6 :371@銀剣物語 ◆snlkrGmRkg:2008/05/20(火) 22:51:59


 ……なに、あれ?

「い……痛いよぉ……」

 床の上で、頭を抱えながら涙ぐんでいるドールの姿があった。
 特徴的な帽子が、頭からズレかかっている。
 その側には、留め金が外れたのか、口が開いたままの鞄が。
 ……きっと、着地した衝撃で、外に放り出されたのね。

「……蒼星石?」

 思わず、私は用心することも忘れて声をかけてしまった。
 もしも相手が敵意を持っていれば、それは致命的なミス。

「うぅ……?
 あっ、水銀燈」

 私の声に気がついたのか、ドール……蒼星石は、顔を上げてこちらを見た。
 そして、私の姿を認めるや否や、慌てて立ち上がると姿勢を正した。

「久しぶりだね。
 キミとこうして会うのはいつ以来だろう?」

 キリッとした顔つきに、クールな言葉。
 この子、蒼星石が本来備えている要素そのものといった感じの姿……だけど。
 ……まだ目尻に涙が残ってるわよ、って教えてあげるべきなのかしら?

「私が覚えている限り、こんな出会い方をしたのははじめてね。
 貴女はこういうことするようなキャラじゃなかった気がするんだけど」

 そう、どちらかと言えば、蒼星石はアリスゲームに肯定的なドールだったはず。
 お父様の願いを叶えるために、姉妹たちと戦うことを躊躇わない。
 だからこそ、私も十分に警戒していたんだけど……。
 なんか、さっきの姿を見てしまった後じゃあ、そんな気分じゃないのよね。

「は、恥ずかしいところを見られちゃったか。
 随分急いでいたからね、思わずブレーキを掛け損ねてしまったよ」

 困ったように眉を寄せ、赤面する蒼星石。
 ……やっぱり、戦いに来た雰囲気じゃないわねぇ。

「それこそ、貴女らしからぬ話じゃない?
 そこまで急ぐくらいに焦るだなんて。
 一体何があったのかしらね」

「……それなんだけど、水銀燈」

 そう言って、蒼星石が真剣な顔に戻って、告げた。

「実は、水銀燈に頼みがあって来たんだ」

「私に、頼み……?」

 蒼星石の言う頼み、それは……。


α:「敵を倒すために、ボクに力を貸して欲しいんだ!」アリスゲームでの共闘だった。
β:「翠星石を探すのを、一緒に手伝って欲しいんだ!」蒼星石の妹の捜索協力だった。
γ:「お願い、ボクをマスターから匿ってほしいんだ!」……まさかの亡命要請だった。


投票結果


α:
β:2
γ:5


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最終更新:2008年10月25日 16:03