投影法


 投影法とは、被験者が曖昧な視覚的あるいは言語的刺激をどのように解釈し、意味づけ、まとめていくかを知ることにより、その人らしい体験のあり方を理解する方法である。被験者の自由な空想や想像を評価し、その中には被験者独自の個性が映し出されていると考えられる。投影法の多義性や曖昧さにより、被験者の反応の自由度が高いという点が特徴である。投影法は、前意識や無意識の中の個性を測定することができる。よって、パーソナリティの全体像がわかるとともに、質問紙法などに比べ、被験者が意図的に結果を操作することは難しいと言える。しかし、短所としては実施時間や労力など負担が大きいことや結果の解釈に熟練が必要な点が挙げられる。また、検査者によって解釈の結果が異なりやすいため、信頼性はそれほど高くないともいうことができる。そして、被験者の反応が特定の性格傾向のため生じたものであるという根拠が薄いものが多いという指摘も見られている。そのため、投影法の妥当性や信頼性を確立するために、統計的な背景を充実させることが望まれている。

 主なテストとしてまず、ロールシャッハ・テストがある。これはインクの染みが何に見えるかを言ってもらうものであり自我の強さを測ることができる。主題統覚検査(TAT)のような図版をみて物語を作ってもらうというものもある。これは対人関係の在り方についてのテストである。その他にも文章完成法、描画法などがある。

◎投影法実施時の注意点
 投影法を行うにあたり、テスターが最も重視しなくてはならないことは、被験者との間に信頼関係を築くことである。例えば、突然初対面のテスターに絵を描くよう求められたとする。するとクライアントは、このテストから何がわかるのか、何でも分かってしまうのか、テスターにどう思われるか、など様々な心情の中で作業を行わなくてはならない。それによって、集中して作業に取り組むことができなくなってしまったり、不安を抱いたりする。よってテスターは被験者に対して、このテストの課題を前もって的確に説明し、テストの目的や意味を十分理解した上で、リラックスして取り組めるよう促す必要がある。またテスト最中も相手にプレッシャーを与えるような行為はしてはいけない。
 また、テスターは投影法の中の様々なテストがそれぞれどのような結果をもたらすのかを把握したうえで状況にあったテストを選ぶ必要がある。被験者の年齢、心の状態などをよく知った上でテストを行わなければならない。テスターの主観ではなく、被験者に寄り添い、共にあろうとする態度を示すことが大切である。


 投影法を行うにあたり重要なことはテスターと被験者の「信頼関係」である。そのためにはテスターが被験者を援助するという態度を示し、被験者の不安を緩和する働きかけをするとともに、被験者もテストに自発的に取り組もうとする意識を持つことが必要である。


めぐみ
最終更新:2007年12月16日 02:08