426 :逆月裁判 ◆4wSURDq66Q:2009/02/20(金) 00:13:11


 間桐桜/これで分かっていただけました?
  後藤/ええ、よく分かりましたよ。
     貴方は料理などしていない、少なくとも5時以降は確実に。
 間桐桜/なっ!?
  後藤/用意された料理はそれ以前に貴方が作って持ち込んだ物か、
     あるいは事前にどこかに隠してあったのかもしれません。
     どちらにせよ食べる予定の無い料理だったので気付かれる心配はなかったでしょうね。
 間桐桜/根も葉もない事を! 根拠があるなら見せてみろ!      
  後藤/いいでしょう。

――――くらえ!

証拠品『現場から勝手に持ち出した被害者の醤油瓶』を提出しました。

 間桐桜/これは、先輩の……。
  後藤/そうです。偶然、現場から押収された証拠品です。
     さて、証人。この中身は何が入っていると思いますか?
 間桐桜/え?そんなの決まっているじゃないですか。醤油ですよ。
  後藤/間違いありませんね。
 間桐桜/当たり前じゃないですか。
     実際に使ったんですから判りますよ。

  後藤/そうですね。実際に使っていたなら気付いたでしょう。
     ―――中身が摩り替わっている事実に。
     実は、これは醤油ではなくオイスターソースなんです。

 間桐桜/へ? お、おいすたー、そーす?

  後藤/藤村大河のイタズラでね。
     電話をかけた時に気付くべきでしたね。
     朝食を摂る予定も無かった彼女が何故、現場に居たのかに。

突きつけられた事実にふらりと彼女の姿勢が崩れる。
しかし、それも束の間の出来事。その場に踏み止まった彼女が再び乱打を繰り返す。
自分の拳が砕けるのも構わずに骨のへしゃげる音を響かせる。

  間桐桜/ふざけるな! あの馬鹿女!
      オイスターソース? 何でそんなものを!
      なんで、なんでみんなして私の足を引っ張る!?

   後藤/裁判長。弁護側からは以上です。
  知恵留/はい。これは大変な事になってしまいましたね。
      検事から何かありますか?
アーチャー/いや、残念だが認めるしかあるまい。


  間桐桜/――――まだですよ。   

   後藤/え?
  間桐桜/言われてみて思い出したんですけど。
      味見した時に何かおかしいなって気がしたんです。
      ああ、あれオイスターソースが入ってたからなんですね。
      気のせいかと思ってすっかり忘れていました。
      でも、そんなので私が殺人を犯した証拠になりませんよね?

アーチャー/諦めたまえ。料理を調べれば分かる事だ。 
      オイスターソースと醤油では成分が違う。

  間桐桜/料理? あんなのもう捨てちゃいましたよ。
アーチャー/な……! それは証拠隠滅だぞ!
      蒔寺刑事が現場保存を説明したはずだ!

  間桐桜/へえ、現場って道場内だけじゃないんですね。
      初めて知りました。説明もありませんでしたし。
      まあ、証拠隠滅でもいいですよ。
      殺人罪を問われるよりかはマシですから。

   後藤/(ま……まずいぞ。料理が無いんじゃ立証のしようがない)


――――待った!

  間桐桜/!?
アーチャー/!?
  知恵留/!?
   後藤/!!?     

  蒔寺楓/あたしの事も忘れてもらっちゃ困るぜ!

アーチャー/すまんが後にしてくれ。今、取り込み中だ。
  蒔寺楓/ぶーぶー、ちげえよ。あたし持ってんだってば、それ。
   後藤/それ……と言うのはまさか!?

  蒔寺楓/そうさ! 現場にあった朝食!
      しっかり保管してあるぜ!うちの冷蔵庫に!

アーチャー/れ、冷蔵庫だと?
  蒔寺楓/そうだよ。目玉焼きは食べたけどさ、
      全部食べるには時間が足りないかなって思ったからね。
      持って来た証拠品保存用のケースと水筒に移して持ち帰ったのさ。

  間桐桜/そ、そんなの違法捜査よ!証拠になんて……。   
アーチャー/いや、事件に関連性があると認められれば押収は可能だ。
      そして、その関連性は弁護士が示した、これは立派な証拠として認められる。
      蒔寺刑事、でかした。それに免じて勝手に証拠品を持ち帰った事には目をつぶってやろう。

  蒔寺楓/いやー、それほどでもないって。


  間桐桜/…………。
   後藤/終わりですね、今度こそ本当に。
  間桐桜/もう別に抵抗するつもりはありませんよ。
      だって私の目的は達成したんですから。
      先輩を独り占めするという目的は。

アーチャー/アルトリア氏と出会う前から被害者に好意を寄せていたのだろう。
      近しい人間からも証言は取れている。
      だから彼女に奪われたくなかった、そうだな?  

  間桐桜/そうですよ。何年も、何年も、何年も想い続けてきたのに。
      終わってしまうのは一瞬なんですから残酷ですよね。
      ああ、そうだ。私には弁護士なんて要りませんよ。
      死刑にしてもらえれば、またすぐに先輩に会いにいけますから……。

  知恵留/大変な事になってしまいましたが、彼女は?
アーチャー/緊急逮捕した。後は別の法廷で裁きを受けるだろう。
  知恵留/そうですか。では被告人の殺人容疑についての判決を言い渡しましょう。


――――無罪!!


○月○日 午前11時21分
地方裁判所 被告人第2控え室

アルトリア/まさか桜が犯人だったとは……。
   後藤/(さすがにショックは隠しきれないか)      

彼女は間桐桜に対して親愛の情を抱いていた。
それが最も愛する人の命を奪った仇になった今、
いったいどんな感情が胸中に渦巻いているのだろうか。

  後藤/(間桐桜の思惑を彼女に告げるべきだろうか)

(選択)真実を伝える?

Y/隠す必要はない
N/知らせなくても良い事はある


439 :逆月裁判 ◆4wSURDq66Q:2009/02/20(金) 17:55:45


  後藤/(……これは言うべきことじゃないな)

ギルガメッシュ氏が現場を訪れたのは予期せぬ出来事だった。
それを間桐桜が計算に入れていたとは思えない。
なら、彼女は一体“誰”を犯人に仕立てるつもりだったのか。
6時から6時半までのアルトリアさんのアリバイを立証出来たのは間桐桜だけ。
もしも『料理に集中していたので気付かなかった』と彼女が言っていたなら……。
そして、玄関の掃除を頼んだ事も計画の内だったのだろう。
アルトリアさんなら被害者が道場から出てくるまで待っていただろう。
あまりにも遅ければ自分で迎えに入ったに違いない。
彼女が自分に罪を着せるつもりだったと知れば余計に傷付くだろう。
明かされない真実もまた真実なのだ。

キャスター/無罪を勝ち取ったのに浮かない顔ね。 
   後藤/………所長。
キャスター/私たちに出来るのは助けられる人だけを助ける事。
      被害者も犯人も救う事は出来ない。
      少なくとも貴方は依頼主と事務所を救ったのよ、それで十分じゃない。

ギルガメッシュ/うむ、雑種にしてはよくやった。褒めてつかわそう。
        なんなら我の別荘にて祝勝会を開いてやっても良いぞ。
     後藤/あの、ギルガメッシュさん。貴方はそれどころでは……。
ギルガメッシュ/む、我がどうかしたか?
     後藤/無罪になったのは殺人容疑だけで偽証に証拠捏造の罪は問われます。
ギルガメッシュ/な、なんだと!? ええい、ならばもう一度、無罪を勝ち取るのだ!
  キャスター/無理に決まっているでしょうが。それに契約は殺人容疑の公判までよ。
        大体、自業自得なんだから大人しく罰を受ける事ね。

ギルガメッシュ/い、い、い、異議ありーーー!!


こうして弁護士としての初仕事は勝利で終わった。
だがこの数日後、自分の運命を揺るがす大事件に遭遇するとは、
この時は露にも思っていなかったのだ。

逆月裁判・第1話『勝負は蓋を開けて見なけりゃ判らない!』了
逆月裁判・第2話『柳洞寺毒鍋殺人事件!』NEW!(嘘)


440 :逆月裁判 ◆4wSURDq66Q:2009/02/20(金) 18:36:02


という訳で逆月裁判は一応の終了を迎えました。
“短くテンポ良く”を念頭に置き、なんとか2スレ内で収まりました。
ここまでお付き合いありがとうございました。
証拠品(ただし凶器除く)は全て使うようにシナリオを書いてみましたが、
本当にこれで大丈夫なのかどうか不安でした。
しかし包丁と言うだけで真っ先に出てきてもいない真犯人の名前が出てきた時には、
“なんというかある種の信頼感があるキャラクターなんだな”と思いました。
それとは別にSSFの人気も異常。

さて前スレ1000の仕掛けた巧妙な罠に、
うっかり引っかかり50を踏んだ挙句にageてしまったので、
次回の同時進行は“ロリ百合”です。
若奥様とか同年代の通い妻とか続いたので飢えていたのでしょうか。
そのテーマで書いていた龍ちゃんを士郎×慎二など様々な無茶振りで挫折させた手前、
必ずや完結させたいと思っているのですが問題が一つ。
『一体何のジャンルならロリ百合を実現しつつゲームとして成立させられるか?』

「ボードゲーム」「NON。時間がかかりすぎます。本編を遅らせるわけにはいきません」
「カードゲーム」「NON。論外だ、既存のゲームから流用するならまだしもルールやカードの説明に手間がかかりすぎる」
「育成ゲーム」「NON。既にその形式の作品が2つあります。二番煎じもいいところです」
「タクティクス・がおー」「NON。ロリ百合を生かすならばバトルは不向きだ」
「本部への出戻り」「NON。さすがにやらしかしてしまった手前、あそこに戻るのはどうかと」

「結論はロリ百合もゲームとしても成立させつつ、本編の負担にならぬように完結させる、そんなジャンルだ」
「まさしく無理難題だな」「いえ、あります。恐らくこの世で一つのみ、その無理難題をかなえる方法が」

(選択)スレの皆。オラにアイデアを貸してくれ

A/シティアドベンチャーなんかどうだろう?
B/脱出ゲームは如何だろうか?
C/こんなのはどうだろうか?【アイデアを書き込んでね】


おまけ


679 :逆月裁判 ◆4wSURDq66Q:2009/01/23(金) 18:37:49 ←初投下

680 :逆月裁判 ◆4wSURDq66Q:2009/01/23(金) 18:46:54
戦術物と見せて、あえてその裏を突く! 正に策士!
と言いたいのですが各キャラクター毎のバランスが難しく、
その調整でしばらくプレイできない事が判明しました。
そこで、代替案として逆○裁判をやろうかと考えた次第です。

この裁判はフィクションであり、実際の(以下略)
……キャラのAAとか使ったの方がいいのかな。でも容量喰いそう。


681 :僕はね、名無しさんなんだ:2009/01/23(金) 18:54:20
D/……誰も引き受けてくれなかった

なぜ言峰がないのだw
つーか、犯人はサクラじゃないのか?


180 :僕はね、名無しさんなんだ:2009/02/11(水) 02:25:07
A/被害者と親しい人物
嫉妬に狂ったサクラがずばっと。もしくはアーチャーが投擲したとか。


で、選択肢の2はどうすれば良いのかな? 持ち込み方法を書けば良いんでしょうか?
それとも、またマキジに状況を聞けば良いんだろうか?


181 :僕はね、名無しさんなんだ:2009/02/11(水) 05:14:36
凶器からして桜としか


328 :僕はね、名無しさんなんだ:2009/02/15(日) 21:55:49
なぜだろう、逆転裁判的に見て桜が豹変する様がありありと目に浮かぶ。

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最終更新:2009年04月15日 22:40