71-399『日常はサバイバルだ。』

組織の資金難――――
橘は、今日も川で釣りをしている。
「最近は腕前も上がったのですよ……」
「――」
スナフキンのように、趣味で釣りをしているわけではない。
ハヤ、ブルーギル、ブラックバスは、彼女にとって貴重な蛋白源だ。
「――鱗――落とす。内臓――捌く。」
周防が、橘の釣り上げたブルーギルを捌く。熾火を作り、ブルーギルを串に通すのは藤原。
「未来からの資金が途絶えるとは……!」
半泣きの藤原。生活費で高くつくのは、食費。それをケチる為、食事は極力現地調達だ。
周防は面白そうな状況を見て、興味津々に寄ってきた。彼女は悠々自適に過ごしている。
「――塩――だけ。醤油――が――ない。」
不満そうなインターフェース。
「贅沢は敵なのですよ。」
「貴様、いつからそんな贅沢を……!」
飯盒で炊くのは、少量の米に多量の雑穀を混ぜたもの。そしてやかんで茹でるのは、沢蟹。余りにワイルドな食事である。
油がないので、焼いて煮るだけのサバイバル。最近ではムカゴやキイチゴなども一目で見分けがつくようになった。
「……美味しいのです……」
「……ああ。」
「――」
食卓を囲む三人。河川敷に座り、ブルーギルの焼き魚に、雑穀9割の雑穀米、沢蟹の茹でたものを食べる三人は、一体どこのレンジャー部隊なのだろうか。

「お小遣いも出たし、ファミレス奢るよ。」
「本当ですか?!佐々木さん!」
「なんという僥幸……生き恥を晒し続けた甲斐があったというもの!」
「――――」
二人が頼んだのは、熱々のステーキ。合成肉?そんなの関係ない。贅沢言う奴は敵だ。
喜び勇んでステーキを完食した二人だが……弱った胃腸に脂、ニンニクなどは、大敵だ。

ぎゅるるるる…………

「「はううううッ!」」
「ど、どうしたの?橘さん!未来人!」
当然の如くお腹を下した二人。二人がトイレに駆け込む。周防は緑茶を啜り、一言言った。
「――ケツ末――」
「酷いオチね。」
佐々木団は、今日も平和である。

END

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2013年08月04日 17:00
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。