202 :371@銀剣物語 ◆snlkrGmRkg:2008/06/05(木) 05:40:24


 あんまり長くは考えなかった。
 そんなに深く考えることでもないしね。

「……まあいいわ。
 特に断る理由も無いしぃ」

「えっ?」

 いや、だからぁ。
 なんで貴女がそこで意外そうな顔をするのよ、蒼星石? 

「いや、ボクが言うのもなんだけど、いいの?
 そんなに、簡単に……」

 そんなこと言われてもねぇ。
 それとも、しばらく考えたいから出直してきてちょうだい、って言ってほしかったのかしら。
 そしたら困るのはそっちでしょうに。

「というか、どっちでもよかったのよね」

 そう、積極的に首を縦に振る理由があったわけじゃない。
 本当に、特に断る理由が無かったから、受け入れただけのこと。
 いずれにしても、長く考える必要は無かった。
 でも、蒼星石はなんだか納得がいかなかいみたいだった。

「……本気かい?
 これで、ボクがキミを騙し討ちにするつもりだったら?」

「もうされてるわよ」

「え?」

「これよ、これ」

 私は視線で、失った腕を示してやる。
 それは、昨日、教会で奪われたもの。
 ま、アレはどちらかと言えば騙し討ちというよりも不意打ちだったけど。
 なんにせよ、こんなジャンクの身体では、アリスゲームで勝っても意味が無い。
 一度こぼれた水はもう戻らない。
 だったら、もう一度こぼしたところで、今更惜しむものなんてないし、そのために戦う気も起きない。
 それくらい、今の私はアリスゲームに対する意欲が無かった。

「……ごめん。
 嫌なこと、聞いちゃったね」

 やっぱりつくづく真面目な奴ね、蒼星石ってば。
 そもそも、貴女が本気で騙し討ちするような性格だったら、あんなに双子の片割れに振り回されて無いでしょうに?

「貴女に謝られる筋合いはないわぁ。
 とにかく、ここに隠れるなり何なり、好きになさい。
 ただ、ここに住む人間に見つかって追い出されても、私は知らないわよ」

 ま、十中八九、そんなことにはならないけど。

「……うん。
 ありがとう、水銀燈」

 感謝される筋合いもないんだけど……まあいいわ。
 いちいち言ってたらキリが無いもの。
 私は肩をすくめて、蒼星石の言葉を受け取った。


α:――Next Interlude side 4th Doll. あるいは彼女が如何にして契約者の下から去ったのか
β:――Next Interlude side Yukika. あるいは彼女が新都で何を見、何を聞いたのか
γ:――Interlude out. あるいは彼が彼女と何処を歩き、何を話したのか


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最終更新:2008年10月25日 16:04