シン 「ふう、今日はちょっと長風呂になったな」
はやて「そうやね、皆も待ってるしそろそろ出ようか」
シンは風呂の戸を開けようとして違和感に気づいた。
だれか脱衣所にいる?それにこのパーフェクトなプロポーションには見覚えが・・・・。
シン「え~と、ナニヲヤッテルンデスカ?リインフォースさん」
脱衣所の影がピクリと反応した。
リインⅠ「その、あ、主はやて、シン。わ、私も二人と一緒に入ってみたいのですが!」
はやて 「う~ん、私はいいけど・・・・」
問題はシンだ。青春真っ盛りの少年が、デバイスとはいえ大人の女性とお風呂に入るなどいろんな意味で普通はヤバイ。
だが、シンは仮にも従軍経験者。感情をコントロールすることなど慣れっこだ。(え、本編?知らないなぁ?)
シン 「ちょうど上がるところだったんだけど、まあいいさ。俺は構わないぞ、軍じゃ男女の差なんてあってない様なものだったからな」
はやて「大丈夫やて、リインフォース。遠慮せずに入ってきいや!」
慣れっこだった・・・・・はずだった。
シン 「・・・・・・・」
はやて 「・・・・・・・」
リインⅠ「・・・・・・?」
シンの予想は甘かったといわざるをえない。お風呂に入ってきたリインフォースは水着どころか、バスタオル一枚身に纏っていなかった。
シン 「・・・・・我が生涯に一片の悔い無し! ぶほっ!(大量出血)」
はやて 「シ、シン兄! リインフォース早く前を隠し!」
リインⅠ「主、何故シンはデバイスである私に興奮しているのですか???」
そこへ先程、興奮状態となったシグナムが到着する。
シグナム「主はやて!ご無事です・・か・・・・」
はやて 「あっ、シグナム!シン兄が、シン兄がぁ!」
(シンの)血がついた上、半泣きのはやて。(なぜか裸のまま)呆然と立ち尽くしているリインフォース。
そして、はやてに襲い掛かっている(ようにみえる)シン・アスカ。
事ここにいたって、シグナムの誤解は限界を超えた!
シグナム「申し訳ありません、主はやて。私は間に合いませんでした。」
はやて 「いやいや、まだ何も終わってへんて!とにかくシン兄を何とかせな・・・」
シグナム「それはお任せください。リインフォース、湯冷めしないよう主はやてをリビングへ。それと服は着ておけ」
リインⅠ「・・・・仕方がない、明日にするか。しかし、シグナム。お前は何か勘違いをしてないか?」
シグナム「なにも問題はない。早く行け」
はやてたちがリビングについた頃、シンはようやく目を覚ました。
シン 「・・・・うう、貧血でふらふらする」
シグナム「そうか、だがじきに何も感じなくなる」
シンがただならぬ空気を感じ、一瞬で正気に戻ると、なぜか攻撃態勢をとったシグナムが仁王立ちしていた。
その身から放たれる殺気は、この前よりもはるかにどす黒い。
シン 「・・・・あれ、シグナム?(あ~、まさか、またアレか?)」
シグナム「主はやて、あなたを守れなかった我々守護騎士をどうかお許しください。その罪は私一人で償います。だからどうか他の騎士達にはご
容赦のほどを」
シグナムの独り言から、シンは大体の事情を察した。
さきほど大量の血を出したせいか、今回のシンはいつもよりも冷静だ。
というか出血しすぎで命が危険な為、さっきからずっと「種割れ」状態なのだが、肝心のシンに気づいている余裕はなかった。
シン 「・・・・・なあ、俺はたぶん(また)あんたの勘違いだと思うぞ。俺がどれだけはやてを大事に思ってるか、あんたも知ってるはずだろ」
シグナム「・・・・・・」
シン 「・・・・毎回吹っ飛ばされて、間違いでしたって事ばかりだからな。たまには魔法を撃つ前に俺の言葉も聞いてくれ!」
シグナム「・・・・確かに一理ある。だが、遅かったようだ。この体勢に入った以上、この技は途中で止められん。」
シン 「・・・・まあ、なんとなく予想はついてたけどな。(いつものことだし)」
シグナム「生きていたら、何かおごろう。いくぞ、シュトルムファルケン」
シン 「って全然、割に合わないだろ! あんたって人はぁーー!!!」
ご近所に毎度恒例となった、シンの断末魔の悲鳴が響き渡った。
デス子の日記
次の日、何事もなかったように蘇ったマスターは、シグナムさんのおごりで皆と日帰り温泉旅行に行きました。
そのあとも時々、リインフォースやヴィータと一緒にお風呂に入っているそうです。(リインフォースは水着着用義務あり)
近頃は、シグナムさんやシャマルさんまで入ってくると嘆いていました。
シン 「何で皆まで入って来るんだ?」
はやて「さ~て、なんでやろね~♪」
ヴィータ「べ、別にいいだろ。理由なんて・・・(楽しいからに決まってるじゃねえか)」
リインⅠ「やはり主はやてやシンといると暖かいな」
シグナム「例えお前でも、やはり主と二人っきりでお風呂は認められん!」
シャマル「私だけ仲間はずれは嫌ですからね♪」
今日も八神家のお風呂はにぎやかです。
ザフィーラ「何故私だけは駄目なのだー!!!」
いつものようにシンが道場から帰ってくると、守護騎士達がリビングに集まって話し合っていた。
皆、真剣そのものの顔をしている。よほど重大なことがあったようだ。
シン 「皆で集まって、何やってるんだ?」
シャマル「あ、シン君。大変なんです!」
シグナム「遅いぞ、シン。そんな悠長にしている場合か!」
デス子 「何かあったんですか?」
口調も明らかにいつもと違う。シャマルですらいつもの余裕がない。
その様子に、シンの緊張は一気に高まった。
シグナム 「まさか、こんなことが本当に起こるとは・・・・」
ヴィータ 「ああ、あたしでさえ信じられねぇ」
シン 「ど、どうしたんだよ。(まさか自動防衛プログラムが・・・・)」
ザフィーラ「シン、説明するから落ち着いて聞け。」
シン 「わ、わかった。で、一体何があったんだ?」
ザフィーラ「ヴィータの胸が大きくなった!」
シン 「・・・・・・は、はあ?なんだって?」
ザフィーラ「だから、ヴィータの胸が・・・」
シン 「ちょっと待て!重大なことって、もしかしてそれだけか?」
シグナム「そうだが?」
ヴィータ「はやてに借りたメジャーで何度も測ったんだ。間違いねえ!」
シン 「・・・・・・・・よかったなヴィータ。」
シンは呆れ果てていた。大変だというから何かと思えば、ヴィータの胸が大きくなっただけとはな。
大げさにもほどが・・・・・。
シン「ん?プログラム生命体って成長しないんじゃなかったか?」
リインⅠ「・・・・鈍いなシン、気付くのが遅いぞ」
ヴォルケンリッターとは、本来、魔道書「闇の書」の主を守る守護プログラムの総称である。
彼女達はプログラムにそって作られた擬似生命体であり、闇の書に異変が起こらない限り、外見や容姿は変化しないはずだ。
だが、ヴィータの体が変化したにもかかわらず、いくら確認しても闇の書には異常が見つからなかった。
シン 「なるほど。それでピリピリしてたわけか」
シャマル「笑い事じゃありませんよ!闇の書は、はやてちゃんとも繋がっているんですから」
シグナム「自動防衛プログラムが再生する前兆かもしれん。注意するべきだな」
シン 「決め付けるのは危険だぞ。ヴィータ、何か心当たりはないのか?」
ヴィータ「そうだな。牛乳は毎日飲んでたし、他にも・・・(以下略)」
デス子 「ふえ~、色々やってたんですね(無駄な努力を)」
リインⅠ「ヴィータ、お前・・・」
ヴィータ「諦めたくなかったんだよ!リインフォースもそんな哀れむような目であたしを見るな!」
シグナム「しかしますます判らなくなったな。それだけ(無駄に)努力を重ねてきながらなぜ今なんだ?ここ最近で変わった事といえば・・・・」
全員の視線が虚空をさまよい、何かに導かれたかのように一点に向かっていく。その視線の向かう先には・・・。
シン「・・・・なんだよ」
やはりこの男がいた。
シグナム 「・・・・まさか、アレか?」
シャマル 「・・・アレしか思いつきませんね!」
ザフィーラ「アレに間違いないな!」
リインⅠ 「信じられないが、アレが一番可能性は高い」
ヴィータ 「礼を言うべきか、ブッ飛ばすべきか悩むぜ・・・」
シン 「ちょっと待て!アレって、もしかして『パルマ』のことか!」
デス子「さすが、マスターのみが会得した伝説の奥義、『パルマフィオキーナ』!闇の書のプログラムすら書き換えるとは・・・。これでマスター
の女難伝説に新たな1ページが刻まれましたね!」
シン 「勝手に伝説を作って勝手に刻むな!大体なんだよ、奥義って!俺は誰かに伝授された覚えはないぞ!」
デス子「なに言ってるんです!忘れたとは言わせませんよ!全次元世界の危機を救うといわれた『パルマフィオキーナ』を会得するため、幾多の
世界を渡り歩いた辛い日々を!襲い来るニート連合の刺客を退けたあの一撃を!
キラ『やめてよね。きみに伝説の奥義が会得できるわけないでしょ。おとなしくここで死んでくれない?』
シン『黙れ!そして聞け!俺の名はシン・アスカ!最強と目される軌道六課の中においてなお、『不死身』と称された男!死などとうの
昔に超越した!』
立ちはだかるライバル達と、時に戦い、時に協力し絆を深めたったじゃありませんか!
レイ『ここは俺が引き受ける。シン、お前は先に行け!』
シン『レイ、だけど・・・』
レイ『早く行け!お前ならきっと『パルマフィオキーナ』を極められるはずだ!その力で世界を救ってくれ!』
シン『・・・わかった、礼は後で言わせてくれ。それまで死ぬんじゃないぞ!』
レイ『ふっ了解した!さあ来い、冷血ニート野郎のラクシズども!!貴様らなんぞに『パルマフィオキーナ』は渡さん!!!』
幾多の犠牲と共に、会得した『パルマフィオキーナ』。その代償として女難にあう日々にも負けず、
今日もマスターは女性の胸を大きくするのでした。シン女難戦記 ガンダムパルマディスティニー 第31話『俺は女難には屈しない!』
完 」
シン 「だから勝手に裏設定を作るな!あきらかに俺とレイが性格違いすぎだろ!!だいたい『ガンダムパルマディスティニー 第31
話』って、どんな脳内番組だよ!!!」
シグナム 「・・・あいかわらず、壮絶な人生を歩んでいるな」
ザフィーラ「・・『パルマフィオキーナ』、まさかここまでとは・・・・」
リインⅠ 「うむ、さすがだ」
シン 「わかって言ってるだろ、あんた達はーー!!!」
その後原因はシンの『パルマ』だと全員一致で断定され、(本人は否定している)
シンの女難伝説に新たな1ページが刻まれたのだった。
はやて「あれ?ここにあったメジャーどうしたんやろ?目盛りがズレてるから返品しよう思うてたのに・・・。」
- 十年前 海鳴市 はやての家 リビング(プログラム完成まで後三日)
八神家にはいくつもの家訓があるが、そのひとつにご飯はできるだけみんなで食べるという家訓があるそうだ。
なんでも、この次元の日本ではそれが当たり前らしい。
よって今日も俺は高町家の道場に行く前に、皆で朝早くご飯を食べている。
午前中は御神流の稽古をし、午後からは時空管理局でリンディ提督の手伝いだ。たぶん、終わるのは遅くなるだろう。
シン 「はやて、悪いけど今日はちょっと遅くなりそうなんだ。先にみんなで食べててくれないか」
はやて 「どうしても駄目なんか?少しくらいならみんなで待ってるで?」
シン 「そう言われてもな。まあ、できるだけ早く帰ることにするよ」
デス子 「今夜の夕飯は何ですか?」
シャマル「ホワイトシチューです。おいしく作りますから、期待しててくださいね?」
デス子 「あの・・・まさか今日の食事当番って・・・・」
シャマル「私ですけど?」
ザフィーラ「・・・・・・・」
シグナム「・・・・・・・」
デス子 「・・・・・・・」
ヴィータ「・・・・・・・・」
シン 「俺、やっぱり外で食ってくるよ」
はやて 「あかん!私達を見捨てるんか、シン兄!」
シャマル「みんな、ひどいです(涙)」
シン「やべ、もうこんな時間か」
のんびりし過ぎたようだ。士郎さんとの約束の時間まで二十分しかない。いや、あと二十分あればなんとか間に合うかも。
シン 「デス子、いつまで食ってんだ!置いてくぞ!」
デス子「ええっ、待ってくださいよマスター」
俺は朝ごはんを手早く口に放り込むと、デス子をほっといて全速力で駆け出した。
デス子「ああもう、まだ途中なのに~」
なんだかんだ言いつつ、デス子もついてくる。朝が少なかったから、恐らく昼ごはんはひどい出費になるだろうな。
シン 「って、そんな事気にしてる場合じゃない!いってきます」
はやて「いってらっしゃ~い、気をつけて行くんやで~」
いつもと何も変わらない朝だった。少なくとも、このときまでは・・・。
- 十年前 海鳴市 はやての家 リビング(あれから十分後)
ザフィーラ「シンが来てから、朝から賑やかになったな」
シグナム 「こんな朝早くから、よくもあれだけ騒げるものだ」
はやて 「賑やかでええやないか。んっ?」
はやてはシンが座っていた席に何か落ちている物を見つけた。
三つのかわいらしいキャラクターが仲良く並んでいるシンの携帯ストラップだ。 たぶん、古くなった糸が切れて下に落ちたのだろう。
はやて(確か妹さんの遺品やったっけ?こないな大事なもん落としても気付かんなんて、よっぽど慌ててたんやな)
はやてはシンのストラップをポケットに大事にしまった。
リインⅠ 「主、そろそろ学校のお時間では?」
はやて 「そ、そやった!ありがと、リインフォース」
ヴィータ 「さてと、あたしもゲートボールをやりに行くかな?」
シグナム 「私もたまには道場に顔を出さなければな。シャマル、ザフィーラ、リインフォース、留守番を頼むぞ」
ザフィーラ「うむ、気をつけてな」
シャマル 「ええ、みんないってらっしゃい」
そんな光景を見て、リインフォースは思う。
最初に違和感を感じたのは四日前。日に日に大きくなっていく『それ』が何か気付いたとき、リインフォースは覚悟を決めた。
平穏な毎日、穏やかな時間、楽しかった思い出・・・。 私が欲しかった時間は、あっという間に過ぎていった。
だが、もう後顧の憂いはない。私が消えてもシンやシグナム、そして生まれてくる私の妹が主はやてを支えてくれる。
リインⅠ「主はやて」
はやて 「なんや?リインフォース」
リインⅠ「主はやて、私はこの世で一番幸せなデバイスです」
はやて 「どうしたんや、いきなり??」
リインⅠ「一度言っておきたかっただけですから・・・。さあ、早く行かないと遅刻しますよ」
はやて 「???」
心残りなどあるはずが無い。最後にこれほどの幸せが得られたのだ。
わが主、シン・アスカ、ヴォルケンリッター、なのは、フェイト、クロノ、ユーノ、アルフ。
ありがとう、夜天の書の最後のページに「幸福」を刻めたことを、私は誇りに思います。
はやてが倒れたという話を聞いたのは、丁度高町家を出ようとしたときだった。
靴を履き玄関を出ようとしたときに、なのはの母親である桃子さんに聴かされたのだ。
桃子「大変よ、シン君!いま、あなたの家から電話があって」
シン「・・・?」
桃子「はやてちゃんが、はやてちゃんが学校で倒れたって・・・」
シン「はやてが!それで今どこにいるんです!」
桃子「海鳴大学病院に搬送されたそうよ。士郎さんが車を出すから急いで乗って!」
シン「はい、ありがとうございます!」
俺は士郎さんの車に乗って、急いで病院に向かった。 たった30分がこれほど長く感じたのは初めてだ。
くそっ、元軍人の悪い癖だ。一番最初に最悪の事態が頭に浮かんでくる。
デス子「マスター、これって・・・」
シン 「言うな!まだ決まったわけじゃない!」
口に出さなくても、俺とデス子が考えていることは同じだろう。
はやては朝あんなに元気だったんだ。認めたくないけど、あれ以外は考えられない。
俺が持ってきた『闇の書』の修正プログラム完成は、間に合わなかった。
最終更新:2008年07月04日 00:03