292 :もしハサ ◆yfIvtTVRmA:6sizex(3){2008/10/31(金) 23:21:22}


エピローグ4「もしも運命の再会というものがこの世に有るのならB」

納豆のパックを開けハシで中身縦横に割り4等分する。1パックの四分の一の納豆を
ご飯の上に乗せ、ここで凛は勇気を振り絞りさらなる納豆の追加を試みる。
左手で桜からの視線を塞ぎ、その隙に一粒、また一粒。

「姉さん」
「ヒッ!」

恐怖にとって凛の手が硬直し顔も強張る。ご飯の上に乗るはずだった一粒が椀の横に
落ちた。

「もう戦争は終わったんだし、家にあるものはいくら食べてもいいんですよ」
「そ、そうだったわね。桜、醤油とって」
「自分で取ってください姉さん。そんな事でこれから一人でやっていけるのですか?」

今日から、正確にはこの朝食を最後にこの家にはまた凛一人となる。
遠坂には遠坂のマキリにはマキリの後始末が残っている。桜がマキリを継いだ以上
二人でいつまでも一緒にいる事はできない。醤油は自分で取らなくてはならない。

「でもさ、桜もよく継ぐ気になったわね。って言うかあのワカ・・・慎二がよく譲って
くれたわよね」
「あの洋館での事がよっぽど堪えたんでしょうね。兄さんは魔術から身を退いて
私の指南役の様な存在としてふんぞり返りたいんですよ。自分は苦労せずに
家での立場は上であろうとする、実に兄さんらしい」
「それを分かっていてもあんたは戻るんでしょ?」
「はい。これはチャンスですから。兄さんに主導権があると思わせておいて少しずつ
立場を逆転させる。いずれは本当にあの家を私のものにしてみせます。それに」
「それに?」

桜は少し遠くを見るような目をし、言葉を続けた。

「それに、私はやっぱりあの家の間桐の人間だからですね。姉さんと一緒にこの家に
いる間何度もそれを実感しました」
「あら、そんなに私との生活は辛かった?」
「そんな事はありませんよ。姉さんの監視という名目だったけどこっちでの生活は
楽しかった。でもある日気付いたんです、私はここにいる間もあっちの家の事ばかり
考えていた。どうすればあの兄とお爺様に一泡吹かせられるかを考えていた。
そして、その考えを実行する為には私はこちらにいてはいけないと知った。
遠坂凛の妹としてではなく間桐桜としてあの家と決着をつけたいと思ったんです」
「なるほどね。つまり、やっぱり桜は嫌いじゃないのね。間桐の家がさ」

務めて冷静に冷蔵庫を開けてキンキンに冷えた麦茶をコップに半分注ぐ。

「違いますよ!!」

一気に飲んでから反論する桜だったが、冷たい飲み物を飲んだ後にも関わらず
その顔は真っ赤だった。

「考えてみればあなたが来てからだいぶ経つものね。そっか、寂しかったんだ桜。
おうちでお兄ちゃんと一緒にいないと落ち着かないのね」
「だーかーらー、ちーがーいーまーす。私はっ、ほら、私がそばにいないとあの
兄がいつくたばるか分からないじゃないですか」
「はいはい、一生傍にいたいってのね。わかったわかった、桜にとってあいつが
私以上に大事なのはわかりました。日記にもあいつの事ばっか書いてあったものね」
「・・・日記?」
「うん、桜が毎日書いてたアレ」

赤くなっていた桜の顔が見る見る青ざめていく。そう、日記といえばアレしかない。
それに対し凛は余裕の笑みを浮かべ日記の内容を歌うように語りだす。
今、二人の力関係は完全に逆転した。

「『○月◎日 ☆☆☆☆☆☆☆
姉、私の体を見て間桐で行われていた虐待に気付く。もっと早く気付いて欲しかった。
二人で手を取り合い間桐を倒しましょうと泣き倒してみたが、借金がある手前爺に強く
出れない姉。このヘタレめ』ま、日記を勝手に見たのは悪かったけど桜だって自分の
手を汚さずに私と間桐をぶつけようとか考えていたんだし、これでおあいこね」
「姉さんのっ、バカーッ!」

桜本気の怒声、直後乾いた音が家の外まで響き渡った。

桜が手荷物と共に去り、全てが元通りになった。
まだまだ管理者としてやらなければならない事はたくさんある。
衛宮士郎の経過観察、イリヤスフィールと間桐臓硯の葬儀への参加、
今回の聖杯戦争の経緯の編集、いまだ残る借金の返済。
そして、何年後になるかは分からないが次回の戦争までの準備。

「ま、とりあえずできることから一つずつ。ゆっくりじっくり優雅にね」

そう言い、腫れた顔をさすりながら食卓の中央に置かれた醤油の瓶をそっと
手元に近づけた。

[選択肢]
イ.バゼット
ロ.イリヤ


投票結果

イ:1
ロ:5


連載時コメント

+ ...
294 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/10/31(金) 23:25:47
ロ.イリヤ


295 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/10/31(金) 23:27:55
イ.バゼット

納豆が戻ってきた。
プロローグがあれでシリアスになるなんて誰が想像できただろう。


296 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/11/01(土) 00:11:29
:白い、ディスクケースを手に取る
ロ.イリヤ

シリアスもシリアス、ドシリアスだったからな、ギャグも混入してるが(むしろ、シリアスさがギャグの域な不幸魔術師とか)


297 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/11/01(土) 00:29:07
ロ.イリヤ


298 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/11/01(土) 03:56:19
:白い、ディスクケースを手に取る
ロ.イリヤ

もしハサももうちょいか


299 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/11/01(土) 04:10:32
ロ.イリヤ


300 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/11/01(土) 09:45:18
炉……もといロ.イリヤ


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最終更新:2008年11月01日 15:17