架空の世界には架空だけでなく現実が入り混じる――
――それを語るのを許されたのは我ら語り手のみ
とある男の目の前に、何枚かのカードが並べられた。
その反対側にいる女は、笑いながらこう言った。
その反対側にいる女は、笑いながらこう言った。
「さあ、どれかお引きなさい。この中の何枚かは貴方を幸せに、
残りの何枚かは貴方を不幸にしますのよ」
残りの何枚かは貴方を不幸にしますのよ」
男は「ふざけるな」と言いたかったが、猿轡をはめられていた。
また、後ろには女の下僕が鞭を持ち「引け」と目で語っていた。
男は渋々カードを引こうと、適当にカードに触れる。
女はそれを見てニヤリと笑う。男は一枚ずつカードに触れていく。
だが、女の顔が変わることはない。男は悩んだ。
けれど男は気がついた。これ以上の不幸はあるのだろうか、と。
だったら……何を選んでも同じなのでは、と。
男は直感でカードを引いた。そしてそのカードを女に見せた。
女は、カードと男の顔を見比べこう言った。
また、後ろには女の下僕が鞭を持ち「引け」と目で語っていた。
男は渋々カードを引こうと、適当にカードに触れる。
女はそれを見てニヤリと笑う。男は一枚ずつカードに触れていく。
だが、女の顔が変わることはない。男は悩んだ。
けれど男は気がついた。これ以上の不幸はあるのだろうか、と。
だったら……何を選んでも同じなのでは、と。
男は直感でカードを引いた。そしてそのカードを女に見せた。
女は、カードと男の顔を見比べこう言った。
「おめでとう。幸せなカードですわよ」
男の猿轡は外され、女の下僕も後ろに下がった。
男は言う。
男は言う。
「ったく、面白いゲームを提案してくれるねえ、ユラ」
「でしょう?ギルセブン」
「でしょう?ギルセブン」
女――ユラメクト(ユラ)はさも愉快気に笑みを零す。
男――ギルセブンは苦笑をユラに続いて零す。
男――ギルセブンは苦笑をユラに続いて零す。
「まあ、でもあれね。全部本当は変哲のないカードなのよ?」
「あー……まあそうだろうな。結局それが幸せかは僕が決めることだしね」
「あー……まあそうだろうな。結局それが幸せかは僕が決めることだしね」
――幸せか不幸かなんて運に縛られぬことを男は既に
理解してこの勝負に挑んでいた自らの心に嘘つかず――
理解してこの勝負に挑んでいた自らの心に嘘つかず――
end