第五条 学校の設置者は、その設置する学校を管理し、法令に特別の定のある場合を除いては、その学校の経費を負担する。
この条文はふたつの重要な原則を規定している。それは「
設置者管理主義」と「
設置者負担主義」といわれる原則である。
学校には設置者が存在する。国立なら「国」であるし、公立なら自治体であり、私学なら学校法人となる。
学校教育法5条は、その設置者が学校を管理し、必要な費用を負担することを規定しているのである。
しかし、問題は単純ではなく、実際にはこのようになっているわけではない。「管理」とは何かという問題にもなるが、実際に国立大学の管理を国(
文部科学大臣の責任ということになる。)が行っているわけではなく、学長以下の管理的組織が管理運営している。そして、大学には「大学の自治」があるから、国の関与を軽々しく行うべきではないという憲法的な規定がある。
市立の小中学校でも、市町村
教育委員会が管理することになるが、日常的な管理・運営は校長が責任を負っている。しかも、いろいろな側面で都道府県教育委員会の指導・助言を受け、また、教員の任命等については都道府県が管理することになる。
これは、経費負担と関係しており、
義務教育の公立学校(市町村立)の教職員は、ほとんどが
県費負担教職員と呼ばれ、給与は都道府県が負担している。つまり、設置者負担主義ではないことになる。政令指定都市以外では、義務教育学校の教員は都道府県の教育委員会が採用試験を行い、採用を決定する。
これは明治以降の財政基盤を主に国におき、地方は税収が少なく割り当てられてきたために、教員の給与を払うことができず、都道府県が負担し、国庫補助をするという体制で長い間実施してきた。「
義務教育費国庫負担法」という法律による。
しかし、近年地方分権という主張の下に、国庫補助を減少させ、地方の権限を強化しようという動向になっている。その点については、いろいろな意見があり、まだ決着していない。
全国でできるだけ同一の教育条件を保障するのがいいのか、地方の独自性を出せるのがいいのか、という意見の相違がある。
最終更新:2007年09月14日 23:14