日は塾がないらしい。
「くつくつ。少し前から気付いていたんだが、青春の一ページに乱入するのは不粋だからね。」
「そうかい。」
どうやら見られていたらしいな。さて…………どうしたもんか。

END

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最終更新:2013年03月03日 02:57
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