初詣の季節も過ぎたというのに、何故か神社に足を運んでしまった。
何故また自分は占いや御神籤なんて、非論理的かつ非生産的並びに非現実的な事をしているのだろうか。
古くは亀の甲羅を使って占いをしていたらしいが。
シャーマニズムによって治められた国も過去にはあり、いかに人が非現実的な盲信に頼りがちかという事を如実に物語っている。
「毎度ー。」
こうして恋愛成就の神社に、わざわざ占いで最も良い日を選び、わざわざ籤を買う私にしても。
御神籤は……
『末吉 待ち人、遠からず来る』
……まぁ、現実なんてこんなものだ。佳くもなく悪くもなく。当たり障りない結果が一番だよね。
私は木に御神籤を括ると、足早に帰った。御神籤が導いてくれる事を願って。
「……遠からず来てくれよ?キョン。」
最近、国木田は占いに凝っている。
「キョンも占ってあげようか?」
「いらん。占いなんて非論理的かつ非生産的並びに非現実的な話だ。この21世紀にシャーマニズムを信仰するか?国木田よ。」
捲し上げた俺だが、国木田は笑顔で俺を見ている。
「ま、このカードの中から一枚引きなよ。」
「……やれやれ。」
聞く耳無しか。俺はカードを一枚無造作に引くと、国木田に見せた。国木田は、『やっぱり』という顔で笑っている。
「キョンらしいカードを引いたね。」
時計が付いた輪?なんだ、これは?
「Wheel of Fortune。運命の輪。『運命対自由意志』。」
「くだらねぇ。」
まぁ、あとから考えたら。ちーっともくだらなくなかったんだがな。国木田は、多分占い師になれる。何故なら。大当たりしちまったんだからな、占いが。
運命の輪は自由意志を選んだ。そうとしか言えん。……足掻いてみるか。運命とやらに。
「くっくっ。『待ち人、来たる。』だね、キョン。」
END
最終更新:2013年03月31日 23:31