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第1話 光の勇者様に勝てると思っているのかい?


枯れ枝を踏み抜く忙しない足音。
草木を掻き分ける葉擦れの音。
リズミカルに口から漏れる呼吸音。
クロード・C・ケニーは今、背後の気配を気にしながら、全力で暗い森を駆け抜けていた。

「一体何が起きたんだ!? どうして僕が――――」

言葉を紡ぎ切る前に、後方から熱を感じた。
肩越しに振り向けば、樹々を薙ぎ倒しながら飛来する巨大な炎の塊が目に飛び込んでくる。
反射的に横に跳び、土の上を転がれば、炎は彼のすぐ横を通り過ぎて地面にぶつかった。
直撃は避けた。しかし安堵する間もなく、爆音と共に熱波がクロードを襲った。

「ぐぅ……っ!」

衝撃に身体が震わされる。
高温に身体が炙られる。
それでもクロードは呻き声を殺して素早く立ち上がると、再び前へと駆け出した。
とにかく逃げなくてはならない。
追われているのだから。
敵は、確かな殺意を持って追跡してくる。相手が誰かも理解はしている。
しかし、戦えない。戦っていいものか、分からないのだ。
何故ならば――――。

「ソード・ボンバー!!!」

来る。
あの巨大な炎がクロードを焼き殺さんと、再び迫り来る。
そう。
放たれているのはソード・ボンバー。
他ならぬ、クロード自身の技だ。襲ってくるのは、自分自身なのだ。



現在の状況は、実のところクロードには全く分からない。
自分はアシュトンを背負い、平瀬村にいるブレアに助けを求めに向かっていたはずだったのだが。
朝日が昇り、樹々の隙間から光が差し込み、暗闇という原始的な恐怖から解放されて緊張が解れた時だった。
唐突に視界が歪んだ。
目眩や立ち眩みではない。
目の前が暗くなった訳でも、光に包まれた訳でもない。
かつて経験した事のない感覚が、クロードを覆ったのだ。
その、何もかもが歪みとしてしか認識出来ない感覚の中。唯一はっきりと伝わってきた声。

『さあ、ここに集え勇者達よ。
 そして戦え。『最強の称号』を得る為に』

――――それは確かにそう言った。
『ガブリエ・セレスタ』
『イセリア・クイーン』
声の主の名前も、不思議と直感として理解する事が出来た。
そして次の瞬間、クロードはこの暗い森の中に立ち尽くしていたのだ。
背負っていたアシュトンは消えていた。身体の負傷も全快していた。
どうなっているのかまるで分からず、ただ宛も無しに歩き回っていたところで、自分を敵と見なしている『自分』と遭遇してしまったのだ。



「うおおっ!」

二度目のソード・ボンバーが自身に追いつく直前、クロードはエターナルスフィアで地面を叩きつけた。
爆裂破。
硬質化した大地が、迫る炎弾を食い止めるべく隆起する。
クロードの眼前で、岩盤と化した大地と炎弾はぶつかり合い、耳を劈く炸裂音と高熱を帯びた眩い光が辺りに広がった――――。










愛の場を守るガーディアンは、既に十賢者の下僕を名乗るラヴァーという魔物に殺されてしまっていた。
泉の精は敵の手先。
対話までしていながら、誰一人としてそれを見抜けなかったのは迂闊もいいところだろう。
一瞬の隙をつかれてエルネストを人質として取られ、クロード・C・ケニーはルーンコードを渡すよう敵に迫られていた。

その時だ。あの奇妙な感覚に襲われたのは。
そして気付けばこの森にいて――――やがて、森をさ迷い歩いている自分自身を見つけた。
一瞬動揺するも、答えはすぐに思いつく。
ラヴァーだ。泉の精の姿に変身していたように、奴がクロードに成りすましているのだ。あの奇妙な感覚や声も、奴の仕業か。
そう判断を下したクロードは、躊躇わずに『自分』を敵と見なした。

「エルネストさんやレナ達をどこへやった!?」
「僕の姿で何をするつもりだ!?」
「答えないなら、倒すまでだ! 覚悟しろ!」

クロードの問いには答えずに逃げ出そうとする『自分』に攻撃を仕掛け、二度目のソード・ボンバーを放った後。
小さなクレーターが出来ている着弾場所には、死体はおろか肉片もない。見失ってしまったのだ。

「まずいな……僕の姿でレナ達に合流されたら……」

最悪の想像が頭を過ぎる。
唇を噛み締め、クロードは森の中を走り出した。










「ふう……」

その場から走り去る『自分』の姿を確認して、樹の上で気配を殺していたクロードはホッと息を吐き出した。
今日三度目となる爆裂破からの兜割りの跳躍。
この二つの技をリンクさせるのも随分様になってきたと、自嘲気味に口元を吊り上げる。

「こんな事してる場合じゃないんだけどな……」

そうだ。こんな事をしている場合ではない。
自分はアシュトンを助けなければならない。
ブレアにフェイト達の誤解を解いてもらわなければならない。
殺し合いは決して止まる事無く進行している。今こうしている間にも誰かが犠牲になっているかもしれないのだ。
早く平瀬村に向かい、ブレアと会い、ルシファーを倒さなくてはならない――――のだが。

「……一体、ここは何処なんだ……?」





【第2階層(エクスペル@スターオーシャン2)/深夜】


【クロード・C・ケニー@AAAキャラ・バトルロワイアル】[MP残量:90%]
[参戦次期:本編128話直後]
[状態:疲労(小)、全身に軽い火傷]
[装備:エターナルスフィア@SO2、スターガード@SO2、エネミー・サーチ@VP、首輪探知機@BR]
[道具:セイクリッドティア@SO2、昂魔の鏡@VP、荷物一式×2(水残り僅か)、アヴクール@RS(刀身に亀裂)、アシュトン、アルベル、レオンのデイパック]
[行動方針:ルシファーを倒す……はずだったんだけど]
[思考1:状況を把握したい]
[備考1:昂魔の鏡の効果は、説明書の文字が読めないため知りません]
[備考2:アシュトンの荷物=無稼働銃、物質透化ユニット@SO3、首輪×4、荷物一式×2
     アルベルの荷物=木材×2、咎人の剣“神を斬獲せし者”@VP、ゲームボーイ+ス○ースイ○ベーダー@現実世界、
             ????(3)、????(5)、鉄パイプ@SO3、荷物一式×7(一つのバックに纏めてます)
     レオンの荷物=どーじん、小型ドライバーセット、ボールペン、裏に考察の書かれた地図、ジーネの爪@SOBS、????(2)、荷物一式]


【クロード・C・ケニー@スターオーシャン2】[MP残量:90%]
[参戦次期:愛の場でラヴァーに人質(エルネスト)を取られた直後]
[状態:疲労(小)]
[装備:エターナルスフィア@SO2、スターガード@SO2、その他不明]
[道具:不明]
[行動方針:自分に化けたラヴァーを追跡する。その後状況の把握]
[思考1:ラヴァーを倒す]
[備考1:クロード@AAAロワをラヴァーが化けた偽物だと思っています]




【現在位置:アーリア村付近の森】





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最終更新:2013年03月18日 23:40