18-429「終わる世界」

佐々木……どうしちまったんだ……
俺はあの日佐々木に出逢った。
その時胸にあったのは親友と久々にあった喜びだけだった
なのに……気がついたらこうなってしまっていた。
なぁ?佐々木……これがお前が望んだ事なのか?
お前はそんなことを望むようになったのか?
どうなんだ?答えてくれよ……佐々木……
俺は床に血が染み込んでいく中ハルヒを抱えながら涙していた――


~1時間前~

「大丈夫!?有希!!」
長門が倒れたと言う話を聞いてハルヒと俺達は長門の住むマンションへと駆けつけた。
部屋の鍵が開いているのを見て俺達はそのまま扉を開けそう叫んでいた。
長門の姿はここからは見えない。
返事も聞こえない。
「有希!!」
ハルヒの奴が駆け込んでいく。俺達もその後をついていくことにした。
「大丈夫なの!?」
そこにあった長門の姿を見て俺は正直言って衝撃を受けていた。
熱が出ているのが明らかに分かるほど顔を真っ赤にして、
力なく電話機の前で倒れていたからだ。
大丈夫なのか?いや。どう見ても大丈夫そうではない。
「だい……じょう…ぶ……」
ハルヒの奴の声で意識が少しだけ戻ったらしい長門がそういった。
「ちょっと…!!どう見ても大丈夫そうには見えないわよ!!!!
凄い熱……40度以上はありそう……キョン!!冷凍庫から氷をありったけ持ってきなさい!!!!」
分かった。すぐ持ってくるからな。
俺は冷凍庫を開けるとそこにあった氷をナイロン袋に詰め込んだ。
ええい!くそ!!巧くくくれん。
「ちょっと待ってください。こういったときは一つに詰めるのではなく、
6つくらいに分けてそれぞれ当てた方が効率的です。貸してください。」
そういって古泉は俺から袋を奪い取るとテキパキと小袋に分け始めた。
「こんな事が長門さんに効くかどうかは分かりませんが……」
そうして出来上がった6つの氷の入った袋を古泉と俺で持っていった。
その間にまた長門は気を失ったらしい。
ハルヒと朝比奈さんの二人がベットに二人で寝かしていた。
「涼宮さん。長門さんの服を脱がしてください。」
ハルヒにそういった古泉は、
服を脱がした長門の首の横に二つ両脇に二つ股の間にも二つ氷をはさんだ。
少し長門も苦しそうにしていた顔を和らげている。
「どうしたのかしら一体……昨日までは元気だったわよね……インフルエンザかしら」
ハルヒは長門の様子を見ながらそういった。
相当心配しているようだ。まぁ……すぐにこいつの事だ。よくなるさ。
ハルヒを元気付けるほどには俺の衝撃も収まってくれたらしい。
だが、これがほっといて治るようなものではないと分かっている俺は古泉と顔を見合わせた。
一体……九曜の奴らの今回の狙いはなんなんだ?しかも今回は前の雪山よりも酷いみたいだが……
「僕にも分かりませんね。ひょっとすると前回のよりも影響が大きくなっている事から見て、
長門さんサイドへの『実験』なのかもしれません。」
「実験だと?これだけ長門を苦しませておいてか!?」
俺は古泉を睨みつけながらそういった。
「僕に怒られても困ります。僕にも本当のことは分からないんですから。」
そういって困った顔を古泉はしている。
悪かったな。確かにお前に当たってもどうにもならなかった。
「いずれにせよ……このことは機関に報告しておかなくてはならないでしょう。
長門さんの身辺警護の人数も増やさなくては……」
そういって古泉は携帯を取り出してドアの前に出て行った。
あいつはあいつでかなり団員のことを心配していたらしいな。
悪い事をしてしまった。長門を何とかする方法を一緒に考えないとな。
だがその前に……
「おい!ハルヒ!!今この家にある氷を全部使っちまった。
また氷が必要になっても無いから氷を買ってくる。」
俺はそういって部屋を出ようとした。
「どこかに出かけるんですか?」
ああ、ちょっと近くのコンビニまで氷を買ってこようと思ってな。
「待ってください。今新川さんが来ます。それまで待ってください。」
一人で行動するなって事か……確かに何が有るかもわからないからな。
「ですが……今回は少し厄介かもしれません。長門さんが何の手段も講じる事が出来ていないようです。」
そうなのか?前回よりも悪化しているって事か……だがそうだとするとどうやって治すか……
前回のように長門が用意した方法を使うって訳には行かないのか……
「そしてさらに悪い事に長門さん以外のTFEI端末も、
全く同じ状況に置かれているらしい事が機関の調査で分かっているそうです。」
なんだって!?俺はウェイトレス姿の女性を頭に浮べながらそういった。
「どうやら今回は相当危険かもしれません。引き続き機関にこれの対処法は調査させます。」
ああ、できるだけ早くしてくれ。全くあの黒い塊の宇宙人め……
そんなことを言っていると例のタクシーがマンションの前に止まった。
「気をつけてください。我々も用心をするに越した事はありません」
わかったよ。そう何度も言わなくても分かっている。
そういって俺はタクシーに乗り込んだ

――涼宮ハルヒが凶刃に倒れる30分前のこと

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最終更新:2007年08月22日 21:02
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