450 :遠坂桜 ◆0ABGok2Fgo:2008/12/03(水) 19:45:34


 轟音が空を揺るがした。
 見れば、地上で火が燃え盛っていた。
 キャスターは訝しげに、それを眺めた。
 爆発が起きたのか、起こしたのか。
 どちらにしろ、大間抜けの所業だ。
 魔術によるものではなく、紛れも無く物理的な爆発だった。
 ならば自爆にせよ事故にせよ、近くで着火する必要があった筈だ。
 それは、その場所に誰かが居るという証明に他ならない。
 やはり愚かだ、聖杯戦争の最中に自ら位置を報せるなど。
 たった今の爆発は、愚か者が引き起こした、捨て置いて構わない事象だった。
「……けど」
 視線を炎から逸らした。
 爆発は、放置して構わない。
 だが、その愚挙がキャスターの腹積もりを狂わせている。
 静かに近づき、ガードのマスターの首を落とす。
 それは諦めなければならないだろう。
 地上には、立ち上がったガードのマスターの姿がある。
 さっきまで閉じられていた彼女の瞳は、今や空に舞うキャスターを捉えていた。
「ごきげんよう、お嬢さん」
 キャスターの言葉が届くと、少女は身構えた。
「キャスター……! なんで、ここに」
「ふふ。判っているでしょう?」
 キャスターは目を細め、少女を見据えた。
 少女は眉の根を寄せた。
 本当にわからない、といった風にだ。
「あら、鈍いのね。
 なら、何も判らないまま死んでもらいましょう」
「……わたしを殺したって、イリヤちゃんにはバーサーカーが居ます。
 イリヤちゃんが起きれば、もう奪えませんよ」
「? ああ、そういうこと」
 キャスターは納得した。
 イリヤを奪うつもりなら、少女を殺すより重要なことがある。
 だから彼女は、キャスターがここに現れたことが解せないのだ。
 そして、それを突きつけることによってキャスターの動揺を誘おうとしている。
 キャスターにとって、それは好ましい事態だった。
 計算がこれ以上狂わないように、事を速やかに為す必要があると思っていた。
 だが少女が何も気付いていないなら、急ぐ必要はない。
「そう……なら、遊んであげられるわね。
 ちょうどよかった。貴女には、少しお礼をしてあげたいと思っていたのよ」
 キャスターの頬に邪な笑みが浮かんだ。
 少女は見事に邪魔をしてくれた。
 あの余計な真似がなければ、キャスターは既に聖杯の器を手に入れていた筈だ。
 今のような手間は必要なかった。
 些細な手間である。
 だが、無駄に手を煩わされるのは、気持ちのいいものではない。
「令呪を使って、ガードを呼び寄せても構わなくてよ?
 貴女が何をしたところで、私の勝利は揺るがないもの」
 キャスターは呪文を呟き、無造作に指を捻った。
 少女のすぐ側で、魔力が弾ける。
 余波に巻き込まれた少女の体が地面に転がった。
 少女はすぐに起き上がり、キャスターを睨みつける。
 暗がりの中で、野犬のような光だけが瞳から放たれていた。
 イリヤの意識が戻れば、ガードがキャスターを倒しに来る。
 あるいはバーサーカーも一緒に連れてくるかもしれない。
 それまで粘れば。
 少女はそう考えているのだろう。
「ふ――精々頑張ってちょうだい、お嬢さん」
 キャスターは少女を見下し、鼻で笑った。
 とうに助かる道など無いのに、見当違いの希望を抱いている。
 その愚かで惨めな様に、キャスターは冷たい憐憫を抱いた。
 しかし。
 不測は、何も桜の身だけに起こっていたのではない。
 キャスターの計算の外。
 予想にない闖入者が、すぐ側に迫っていた。


槍さん:現れたのは青い槍兵とスーツの女。【視点:遠坂桜】
南無三:現れたのは赤毛の少年。
外人さん:現れたのは金髪の少女。【視点:遠坂桜】


投票結果


槍さん:5
南無三:3
外人さん:1


連載時コメント

+ ...
451 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/12/03(水) 19:54:21
槍さん:現れたのは青い槍兵とスーツの女。【視点:遠坂桜】

遠坂桜は全身タイツの尻の夢を見るか


452 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/12/03(水) 19:56:15
南無三:現れたのは赤毛の少年。


453 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/12/03(水) 20:01:39
槍さん:現れたのは青い槍兵とスーツの女。【視点:遠坂桜】

カモーンアニキー


454 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/12/03(水) 20:17:04
槍さん:現れたのは青い槍兵とスーツの女。【視点:遠坂桜】


455 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/12/03(水) 20:30:47
外人さん:現れたのは金髪の少女。【視点:遠坂桜】


456 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/12/03(水) 20:30:58
南無三:現れたのは赤毛の少年。


457 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/12/03(水) 20:41:41
槍さん:現れたのは青い槍兵とスーツの女。【視点:遠坂桜】


458 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/12/03(水) 20:44:24
南無三:現れたのは赤毛の少年。

さあこい見事な尻の男、きたからって戦力になるかは不安だが


459 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/12/03(水) 20:47:57
槍さん:現れたのは青い槍兵とスーツの女。【視点:遠坂桜】
全身タイツに桜さんはどんな感想を抱くのか


460 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/12/03(水) 21:54:06
南無三:現れたのは赤毛の少年。


461 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/12/04(木) 11:33:53
槍さん:現れたのは青い槍兵とスーツの女。【視点:遠坂桜】


462 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/12/05(金) 22:50:45
外人さん:現れたのは金髪の少女。【視点:遠坂桜】


463 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/12/06(土) 00:06:29
459の時点で決まってるぞ。

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最終更新:2008年12月06日 18:38