834 名前:隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM [sage五日目・昼:服屋にて] 投稿日: 2007/03/19(月) 05:19:56
「桜」
顔をこわばらせたままの桜に声を掛ける。
「少し、服でも見ていよう」
「……そう、ですね」
相談するべき事は増えた。
考えるべき事も増えた。
だが、それでも。
「行こう」
「そうですね」
今この場でパートナーのことを不安にさせるわけにはいかない。
このことについての言葉を今は交わさず。
ただ平常であり続けると心に決めた。
「あ、じゃあまずここから見ていきましょう」
桜が指差す先は処分品セールと貼られた複数のワゴン台だった。
それぞれ2割引や3割引、半額と銘打たれたワゴンもある。
「ん、そうしよう」
価格がよく分からないらまずここで値段のチェックをしておいた方が良いだろうし。
「コレ藤ねえに買っていってみようかな……気に入るかも」
半額セールのワゴンからコートを引き摺り出す。
気に入るかも、というのは勿論虎柄だからである。
「時季外れですけど、今年の冬に向けてプレゼントするのはありかもしれませんね」
軽く布地を揉んでみると、確かな質感があった。
「んー……セール品だけど、布地もしっかりしてるし、季節外れだからって事かな」
「そうかもしれませんねー、処分しちゃうのなら勿体ないですから買って行っちゃいましょうか?」
「うん、値段も割と手頃、なのか?」
「そうですねー、私もそんなに沢山来るわけじゃないですけど、悪くないと思いますよ」
桜がチェックしているのは2割引のシャツコーナーで、既に数枚手元にキープしている。
「あ、これ姉さんに似合いそうですね」
パッと手に取ったのは、割引品ではない隣のハンガーである。
「んー……そうかな? 遠坂って言うと赤ーってイメージがあるんから、こっち……とかじゃないかな?」
軽くハンガー棚を物色して一着を引き出す。
「チャイナドレスですか……確かに凄く似合いそうですね」
目を閉じて想像する。
確かに似合いそうだが……それ以上に軍師のコスプレが似合いそうな気がするのは何故だろうか?
「あー……それよりも、さっき遠坂に似合うって言ってた、そう、その服、桜に似合うと思うんだけど、どうかな?」
「……私にはちょっと派手すぎますよー」
じっと手に持つ服を見て着込んだ姿を想像する。
自分への自信のなさが心のどこかに残ったままの彼女の目には少し派手すぎると映ったようだ。
「似合うと思うけどな……」
衛宮士郎自身としては質素な生活だろうと窮乏生活だろうと衣食住が足りていれば文句はないが、飾り気があまりないというのも年頃の女性としてどうか、と思うのである。
メルセデス:そんなわけで飾り気のある服などを重ねて勧めてみる
BMW:似合うと思うと言った上で本当に良いのか重ねて聞いてみる
フォルクスワーゲン:桜の言葉を尊重して派手ではない服を見て回る
ポルシェ:その辺りのことを話しながらセール品を精算してしまおう
投票結果
番外編
最終更新:2007年05月21日 20:16