高里椎奈


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書籍情報

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著者 : 高里椎奈 発行元 : 講談社 単行本(ソフトカバー)発行 : 1999.7 文庫版発行 : 2005.12

落ち着いた好青年座木(くらき・通称 ザキ)、超美少年の深山木秋(ふかやまきあき・通称 秋)、赤毛で元気いっぱいな少年リベザルが営む「深山木薬店」を舞台にした「薬屋探偵妖綺談」シリーズの第2作。実はデビュー作「銀の檻を溶かして」よりもこちらの方が先に書かれた作品。

あらすじ

以下 文庫版裏表紙より引用


薬屋の看板を掲げながら、揉事相談所を裏家業にしている深山木薬店に少年殺しの依頼があった。引き受けられるはずもないが、後にその少年がバラバラ死体で発見されたことから事態は緊迫! 店主・秋に殺人の容疑が降りかかる。 凄惨な事件の裏にあるあまりにも意外な真相とは!? 好評薬屋探偵シリーズ第2弾。


引用終わり

書評

すべてにおいて前作よりも魅力的……って、こっちの方が先に執筆!?

うむ。 面白くなってきました。 前作である「銀の檻を溶かして」の書評では結構きついことも書いたのですが、今回は総合的に前作を上回っていたと思います。

……と、自信を持って書評を書き始めようと思ったら、どうもこちらの作品の方が先に書かれたものだと言うこと。……どういうことだ?

もしかすると、作品世界に慣れたために読みやすかったのかもしれませんが、正直に感じたことを書くことにいたします。

改善点其の一

ミステリになってます。 前作においては「妖怪が人間と共存する」という世界観にこだわるあまり、いろんな謎が結局バラバラになってしまった感がありました。最後まで読んでも「結局なんだったの?」と思わせかねない謎解きでした。実際、いわゆる本格ミステリを期待して買われた方の中には、かなり辛辣な意見もあるようです。(私は変化球も好きなので、方向性は問題なかったのですが、「質」の面でイマイチと感じたのです)

その点、今作は世界観は維持しながらも、謎解き部分に関してはあくまでも「人間の理論」で突き詰めていきますので、ミステリ好きの方にもお勧めできる内容になっています。ただし、舞台設定を色々本格ミステリ風に味付けされていて、過程はそれなりに楽しめるのですが、肝心の締めの部分の説得力はまだ乏しいように思います。

改善点其の弐

キャラが立ってきました。 主人公の秋達3人については、ようやくその「設定の紹介」にとどまらない、それぞれの個性が動き始めた感じです。私の目から見ると、明らかに前作よりもキャラが活き活きしていたように思うのですが……こっちの方が先に書かれたんですよねぇ。 う〜ん。わからん。 それはともかく、今回は事件の中心となる良太くんもリベザルとの絡みでよい味を出していましたし(ただし、登場時の印象はちょっと幼すぎた感じもしましたが)、なにより、高遠、葉山、衒崎の刑事トリオの存在が、物語全体をまとめてくれていたと言っても過言ではないでしょう。秋は一般の探偵像に照らすと、いわゆる天才的閃き型とでも言うか、ともすれば読者がその思考をトレースすることが出来ずに、結果、物語のパーツ間のつながりが散文的になりがちなのですが、この刑事トリオが、秋達を事件の輪の中に取り込むことで事件の流れをうまくまとめてくれています。

改善点其の参

読みやすい。 前作は平易な文体なのになぜか読みづらいという、なかなかにつらいものがありました。実際その文章のせいでせっかくの奇妙な世界観にそれほど浸れないまま終わってしまった感がありました。 ところが、今作は実にスムーズに読み進めることが出来ました。それが結局キャラの魅力が前作に比べ、引き立った、もっとも大きな要因なのかもしれません……が、この作品の方が、やっぱり先に執筆されてるんですよね〜(←シツコイ)

総括

やっぱり本格ミステリとしては、まだまだ工夫していただきたいと感じますが、キャラの魅力の大きさと合わせて考えると、ミステリファンの方に対しても充分お薦めできる作品だと思います。 やはりシリーズ第二作というのは大切ですね。 一作目に満足した人は、二作目で更に満足することでシリーズのファンになっていきますし、一作目にあんまり満足しなかった人に対しては、ここで挽回できないと、この先読んでもらえないという危険性も高いですから。 その点、この薬屋妖綺談シリーズの現在まで続く人気を考えると、シリーズ二作目である本作は、間違いなく「面白い」作品だったと言えるのではないでしょうか?

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最終更新:2008年11月28日 19:13