著:5スレ目163殿
修理の犬 その4の続き



十一月、佐久間信盛率いる三千の援軍は浜松城に入城した。

 (=゚ω゚) 家康 「佐久間殿、援軍かたじけない」

( <●><●>) 信盛 「いやいや、三千ぽっちで申し訳無いのは分かってます」

 (=゚ω゚) 「そんな事は無いよぅ。 武田との戦を前にして心強いよぅ」

( <●><●>) (……家康殿は武田と正面から戦うおつもりか。 これは不味いですね)

 (=゚ω゚) 「戦は来月中になろう。 それまでごゆるりとされよ」

( <●><●>) 「御心遣い、かたじけない」



( <●><●>) (徳川殿の兵は多く見ても一万足らず、我ら援軍を加えても一万三千は届かない……)

( <●><●>) (対して、武田は倍以上の兵数。 城を数多落として士気も高いでしょう……)

( <●><●>) (まぁ戦までまだありますし、家康殿を説得する事も出来るでしょう)



十二月十九日、武田軍は二俣城を開城させた。

ミ(´∀` (彡 信玄「思ったより日が掛かったな」

ミ `Д´ 彡 信春「次はいよいよ家康の本拠、浜松城ですな」

ミ(´∀` (彡 「籠城戦はしたくないのう……」

信玄は軍配を弄びながら思案する。

ミ(´∀` (彡 「……!」

ミ(´∀` (彡 「隼人、逆さ魚鱗で進軍するぞ!」

信玄は陣馬奉行である原昌胤に向けて叫んだ。

{´昌`} 昌胤 「魚鱗の陣を逆さにした形……でしょうか」

ミ(´∀` (彡 「左様。 良いか、皆聞け……」



それから三日後、十二月二十二日。

/`ら^ヽ鳥居元忠 「殿! 武田軍、ここ浜松城へ進軍中! 間も無く見えますぞ!」

 (=゚ω゚) 「来おったか!」

( <●><●>) 「いいですね、家康様。 話した通り籠城し、上様(信長)の救援を待つのです」

 (=゚ω゚) 「……うむ」

信盛は既に家康の説得を済ませていた。



城から望むと武田軍がこちらに向かってくるのが分かる。
進軍する兵の雑踏が聞こえ、先頭を進む兵が浜松城の前に来た時……。



{´昌`} 昌胤「良し、いいでしょう。 皆、駆けるぞ!」


         /´〉,、     | ̄|rヘ
  l、 ̄ ̄了〈_ノ<_/(^ーヵ L__」L/   ∧      /~7 /)
   二コ ,|     r三'_」    r--、 (/   /二~|/_/∠/
  /__」           _,,,ニコ〈  〈〉 / ̄ 」    /^ヽ、 /〉
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                                         |ヽノ    、-〈巛.             |二|
                 ,rt、     ,-‐、             | ,rt、      ヾミ           |二|
           ハハ彡 /ト'ヾヽ   l=j, (,、        i`i`彡0fト'ヾヽ          ヽミ彡/       |二|
 ゞゝ──ゝ  /、 ゝX  彡ゝoノ ハハ/ソ/⌒ゝ       / ゝ 彡ゝoノ         /|  iヽ       |二|
        ( ' Y''''ノ\  彡 /、 ゝx彡ヾ > )、__ノ彡ミ= | 、ノ  彡くミヽノミ=       o,|   ||ol.      |二|
         `‐' ̄\ ヽノ  ( ' Y''ノ 彡く/彡'  \   `‐' ヽ____/ゞ | ヽ   へ  /〈|`‐' |〉      |二|
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-‐ _,,. .-‐   ヽソゝゝ     `''' 川リ|  `''' ,'ヽ 丿  /\// //  ヾ|      ヽ |ー| / / (ヽ / |二|
 -‐ _,,. .-‐  ,-‐'''" ゝ  ノ-ー'7ゝ ゝ  ゝ' ヽ ヽ   ヽソゝ/ //   /ゝ      ノ ゝノ ゞ   /ヾ, ヽ'
 _,,.    -=━━| -ー / 彡   /  / / . .. ヽ 〉  ノソヽ/ゝ     .  .   /ゝ /ゝ  /⌒、ヾ
    -‐'''""-‐'''ヽヽヽ/ / .:-‐' / // /   .  // / ゝ /ゝ   //            ||()|(\ヾ
    ,,,-‐'''""  _,..:-//,..:-‐'"// //_,..:'_,..:'  /ゝ/  < <       /       /    || |(丶|
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    _,..:-‐'"      _,..:''   _,..:'         /             /       /      \



先頭を進む原昌胤の部隊が進軍を速めた。
それに引きずられるように、全軍が浜松城の目前を駆ける。

ミ(´∀` (彡 「……」

昌胤の部隊の後ろにいた信玄が浜松城を見上げる。

 (=゚ω゚) (……あれが、武田信玄か?)


        ミ《,M,》彡 
        ゝ(´∞`)ノ> 彡
      彡_e ´∀` 3`-、_
   。   /./'';;,, ,,;;''`ヽ/ \
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    く彡彡,;jijijijijijijijjij;、ヽミミヽ
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家康と目の合った信玄は、ぺこり、と軽い会釈をした。
まるで、悪いね通らせて貰うよ、と告げている様に家康には見えた。


(#゚ω゚) 「~~~~ッ!!」




続けて、きらびやかな旗印に率いられた部隊が、洪水の様に浜松城の前を駆け抜けていった。


                             ______        _______
            _______            |         |          │          |           _____
         │         |.           │       |          │  ./ヽ.    |           |        |
         │  <>   │        │〓〓〓〓|          │ヾ゛ヽ.,ノ'`フ │.        ||||||||||||||||||
         │<> <>│        │〓〓〓〓|          │ .>-'i`-<   |           |   ,、   |
     ,‐.  ,-.|   <>  │    ,(   )、.|||||〓〓〓 |          | ,,'-ー^ー-ゝ |           |||||<×>|||||
     | |,....//│         │    | |,....//│.      │    ,(●)、..|  __      |  ヾー-, ,-ー7  `"   .|
     ,.|‘ー'ノ`ヽ           |    ,.|‘ー'ノ`ゝ、      │   ,(‘ー'ノ`ゝ、| `-、.   |    ヽ ●) /、||||||||||||||||
  _∧ソ⌒`、,ヘ |        │ _∧ソ二`、(_(..      |_∧ソ二`、(_( | /●.'`l___| _∧ノ`ー'ヽっl.       |
 (_・ |`д´ヽKゝ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ (_・ |/(^ω^ ヽ ̄ ̄ ̄ ̄(_・ |/(・ω・ヽ ヽl7>,   'l  (_・ |/('A`ヽ__ヽ  ̄ ̄ ̄
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(`・ω・´)  「あれが家康か……」

( ^ω^) 「ここで討ち取れれば、後が楽になるお」


(=゚ω゚) 「信玄の嫡子・勝頼、内藤修理、あの赤備えは山県、穴山……」

最後に、馬場美濃守、小山田信茂らが駆け去って、浜松城は静寂に包まれた。



( <●><●>) 「家康殿、良かったですね」

 (#゚ω゚) 「何がだよぅ」

( <●><●>) 「実は武田と戦わずに済んでほっとしてるでしょ? わかってます」

 (#゚ω゚) ブチッ!

 (#゚ω゚) 「武田を追撃致す! 出陣じゃ!」

(; <●><●>) 「お待ちくだされ! 放って行かせてしまうのです!」

 (#゚ω゚) 「領地を勝手に進軍されて平気な者がいるかよぅ!」

(; <●><●>) 「しかし我らは一万とわずか……。 あちらは二万七千を超えております」

 (#゚ω゚) 「兵数など問うところでは無い! 運は天にある!」

(; <●><●>) (あ~ぁ……)



武田軍の先頭、原昌胤隊は三方ヶ原の外れ、祝田の坂に差し掛かっていた。

{´昌`} 「よし、止まりなさい!」

昌胤の号令で全軍が止まる。

ミ(´∀` (彡 「さーて、どうかな……」

信玄は心底嬉しそうに、床几に腰掛けた。



 (=゚ω゚) 「きっと今頃、武田は祝田の坂を下る頃……」

 (=゚ω゚) 「坂の上に陣取り、攻めれば勝機はある!」

徳川・織田の連合軍も三方ヶ原に出た。そこで、恐るべきものを目にした。

 (;゚ω゚) 「こっ! これは!」

|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||三方ヶ原||||||||||||||||||||

            (;゚ω゚)徳川  (; <●><●>)織田


   (-@∀@)小山田

  彡`Д´ミ馬場     (`・ω・´)山県

           ('A`)穴山    ( ^ω^)内藤     

               (`д´)勝頼  
  
      (`又′)小幡  (’ー’*)高坂  ( `ハ´)跡部  ( ´_ゝ`)真田            

               ミ(´∀` (彡信玄

           横田            {´昌`}原
        
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||

そこには、重厚な魚鱗の陣を敷いた武田軍二万七千があった。

二俣城からの進軍は、全て家康が出てくる事を見抜いての信玄の采配であった。
予め魚鱗の陣のまま進軍し、祝田の坂の手前で反転。 追撃する徳川を迎え撃つ、完璧な作戦である。

ミ(´∀` (彡 「ほれ、かかった!」

{´昌`} 「恐るべきはお館様の用兵よ……」

ミ(´∀` (彡 「小山田に伝えよ、石礫を浴びせ徳川を誘え、とな」



徳川・織田連合軍には恐慌が広がる。

 (;゚ω゚) 「いっ、急ぎ鶴翼の陣を敷け!」

佐久間信盛は既に撤退に掛かっていた。

( <●><●>) 「これまでですね。 我が部隊は退かせて戴きます」


/`ら^ヽ 「殿! 佐久間殿が退かれますぞ!」

 (#゚ω゚) 「元忠! 問いただして来い!」


/`ら^ヽ 「佐久間殿! 何ゆえ兵を退かれる!」

( <●><●>) 「私が出陣をお止めしたにも関わらず兵を出し、このような窮地に陥ったからです」

/`ら^ヽ 「殿が討たれるやも知れぬ! お力添えを戴きたい!」

( <●><●>) 「私は徳川の家臣ではありません。 このままでは大切な兵を失う事がわかってます」

( <●><●>) 「徳川殿は己が分を誤った。 付き合いかねます」

元忠は去ってゆく信盛の背中に言い放った。

/`ら^ヽ 「佐久間殿は天下に薄情者の名を残すであろう!」

( <●><●>) 「……わかってます」

戦闘はわずか一刻(二時間)程であったが、徳川は大敗し、多くの将と兵を失った。

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最終更新:2010年06月13日 20:01