「お願いだキョン。もう、僕を1人にしないでくれ」
「1人じゃないだろ。お前には忌々しいがあの橘がいる。いけ好かないが藤原がいる。
よくわからないが九曜だっているじゃないか」
「でもそこにキョン、キミはいないじゃないか」
泣き崩れる佐々木を、俺はただ抱いてやることしかできなかった。
俺の胸の中で泣き続ける佐々木の頭を撫でてやる事しかできなかった。
「もう、あの頃には戻れないんだね」
「そうだな。一度こぼれた水はもう戻せないんだ」
「あの時キョンが涼宮さんではなく僕を選んでいたら…
いや、過ぎてしまったことを口にしても意味がないね」
「佐々木、俺は――!」
「もういいんだよキョン。それより少ししゃがんではくれないか?」
「一体なにを――んっ!」
目の前に佐々木の顔がある。唇になにかが触れている感触がある。
なにが起きているか俺だって判るさ。
唇を離した佐々木は背中を向けて
「ありがとう。そしてさよならだ」
俺の前から消えてしまった。
最終更新:2007年10月11日 21:54