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想い

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「想い」

三つの種子を手にし、ラクロアへと帰還したストライク達。
ザフトとの決戦の準備を進める間、彼らはそれぞれの形で休息をとっていた。
「うぉぉおおおっ!」
剣士へとクラスチェンジしたストライクが斬撃を放つ。
縦に振り下ろされたそれはいとも簡単にかわされ、相手の剣による反撃がくる。
ストライクは左腕の盾でそれを受け、片手だけで剣を振り下ろそうとするが、
相手が剣を受け止められた瞬間に体勢を変え、体を捻った後に放った斬撃により
剣を弾き落とされてしまう。ストライクが拾いに行くよりも前に相手は続けて剣を
振り下ろす。ストライクの右肩を狙ったそれは左腕の盾では間に合わない。
ついに斬撃がストライクをとらえたかと思われた瞬間、金属と金属がぶつかる音が響く。
ストライクの左肩に仕込まれた手斧。それを瞬時に右手で引き抜き、
相手の剣に当てたのだ。
戦士として研ぎ澄まされた感覚のみが可能であるその行動は
相手に多少の揺らぎを与える。
ストライクはその一瞬を見逃さず手に持った斧で戦うのではなく、投げつける。
予想外の行動ではあったが相手はそれを簡単に避ける。
だが、それこそがストライクの狙いであった。
相手の意識が斧に向かった一瞬で剣を拾いに行き、剣を手にしたストライクは
種子の力を解放し四本足<ケンタウロス・モード>へと姿を変え、
その瞬発力とパワーで一気に剣を押し込む。相手は避ける事は間に合わず
受け止めようと構えるが、それが間違いだった。ストライクが力を込めた一撃を
受けきれるはずもなく、地面に膝をつく。
そのまま剣を押し込めば倒せる、といったところで
「参った・・・降参だよ」
その言葉を聞いたストライクは剣を納め、膝を突いた相手に手を差し伸べた。


「強くなったんだね」
ストライクの手をとり、立ちあがった少年――王女ラクスの護衛キラは、
素直に自分が感じたことを言う。
ストライクは種子との融合を解き、元の姿に戻る。
「いやぁ、俺はコレ、半分くらい種子の力だし。それでも渡り合えるキラの方が」
「そんな事ないよ、僕は本当ギリギリだった」
「いや、俺だってもう限界に近かったぜ。マジにやられるかと・・・」
そうして互いに謙遜しあった後、
二人は顔を見合わせて笑う。そこには先ほどの戦士としての面影はなかった。
「ちょいと休憩するか」
「全く、やっと帰ってきたと思った次の日に朝からずっと訓練なんて君は本当変わらないね。でも、種子の力とはいえこうしてストライクに剣で負けるなんて思わなかった」
「あぁ、そうだな。でも、俺より強かったお前が国に残って、俺が種子を集めるために世界に出るなんて・・・先の事はわからないもんだ」
「うん、僕はこの国とこの国の人達が好きだから・・・それに本当は戦い、好きじゃないし」
「俺はお前がいるからこそ安心して旅に出れるんだぜ」
戦いを嫌うとはいえ、キラは何かを守るために強さが必要な事を知っている。そして実際に強い。ストライクはそんな彼を実に羨ましく思いながら空を仰ぐ。
自分は、本当に種子にふさわしいのだろうか?
こんなに弱い、この俺が。
「どうしたの?」
キラは黙って空を仰ぐストライクを心配そうにしながらふと、
彼が帰ってくるなり自分へ向けて繰り出した数々の言葉を思い出す。


「キラ、俺は・・・もっと力が欲しい。強くなりたい。・・・俺は『あの日』、渓谷で負けてからずっとそう想っていたんだ」
何も応えずキラは頷き
一呼吸おいて、ストライクは続けた。
「でも、想っているだけじゃダメなんだ。力がないと、結局何もできないまま終わってしまう。俺は今種子という力を手に入れた。でもそれを使いこなすためには俺一人ではダメだ。だから、戦うのは嫌かもしれないけれど、協力してくれ」
彼の必死ぶりについ了承してしまったんだっけ、と苦笑する。
一方のストライクは頬を両手で叩いたあとキラの方へと向き、真面目な表情で
「よーし、次は騎士になった時スピアを上手く使う訓練、
その次は法術士でお前みたいな素早い剣士と戦う事を想定した訓練だ!」
普通に続けたら陽が暮れそうなことを提案した。
「もう夕方なのに・・・そんなにやるの?」
「当たり前だ、少しでも多く種子の力を引き出さないと、な!」
キラはストライクが何故か焦っているように見えた。
『力がないと、結局何もできないまま終わってしまう』
その言葉にはキラも共感はできる。
だが、何かを守ること以上に彼は力を求めているような気がした。
種子を集める旅を経て、大きく変わってしまった気さえした。
そしてキラはこの先のザフトとの決戦でストライクがどこかへ行ってしまいそうな、そんな妙な不安にかられたのだった。
「どうした、キラ?」
しかし目の前にいるのは昔から変わらない、友の姿。
キラはどうせ自分の不安など当たらないとそれを胸の奥に押し込むと、
「いや、なんでもないよ」
ラクロアだけでなく、世界のために戦う友に力を貸そうと再び剣を手にとった。

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