「騎士の心」
三つの種子を手にし、ラクロアへと帰還するストライク達ラクロア騎士団種子捜索隊。
アマルフィ村を出発して二日目の夜、明日にはラクロアに着けるほどの距離まで進んだ
ところでストライク達は野営をして休息をとっていた。そしてストライクは眠れずに
運命の日――――そう、二人の近衛騎士が反乱を起こし全てが変わったあの日の事を
思い出していた。何故、彼らはラクロアを裏切りザフトへと寝返ったのか。あんなに
国や国民を愛していた二人が。嫌なことは忘れようと頭を切り替えるために他の事を
思い浮かべる。そういえば自分はあの日に騎士として認められるはずだったんだっけ。
何故騎士の称号を得ることになったのか、その事をストライクは思い出そうと頭の
中で記憶の糸を手繰り寄せる。そうしていると守護獣達が興味津々、といった感じで
話しかけてくる。わかったよ、今話すから。ストライクは意識を集中し、あの日の事を
語りだした。
アマルフィ村を出発して二日目の夜、明日にはラクロアに着けるほどの距離まで進んだ
ところでストライク達は野営をして休息をとっていた。そしてストライクは眠れずに
運命の日――――そう、二人の近衛騎士が反乱を起こし全てが変わったあの日の事を
思い出していた。何故、彼らはラクロアを裏切りザフトへと寝返ったのか。あんなに
国や国民を愛していた二人が。嫌なことは忘れようと頭を切り替えるために他の事を
思い浮かべる。そういえば自分はあの日に騎士として認められるはずだったんだっけ。
何故騎士の称号を得ることになったのか、その事をストライクは思い出そうと頭の
中で記憶の糸を手繰り寄せる。そうしていると守護獣達が興味津々、といった感じで
話しかけてくる。わかったよ、今話すから。ストライクは意識を集中し、あの日の事を
語りだした。
近頃野生のモンスター達が凶暴化し、近隣の村や町を襲撃しているとの報告を受けた
ラクロア騎士団は、特別に部隊を編成し派遣する事とした。城の守りは近衛騎士
デュエルと副団長マリュー率いる残りの騎士団に任せ、騎士団長フラガの率いる部隊、
闘士隊隊長バスターの率いる部隊、そして近衛騎士イージス率いる部隊がそれぞれの村や町に派遣される事となった。部隊にはそれぞれ数人のまだ実戦経験の少ない若い兵士が投入され、実戦形式の訓練も兼ねていたようだ。若き闘士ストライクもその部隊に投入され、イージス隊のメンバーとして行動する事となったのだった。ストライクは思う存分戦える事に胸を躍らせて村へと向かった事を語った。それに対しエールドラゴンは昔から単細胞だったのだな、と言いストライクが反論する前にソードレオがいや、戦いを前にして心躍るという気持ち、私はよくわかる、などと語りだす。そんな二体は無視してランチャーオウルが続けてくれ、と促す。色々言いたい事はあったがストライクはとりあえず続ける事にした。
ラクロア騎士団は、特別に部隊を編成し派遣する事とした。城の守りは近衛騎士
デュエルと副団長マリュー率いる残りの騎士団に任せ、騎士団長フラガの率いる部隊、
闘士隊隊長バスターの率いる部隊、そして近衛騎士イージス率いる部隊がそれぞれの村や町に派遣される事となった。部隊にはそれぞれ数人のまだ実戦経験の少ない若い兵士が投入され、実戦形式の訓練も兼ねていたようだ。若き闘士ストライクもその部隊に投入され、イージス隊のメンバーとして行動する事となったのだった。ストライクは思う存分戦える事に胸を躍らせて村へと向かった事を語った。それに対しエールドラゴンは昔から単細胞だったのだな、と言いストライクが反論する前にソードレオがいや、戦いを前にして心躍るという気持ち、私はよくわかる、などと語りだす。そんな二体は無視してランチャーオウルが続けてくれ、と促す。色々言いたい事はあったがストライクはとりあえず続ける事にした。
村に着いて村長に挨拶し、迎撃の準備を進める。イージスに実際に戦闘になった時の
対応について聞こうとするが、なかなか話しかけづらい。イージスは幼馴染で親しい仲
であるとはいえ今は自分の上官である。やはりどこか遠慮が生まれてしまう。珍しく黙ってもじもじと立ち尽くしていると、イージスのほうから話しかけてきた。「どうしたんだ、
ストライク。キミらしくもない。まさか、緊張してるのか?」ストライクとは違い、
いつもどおりの態度だ。一方のストライクは、「いやいやいや!まさか全然そんなことはないでありまぶっ!!」緊張のあまり噛んでしまう。「・・ストライク、落ち着いてくれ。キミはどうやら僕が隊長であることに対し引け目のようなものを感じているようだが、そんな
ものは必要ないよ。いつもどおりに接してくれ。」イージスが諭すように語り掛ける。
「いやでもやっぱ、なんかいざ同じ戦場に立つとなるとイージスは近衛騎士なのに比べて
俺はまだ駆け出しの闘士だし・・であります。」ハァ、とため息を返しイージスは続ける。
「いいかい、ストライク。地位なんてものは、単なる目安に過ぎない。大事なのは、人々を守りたいと願う心と、実際に行動する事だ。これらがあれば、称号などなくとも立派な騎士だと僕は思う。逆にこれらがなければ、いくら名誉ある騎士の称号でもただの飾りさ。」
「そんなもんなのか・・・」「そんなもんさ。」そしてそのやりとりの直後、見張り番の声が
響く。「モンスターが来たぞー!」急いで外へ出るストライクとイージス。双眼鏡を受け取り、数を確認する。ざっと見て50以上。こちらは20ほどしかいない。マズイな、と
思いつつ、「いくぞストライク。他の者も私に続け!闘士隊は村人を守れ!弓隊、法術隊はそれを援護しろ!」剣を携え、ストライクと他6名と共に村から飛び出した。
対応について聞こうとするが、なかなか話しかけづらい。イージスは幼馴染で親しい仲
であるとはいえ今は自分の上官である。やはりどこか遠慮が生まれてしまう。珍しく黙ってもじもじと立ち尽くしていると、イージスのほうから話しかけてきた。「どうしたんだ、
ストライク。キミらしくもない。まさか、緊張してるのか?」ストライクとは違い、
いつもどおりの態度だ。一方のストライクは、「いやいやいや!まさか全然そんなことはないでありまぶっ!!」緊張のあまり噛んでしまう。「・・ストライク、落ち着いてくれ。キミはどうやら僕が隊長であることに対し引け目のようなものを感じているようだが、そんな
ものは必要ないよ。いつもどおりに接してくれ。」イージスが諭すように語り掛ける。
「いやでもやっぱ、なんかいざ同じ戦場に立つとなるとイージスは近衛騎士なのに比べて
俺はまだ駆け出しの闘士だし・・であります。」ハァ、とため息を返しイージスは続ける。
「いいかい、ストライク。地位なんてものは、単なる目安に過ぎない。大事なのは、人々を守りたいと願う心と、実際に行動する事だ。これらがあれば、称号などなくとも立派な騎士だと僕は思う。逆にこれらがなければ、いくら名誉ある騎士の称号でもただの飾りさ。」
「そんなもんなのか・・・」「そんなもんさ。」そしてそのやりとりの直後、見張り番の声が
響く。「モンスターが来たぞー!」急いで外へ出るストライクとイージス。双眼鏡を受け取り、数を確認する。ざっと見て50以上。こちらは20ほどしかいない。マズイな、と
思いつつ、「いくぞストライク。他の者も私に続け!闘士隊は村人を守れ!弓隊、法術隊はそれを援護しろ!」剣を携え、ストライクと他6名と共に村から飛び出した。
「くっ!倒しても倒してもキリがないぞ!」闘士ダガーが叫ぶ。それに対しイージスが
「弱音を吐くな!我々が倒れたら誰が村人達を守るんだ!」しかし、敵の数も減っては
いるものの、こちらも次第に仲間が倒れていき、村の外ではイージス、ストライク、2名の闘士ダガーしかいなかった。しかし野生にしては統率力がありすぎると感じるイージス。それについて考える余裕はなく、イージスは手にした盾で攻撃を弾き、確実に敵を排除する。ストライクも最初は戸惑ってはいたもののだんだん戦いに集中しその実力を見せ始めていた。だが、どんどん追い詰められる状況に耐えられず崩れる闘士ダガーを庇って戦うものの多勢に無勢、そしてついにその一撃がストライクの顔面に――当たらなかった。ストライクに当たる瞬間、イージスが飛び出し彼を庇ったのだ。しかしあまりに急な行動であったため、その一撃は盾ではなく彼の右腕によって防がれることとなった。「ぐっ!」痛みにより剣を落とすイージス。その一瞬をモンスター達は見逃さず、一斉に飛び掛る。イージスはボロボロになり倒れる。その光景を見た瞬間、ストライクの中で何かが弾けた。体が熱い。時の流れがゆっくりになる。ここから先、ストライクの記憶はなくこれからの話はその場に生き残っていた闘士ダガーから聞いた話らしい。さぁ次はお前だと言わんばかりに近づいてくるモンスター達。次の瞬間、そのモンスター達の頭が弾け飛ぶ。何が起こったのかわからない、といった表情をしていたイージスにトドメを刺そうとしていたモンスターの頭も、これまた吹き飛んだ。そして次々とモンスターの群れに襲い掛かる影。それはストライクであった。今までとは全く違う動きを見せ、シュナイダーのナイフを手にあっという間にモンスター達を散らしその親玉を倒す。その後はモンスター達は散り散りに逃げていった。被害は大きかったが、ストライクが親玉を倒した事によりしばらくは安心できるだろうと言う事が村長より伝えられ、生き残った兵士達は手当てを受け休息をとることになった。ストライクは特に重傷であったイージスの元へ向かう。手厚い看護と、医療方面に特化したラクロアの法術により話ができる程度には回復したらしい。ストライクはイージスの前で頭を下げる。「すまない!イージス!俺のせいで、君にこんな傷を負わせてしまった・・!」しかしイージスは気にする様子もなく寧ろ「何を言っているんだ、ストライク。キミのおかげで結果としてモンスター達を撃退できたんだ。それに、僕がキミを庇ったのは単に友人だからじゃない。それだけなら、きっとキミが危険でも飛び出すことはなかっただろう。戦場というのは、そういうところだ。」彼を褒め称えていた。じゃあ
何故、と聞くストライクに「キミの行動で目が覚めたからさ。隊長である僕は、村人を守るため、仲間が死ぬのはやむをえないと思っていた。だがキミは違った。仲間を庇いながらもモンスター達に立ち向かっていった。新兵の無謀な行動といえばそれまでだが、それには間違いなく、騎士の心が宿っていたんだ。だから僕もキミをこの身をかけて救ったんだ。」「騎士の、心・・・。」「それにあの力はすごかった。やはりキミは只者じゃない。キミの兄さんも凄いが、肩を並べる日も遠くはないだろう。その時は・・・。」「その時は?」イージスは少し黙り、「いや、なんでもない。この働きが王様に伝われば、次の式典の勲章式で騎士の認定を受けるのはおそらくキミだ。その祝いと散っていった仲間達の弔いのためにも、今日は祝杯をあげよう。」そういうとケガした体もなんのその、ストライクを引っ張り部隊全員で村の酒場へと向かった。その祝いの席はイージスのせいで色々と大変なことになるが、それはまた別のお話。そこまで話し、ストライクはふぅ、と息を吐いた。
守護獣たちは思い思いの感想を並べ、最後にエールドラゴンが、「なるほど、それがお主が騎士の称号を得た理由か・・騎士の心、確かにそれは大事じゃな。そして今は以前よりも力をつけ、わしと融合することにより名実ともに騎士になったわけじゃ。国に帰ったら早速認定じゃな。」「よせよ、照れくさい。そんなもん別にいらねえよ。今の俺には種子がある。これからはみんなを守れるんだ。この力で。」その言葉に、守護獣一同は真剣な表情になる。
「その力は所有者であるお前がどう使おうと自由だが・・・・その言葉、本当だな?その覚悟に偽りはないのだな?」「あ、あぁ・・・。」突然の真剣な問いかけに少し驚くストライク。
そして守護獣一同は揃って心の中でこうつぶやく。
(*1))
「弱音を吐くな!我々が倒れたら誰が村人達を守るんだ!」しかし、敵の数も減っては
いるものの、こちらも次第に仲間が倒れていき、村の外ではイージス、ストライク、2名の闘士ダガーしかいなかった。しかし野生にしては統率力がありすぎると感じるイージス。それについて考える余裕はなく、イージスは手にした盾で攻撃を弾き、確実に敵を排除する。ストライクも最初は戸惑ってはいたもののだんだん戦いに集中しその実力を見せ始めていた。だが、どんどん追い詰められる状況に耐えられず崩れる闘士ダガーを庇って戦うものの多勢に無勢、そしてついにその一撃がストライクの顔面に――当たらなかった。ストライクに当たる瞬間、イージスが飛び出し彼を庇ったのだ。しかしあまりに急な行動であったため、その一撃は盾ではなく彼の右腕によって防がれることとなった。「ぐっ!」痛みにより剣を落とすイージス。その一瞬をモンスター達は見逃さず、一斉に飛び掛る。イージスはボロボロになり倒れる。その光景を見た瞬間、ストライクの中で何かが弾けた。体が熱い。時の流れがゆっくりになる。ここから先、ストライクの記憶はなくこれからの話はその場に生き残っていた闘士ダガーから聞いた話らしい。さぁ次はお前だと言わんばかりに近づいてくるモンスター達。次の瞬間、そのモンスター達の頭が弾け飛ぶ。何が起こったのかわからない、といった表情をしていたイージスにトドメを刺そうとしていたモンスターの頭も、これまた吹き飛んだ。そして次々とモンスターの群れに襲い掛かる影。それはストライクであった。今までとは全く違う動きを見せ、シュナイダーのナイフを手にあっという間にモンスター達を散らしその親玉を倒す。その後はモンスター達は散り散りに逃げていった。被害は大きかったが、ストライクが親玉を倒した事によりしばらくは安心できるだろうと言う事が村長より伝えられ、生き残った兵士達は手当てを受け休息をとることになった。ストライクは特に重傷であったイージスの元へ向かう。手厚い看護と、医療方面に特化したラクロアの法術により話ができる程度には回復したらしい。ストライクはイージスの前で頭を下げる。「すまない!イージス!俺のせいで、君にこんな傷を負わせてしまった・・!」しかしイージスは気にする様子もなく寧ろ「何を言っているんだ、ストライク。キミのおかげで結果としてモンスター達を撃退できたんだ。それに、僕がキミを庇ったのは単に友人だからじゃない。それだけなら、きっとキミが危険でも飛び出すことはなかっただろう。戦場というのは、そういうところだ。」彼を褒め称えていた。じゃあ
何故、と聞くストライクに「キミの行動で目が覚めたからさ。隊長である僕は、村人を守るため、仲間が死ぬのはやむをえないと思っていた。だがキミは違った。仲間を庇いながらもモンスター達に立ち向かっていった。新兵の無謀な行動といえばそれまでだが、それには間違いなく、騎士の心が宿っていたんだ。だから僕もキミをこの身をかけて救ったんだ。」「騎士の、心・・・。」「それにあの力はすごかった。やはりキミは只者じゃない。キミの兄さんも凄いが、肩を並べる日も遠くはないだろう。その時は・・・。」「その時は?」イージスは少し黙り、「いや、なんでもない。この働きが王様に伝われば、次の式典の勲章式で騎士の認定を受けるのはおそらくキミだ。その祝いと散っていった仲間達の弔いのためにも、今日は祝杯をあげよう。」そういうとケガした体もなんのその、ストライクを引っ張り部隊全員で村の酒場へと向かった。その祝いの席はイージスのせいで色々と大変なことになるが、それはまた別のお話。そこまで話し、ストライクはふぅ、と息を吐いた。
守護獣たちは思い思いの感想を並べ、最後にエールドラゴンが、「なるほど、それがお主が騎士の称号を得た理由か・・騎士の心、確かにそれは大事じゃな。そして今は以前よりも力をつけ、わしと融合することにより名実ともに騎士になったわけじゃ。国に帰ったら早速認定じゃな。」「よせよ、照れくさい。そんなもん別にいらねえよ。今の俺には種子がある。これからはみんなを守れるんだ。この力で。」その言葉に、守護獣一同は真剣な表情になる。
「その力は所有者であるお前がどう使おうと自由だが・・・・その言葉、本当だな?その覚悟に偽りはないのだな?」「あ、あぁ・・・。」突然の真剣な問いかけに少し驚くストライク。
そして守護獣一同は揃って心の中でこうつぶやく。
(*1))