243 :もしハサ ◆yfIvtTVRmA:2008/02/07(木) 02:02:54


「数が足りない・・・シロウ・・・ハサンはまだ生きて・・・」

衛宮士郎はイリヤの体の事を全くアインツベルンから知らされてはいない。
もちろん彼女の体が器である事、ましてやその身体の付属的な作用として
生き残りの英霊の数を知る事ができる事もだ。
だが、彼女の振り絞った声からハサンが生きているという発言部分だけは
理解する。

「み、皆っ聞いてくれ、イリヤがっアサシンがまだって」
「なに?どうしたんだよ衛み――ガッ」

振り返る慎二の首が裂け、血が噴水の様に噴出す。
そして糸が切れた人形の様に崩れ落ちる慎二の真後ろ。黒い輪郭が徐々に現れ、
やがて黒タイツの老人の姿がマスターだった者達の前に現れた。

「やあ皆さん」

胸に空いた体の向こう側が見えるほどの大きな傷跡、皮膚のない笑顔、
間違い無くさっきまで自分達を閉じ込めていた、そしてついさっき
令呪によって自害したはずのハサンがそこにいた。

「何で」

そう言ったのは凛だったかそれともバゼットだったか。
驚愕と疑問のひしめく中どちらとも知れない女性の声が辛うじて
発せられたのがその場に者達の耳に届いた。

「何で、ですか。その何ではここにいる全員の疑問であり、色々な事に
対しての何ででしょうね。それじゃあお答えしましょう。
まず、バゼットさんとのリンクが切れ私の力は大きく減少しました。
そこに残りのマスター全員による令呪による自害命令の追い討ち、
普通の英霊ならこれで終わったんでしょうね」
「そうだ、お前は■んでいなければおかしい」
「はい、そうですね。でもね、私はこうしてまだ生きている。
つまり私がおかしいと言う事ですよ。同時召還という偶然によって私の体内に
宿った七つもの魂。そして、対人戦はともかく英霊の体にダメージを与えるのを
大の苦手とするアサシンというクラス、加えて私はハサンの中でも
戦士ではなく教祖としての側面が強い事、最後に令呪の命令には絶対従わなければ
ならないが能力を超えた命令の場合は結果が伴うとは限らない事、
ここまで言えばお分かりですね皆さん?
そう、合計十八個の令呪の命令によって自害を試みたのですが、
私の実力では私を倒しきる事ができませんでした。
全ての魂を消し去るよりも早く令呪の力が尽きてしまったのですよ。
ホント弱くてすみませんね、頑張ったんですけどねえ」

自分が生き残った理由の説明を終えたハサンは、ククと押し殺した笑い声を
出しながら倒れ付した慎二の背に足を乗せる。
口調こそ契約時と変わらないが、彼の態度はもはや完全に魔術師達の従者のそれでは
なくなり、それどころか彼らを害する者になった事を示していた。

[選択肢]
イ.「それではそろそろクライマックス、ラストバトルと行きますか。
皆様方、私を■そうとした恨み晴らさせてもらいますよ」
ロ.「では、さようなら。いつか力を取り戻したら今度はお客様として
皆様を奇想奇館に招待しますよ」

投票結果


イ:5
ロ :0


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最終更新:2008年10月25日 16:16