ルミナス文化圏及びフェルスデン北部に数百年に渡り多くの伝説を残し、かつ現代において明確に活動している、そして一部の人間には神魔として認識される屈指の英雄。
曰く、光を放たんが如く磨き上げられた業物「バルムンク」を振るい、しかしその大剣に見合わぬ素早い剣戟を以て人々の道を拓く者。
曰く、刃を通さぬ鋼の身体を持ち、その身を民の盾とし、全ての敵より守る者。
曰く、王に過ちあらば、その身を民の旗印とし、より善き社会を導く者。
どの伝承に於いても、バルムンクと呼ばれる大剣を手にした長身の青年として登場する。
彼についての代表的な伝説としては、まず第一に邪竜ファフニールとの戦いが挙げられるだろう。
第一次魔王侵攻末期、ルミナス文化圏にそびえる氷雷山を舞台とする物語である。
息は命を腐らせ、血は土を滅ぼすと言われるファフニールを彼は氷雷山に追い詰め、古くよりその地を見守ってきた一本の菩提樹の下、遂に戦いに至る。
死闘の末見事ジークフリートは邪竜を斬り伏せるも、自らもその血を全身に浴びて滅び、相討つ。
そして二つの死骸より不浄が山を覆わんとした時、菩提樹がその全てを吸い上げ、漆黒に枯れ果てたという。
しかしながら、彼はその後も北方の歴史に登場し続ける。
強大な魔物との戦いもさることながら、彼は伝承上の英雄としては特筆すべきほど、人の革命に関与している。
直近の例では初代ベルナール王によるフェルスデンでの革命、及びルドルフ・エルレインによる北方戦争にて明確にその姿を表している。
数百年前の伝説に違わぬ姿で、その伝説が真実であると思わざるを得ないような無双の力を示す彼を信仰の対象にする北方人は少なくない。
しかしそれは同時に彼の不死性や、かの邪竜伝説の信憑性についての議論を常に起こし続けてきた。
だが、優れた吟遊詩人達は皆揃ってこう述べる。
『かの英雄は、確かに邪竜と相討った。今それが在るとしても、確かに一度、命を捨ててみせたのだ』と。
最終更新:2018年03月14日 04:18