架空の世界には架空だけでなく現実が入り混じる――
――それを語るのを許されたのは我ら語り手のみ
とある国の城内に、若い一人の女がいた。
その黄金色の髪は、夕日と朝日の光を上回る輝きを持っていた。
またもう一人、隣国の城内に若い男がいた。
その銀白色の髪は、月光と星光を下回る、けれど神秘の輝きを持っていた。
こんな二人の国の間には、争いが絶えることはなかった。
その黄金色の髪は、夕日と朝日の光を上回る輝きを持っていた。
またもう一人、隣国の城内に若い男がいた。
その銀白色の髪は、月光と星光を下回る、けれど神秘の輝きを持っていた。
こんな二人の国の間には、争いが絶えることはなかった。
二人は互いを愛していた。けれど国に閉じ込められて互いに会いにいけなかった。
何故か、それは太陽と月のように間に巨大な地球(壁)があったから。
二人は触れ合いたかった。互いを抱きたかった。けれど壁は果てしなく高く、大きかった。
そんな或る日、遂に戦の火蓋が二つの国の間に落とされた。
二国の力は同じぐらいだったが、やがて女の国のほうが有利になってきた。
そのときだった。男と密かに交わしていた手紙が女の手に届いた。
その手紙の内容はこんなものだった。
二人は触れ合いたかった。互いを抱きたかった。けれど壁は果てしなく高く、大きかった。
そんな或る日、遂に戦の火蓋が二つの国の間に落とされた。
二国の力は同じぐらいだったが、やがて女の国のほうが有利になってきた。
そのときだった。男と密かに交わしていた手紙が女の手に届いた。
その手紙の内容はこんなものだった。
愛するメイヌス。
もう僕は君と戦いたくはない。けれど僕は強欲だ。
君が生き残るのも自分が生き残るのも嫌なのだ。だから今夜、戦場の壁に来て欲しい。
もう僕は君と戦いたくはない。けれど僕は強欲だ。
君が生き残るのも自分が生き残るのも嫌なのだ。だから今夜、戦場の壁に来て欲しい。
女――メイヌスは男と同じ気持ちであった。
だからその戦場の中心である、壁の元に行くことを決意した。
そしてその夜、メイヌスはいつもの色鮮やかなドレスの上に
闇に紛れるローブを羽織り場外へ歩を進めた。そして自国の城を一度見上げてこう呟いた。
だからその戦場の中心である、壁の元に行くことを決意した。
そしてその夜、メイヌスはいつもの色鮮やかなドレスの上に
闇に紛れるローブを羽織り場外へ歩を進めた。そして自国の城を一度見上げてこう呟いた。
「さようなら……お父様」
そして心の中でこう付け足した。
『私は戦地で、愛するモースダスト様と消えてまいります』
――女と男の結末はわからないけれど二人は自国を捨てた
愛しあうことを許さぬ自国を二人は見放し全てを滅ぼした――
end