その夜…
『おい、ハジメとWAXAに戻った方がいいと思うんだが』
「ムゲン」
『何だ』
「もう、後にはひかないよ」
ムゲンは考えて、少し迷った後、返した。
『そうか で、聞きたいことがある』
「?」
『さっきも言ったが、
何でエランドΔが襲ってくる場所、時間帯・・・そもそもその情報をどうやって
知った?』
『ジョーカー?』
「ああ オレが写真を見て泣いていた時、<力が欲しい>とつぶやいたときだっ
たよ・・・」
「力が欲しいんだ どうしたらいい、シドウさん」
写真が答えてくれるわけでもないが、タスクは写真の中のシドウに話しかけた。
「答えは出ない、か」
タスクはベッドにあおむけになり、天井を見つめた。
「(委員長の言う通りだ 仲間1人守れないで何が最強だ 守るための力のはずだ
そう言えばジョーカーになれる力をもらった時もシドウさん、言ったっけ・・・
<守るための力だ 傷つけるための力じゃない>って
でも、それが今じゃどうだ その「力」本来の強ささえ使いこなせてない・・・
どうしたら・・・)」
タスクは天上に視線を送っている。
「力が・・・力が欲しい」
その時だった。
「ククク・・・ 困っているようだな・・・」
「!! 誰だ!?」
この部屋にいるのは、現在、タスクとムゲンのみだった。
どうやらその声も、タスクには聞こえているが、ムゲンには聞こえていないよう
だった。
「ムゲン? なんか言ったか?」
『いや?』
「そうか・・・」
やっぱ幻聴だよな、そう微かに呟いて目を閉じたとき、もう一度、あの声が聞こ
えた。
「貴様には聞こえても、ウィザードに聞こえるはずがなかろう
なぜなら私は今、貴様の<心>に話しかけているのだからな」
またか。そう思ったタスクは、思い切って心の中で声の主に反応を返した。
「(お前、誰だ)」
上手くいったのか、声が帰って来た。
「ほう 貴様 私に反応を返すとはな
相当に鍛錬された精神の持ち主でなければ不可能だが」
「(オレはその相当に鍛錬されたものを持ってる)」
「おもしろい・・・貴様、名を何と言う」
「(オレの名前は 天上 タスク)」
「ほう 覚えておこう それよりだ 貴様・・・力が欲しい と言ったな」
「(ああ 言ったよ)」
「その力を手に入れる方法を、教えてやろうか?」
「(!! 手に入るのか?)」
「簡単だ・・・戦い続ければいい」
「(? どういうことだ?)」
「ひたすら戦って戦って戦って・・・それだけのことだ」
「(どこで戦える? 何と?)」
「コダマタウンの裏路地で エランドΔと、だ」
「(そうか・・・って、鵜呑みにするところだった 怪しいぞ)」
「貴様 この私を信じられないというのか」
「(たりめーだ 普通そうなるだろ 証拠を見せろよ 証拠を)」
「いいだろう見せてやる 一度貴様には眠ってもらうがな」
「(!? ふざけ・・・る・・・な)」
そう心で言いつつもタスクは夢へと落ちていった。
「ハッ」
タスクは、意識を取り戻した。夢の中で、だが。
「ここは・・・どこだ?」
タスクが立っていたのは、果てしなく続く、闇・・・
完全なる無で、辺りは黒く塗りつぶされていた。
「人間は死んだら、こういうとこに来るのかな」
「縁起でもないことをいうものだな・・・」
「お前は!! もうそろそろ姿を見せろ・・・!」
「私は、ここにいるぞ」
声は、どうやら下から来ているようだ。
それにタスクが気がついたのと同じ瞬間に、タスクの足から、白い影が伸びてきた。
何やら先の方には顔とおぼしきものが付いている。
タスクは、それに気づくと一瞬焦ったような表情をしたが、すぐに表情を戻した。
白い影が今度は3次元の世界に出てこようと、縦に伸び始めた。
「おいおい・・・」
タスクは苦笑しつつ言った。
その影は、とうとうタスクの伸長をゆうに通り越し、タスクの1.5倍ほどに
なった。
「マジかよ 俺これでも身長168センチだぜ? まだ伸びしろもあるし・・・」
白い影は形を成し、下から赤く染まっていった。
「・・・コイツはまさか・・・!」
「わが名はグレイブ・ジョーカー 最強の電波体だ」
「見るの始めてだ・・・ 何で、オレのところにいる?」
「貴様の血液中のプログラムがあるからだ
あの中には、若干だが私本体の一部が入っている
夢か、現実かはお前が判断してもいいが」
「ここまでやられちゃあ夢とは思わないよ」
「そうか まあ置いておこう 早速だが証拠を見せてやる」
「見せてもらおうじゃないか」
「・・・オオッ!!」
ジョーカーは覇気を放った。
同時に、すさまじい風が吹き荒れはじめた。
吹きすさぶ一陣の烈風でさえ、タスクは吹き飛ばされそうだ。
「くうっ・・・」
タスクはもう諦めたのか、四つん這いになって風を耐えた。
タスクは烈風をもろに浴びて目が痛むため、目を閉じた。
数秒後・・・
風が止んだのを体で感じ、タスクは目を開けた。
「!!! どういうことなんだ!?」
タスクの目のに映っていたのは、
ジョーカーはもちろんだが、
ジョーカーの背後にクモの巣状に広がる紅蓮の無数の糸も映っていた。
「あれは何だ?」
「世界中に広がるネットワーク、その大元・・・とでも言おうか」
「それはつまり・・・その糸は全世界につながっていて、
お前はその全ての原点ってことか?」
「まぁ そんなところだろう でだ 何故、あの情報を私が知っているか、と言うと
まず この背後には世界に広がるネットワーク・・・ここから、いつだれがどこで
誰に電話もしくはメールをしたか・・・などといった詳細が分かるわけだ」
「・・・お前すごくね!? なんか・・・神? だってそれ使えば何でも分かる
じゃん」
「ああ で、お前が<力が欲しい>と言っていたのを私が聞き、
このネットワークから貴様が戦い続けられ、かつ強くなる一番の近道・・・
それを探っていったところ、一つの電話に行きついた」
「で、誰の電話なんだ?」
「ファントム・ブラックΔから天下ハジメへの電話だ」
「!! 内容は?」
「ファントムΔが今夜から毎回夜9時に、ランダムにコダマタウンのどこかにエ
ランドΔ
を不確定数出現させるそうだ 命令は
<視界に入った人間を手当たりしだいに襲え>らしい」
「チッ またかよ ま、ハジメがどうにかしてくれっだろ」
「強くなるんじゃないのか?」
「そうか 忘れてた・・・」
「その思いがゆるぎないものに変わるように、
私が貴様にまじないのようなものを施してやる」
ジョーカーがそう言い、タスクと目を合わせた。
ドクン。
タスクは、体の中の血が沸き立つのを覚えた。
「よし、そろそろ行くよ 強くなるために」
「うむ(ククク 天上タスク 貴様は人を信じすぎる 疑うということを知らぬ
貴様は、私の物だ)」
タスクは、目の色を変えていた―――。
そこからだ、タスクはおかしくなっていった。
「ま、こういうことさ」
『だからあんなこと聞いたのか』
「そうだ」
『お前の中のジョーカー・・・か』
「そろそろ俺、寝るよ」
『わかった』
タスクは赤と黒のカラーでできたVGを机の上に置いた。
眠りに就いた・・・。
最終更新:2009年09月27日 19:19