「すまないねキョン。わざわざ来させてしまって」
いいって事よこのくらい。しかし風邪とはついていないな。病院行かなくて大丈夫なのか?
「そこまで大げさにすることではないよ。1日安静にしていれば問題はない。それにキミが来てくれた」
「オレが、というよりこの頼まれものが。じゃないのか?」
近所のスーパーのビニール袋を上げてみせる。まったく、メーカーまで指定されるとは思っていなかったぞ。
「すまない。しかし僕はここのプリンが大好物なんだ」
袋からプリンとプラスチック製のスプーンを取り出して佐々木に差し出す。
プリンを受け取った佐々木はそれをなぜかオレに差し出してきた。
「さぁキョン、僕に食べさせてくれ」
……すまない。今なんと言った?
「僕は見ての通り病人だ。キミの前だからこそ強がって見せているが、
本当は睡眠を取って体力を回復させた方がいいのだよ」
じゃあ寝ろ。今すぐだ。オレと会話しているだけでも疲れるんじゃないのかそれだと。
そういってオレはまだプリン数個入ったままのビニール袋を机の上に置いて部屋から出ていこうとしたのだが
「本当に帰ってしまうのかい?」
挨拶をしようと振り返ったオレの視界に入ってきたよく見慣れた女友達の表情は、
風邪をひいているからか頬に赤みが増していてその……なんだ。
「わかったわかった。これ1つだけだからな。食ったら寝ろ」
「判っているよ。僕も長引かせて学校でキョンに会うという楽しみを失いたくはないからね」
「ほら。あーん」
「んっ。いつもより美味しく感じるよ。ありがとうキョン」
翌日オレはうつされたのか風邪を引き、今度は佐々木がオレの部屋に見舞いに来てくれることになったのだが、
それはまた別の話だ
最終更新:2007年10月13日 09:53