燃えたろ?(京さまはでません) ◆CAP.3FrrY.
「ふぅ……、なんか喉渇いたな」
清水比呂乃の表情がわずかな怯えを含んだものになる。
喉が渇くこと。それは運動なんかをすれば当然誰にでも起こる生理現象であって、なんら恐れるべきものではない。
しかし彼女にとって喉が渇くということは、また別の――トラウマを負ってもおかしくないだけの記憶があった。
「いや、運動したしさ」
なんでもないと首を振って彼女は手元に水の入ったペットボトルを取り出す。
ぐびぐびと音を立てて飲めばあっさり乾きの値は回復した。
空になったペットボトルを遺跡の床に放り投げ、清水比呂乃は大粒の汗が浮かぶ額をセーラー服の袖でぬぐう。
「ん? ……つか、“暑い”ぞ?」
清水比呂乃はあたりを見回すがしかしなにも変化は起きてはいない。だが、確かにここは暑くなっていた。
気づけば、その暑さは異常だ。まるでこの遺跡の外でなにかがものすごく燃えているような、サウナのような暑さだった。
汗はぬぐってもぬぐっても吹き出てくる。清水比呂乃の細い顎から一粒の汗が滴り落ち、床の上でじゅっと蒸発した。
「やばい! この中にいたら死ぬ!」
清水比呂乃は時計を見る。できうる限りここで潜伏してやり過ごすと考えていたがしかしまだ1時間も経ってはいなかった。
このプログラムが終わるまでにどれだけの時間がかかるだろうか。
もう1時間も、いやこのまま暑さが上昇していけば30分ももたないかもしれないし、それまでには到底終わらないだろう。
すぐにでもここを脱出しなくてはいけない。そう彼女が決心したところで入口のほうから大きな声が聞こえてきた。
『E-4!遺跡にて待つ!この森全てが灰に変わるまでに来いッ!以上だ!!』
この遺跡の外で森を焼いている馬鹿がいる。清水比呂乃はそう理解した。
なんということをしているのだろうかこの声の主は。どう考えても自殺志願者ではないか。
考えればすぐにわかる。森を燃やしたってじゃあ……じゃあ、外から来る奴はどうやって燃える森を抜けて遺跡に辿りつくんだよ。
「み……水…………」
せめて少しでも熱の届かない遺跡の奥へ。清水比呂乃は向かおうとするも、数歩も足を進めない内に膝をついた。
暑さが異常で、異常な暑さがあっという間に彼女から体力を奪いさってしまう。
カウントにすればだいたい20カウントで体力フルからKOまでもっていってしまう。
「七原ァ……………………」
清水比呂乃は遺跡の床の上に蛙のように倒れると、ただ無念だけを抱いてそのまま死んでしまった。
一方、遺跡の入口に立っていたドルキも清水比呂乃とほぼ同じタイミングで体力ゲージがゼロになり死亡していた。
【E-4 遺跡/一日目 深夜】
【清水比呂乃@バトル・ロワイアル 死亡】
【ドルキ@PSYREN-サイレン- 死亡】
最終更新:2013年01月21日 20:14