21-531「バタフライ」

最近、俺は佐々木といっしょに勉強することが多い。
教材が佐々木の高校の教科書だったりするんだよなー。
「これが、今、お前の高校でやっている英語か。小説だな。
何々?かわいそうな蝶が死に、イモムシが蝶の生んだ卵の世話をする、という話か。」
「荒唐無稽な小説だが、内容としては面白いと思うよ。」
「まあな。蝶はアリやハチと違って弟や妹の世話をしないからな。」
「え?君は今何て言った?」
「蝶は弟や妹の世話なんかしない、と。どうした、佐々木」
「そうだった。それに気づかなかった。イモムシが蝶の幼虫であることをすっかり忘れていた。
とすると、この小説は実は兄弟愛を描いた作品か。ありがとうキョン」

その後、勉強が一段落ついて
「なあ、佐々木、蝶と蛾の違いが俺にはわからないのだが」
「明確な区別があるわけじゃないよ。国によっては全く区別していない所もあるんだよ。」
「何で蝶のことを英語でバタフライと呼ぶんだ?
蝶は幼虫時代は葉っぱを食べて、成虫になると蜜をなめるんだよな?
蝶がバターを食うはずが無いよな?」
「モンシロチョウ、モンキチョウ、アゲハ、クロアゲハ、タテハ、シジミなどと数多くの種類の蝶がいる日本と異なり、
イギリスではほとんど一種類の蝶、モンキチョウしか見かけないんだよ。
黄色いバター色をして、幼虫が人参の葉を食べるやつさ。」
「それでバタフライか。でもフライというのはハエじゃないのか」
「ハエに限らず、飛ぶ虫の多くがフライさ。トンボはドラゴンフライ、ホタルはファイヤーフライ。」
「なるほど、ありがとう。」
「ところで、僕の心の中には君という蝶、一種類しかいないが、
君の心の中には一体何種類の蝶がいるんだい。」
「何だ急に、もしかして怒ってないか?意味わからんぞ、全く。」
「君がいつもそうだから。君がまともだったら僕は怒ったりしないよ。」

何を怒っているか知らないが、週末映画を奢ってやると言ったので機嫌はおさまった。
全く何だろうかね?
(終わり)

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最終更新:2007年09月20日 08:17
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