69-107『もしも、佐々木さんがあざとかったら。』

冬。さすがに寒くて皆はジャージの上を着ている。そこにわざわざ、半袖の馬鹿も何人かいるが。
そんな馬鹿の一人が、俺の親友だとしたら。お前らならどうするかね。
「身体を動かせば、温もると思ったんだがね。」
「アホ。」
ガタガタ震える佐々木。見ているこっちが寒いわい。俺はジャージの上を渡した。幸い下はスウェットだ。インナーも着ているし、寒くはない。
「着てろ。」
「恩に着るよ、親友。」
佐々木はジャージの上を着る。……いや、そのなんだ?ぶかぶかぶりが、なんだかいやらしい……あ、わ、忘れろ!ただの妄言だ!
「くつくつ。……君の匂いがする。」
佐々木が、ジャージの襟の匂いを嗅ぐ。その言葉に、その行為に、俺は一気に顔に血が巡った。

「返せ、コラーっ!」
「嫌だよ、寒い。」

佐々木と追いかけっこになる。結局授業の終わりまで、佐々木はジャージを着てやがった。
「ありがとう。くつくつ。持つべきは親友だね。おかげで風邪を引かずに済んだ。」
佐々木がジャージの上を返す。仄かに暖かくて、むっちゃいい匂いがするんですが!?
で、俺は着替えようとしたが……学ランがない。

「ああ、君の学ランだが、国木田がお茶を溢してしまったから、保健室のストーブで乾かしていると言っていたよ。」

……結局、その日は佐々木の匂いがするジャージに包まれて過ごした。
帰ってから、暫くマイサンと戯れたのは、お前らが男ならわかるよな?

「くつくつ。」

END

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最終更新:2013年03月03日 03:40
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