754 :もしハサ ◆yfIvtTVRmA:2008/05/02(金) 04:07:53
分かっていた事である。だが、ハサンはある確認の為あえて言峰に問いかける。
「残りの二画の令呪、それで私に再度自害を命じるわけですか」
「ああ」
何の感慨も無く、およそ感情と言うものを感じられない声で当然の返事をする言峰。
ハサンはそれに違和感を感じた。
確かに彼は奇想奇館展開中の戦いに参加してなく、先程までマスターでもなかった。
だが、この男はこの戦争の監督役であり、神父であり、何よりここにいる参加者の
うち何人かと知人なのである。決して無関係ではない、感情を挟む余地は十分にある。
彼のような状況におちいれば普通は目の前の存在、そう、聖杯戦争を捻じ曲げ自らの
知り合いを危機にさらした暗殺教団の長に対して平然と構えていられるはずがない。
憤怒もしくは侮蔑の篭った目をしこちらを睨み付けるものだ。少なくともハサンが
生前に戦いあるいは捕らえたキリスト教徒は皆そうだった。
令呪をハサンに向けたまま、言峰は一歩進む。そして、背中を向けたまま語りかける。
「凛、バゼット、怪我人を頼めるか?アインツベルンの連中ももうここに気づいている
だろう。近くで様子を伺っているはずだ、彼らに助けてもらえ」
「ですが言峰、あなたは一人で大丈夫ですか?」
「問題ない、これの使い方はお前達よりも心得ている。それに足手まといが多数傍に
いると最後の詰めをしくじりかねんからな。さあ、手遅れにならんうちに早く行け」
凛とバゼットは言峰の言葉に従い、アインツベルンの陣営と合流し今度こそ戦いを
終わらせるが為、他の人物を先導し廃墟を後にする。
慎二は桜、イリヤは士郎の背に乗せられた。
「さて、邪魔も無くなったし始めようかハサン」
マスターだった者達を見送り、ハサンに最後通告を行う言峰。
この時ハサンは彼の変わらぬ表情を見てついに確信した。
ああ、そうか―
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最終更新:2008年10月25日 16:19