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わくどきパニックお子様ランチ 罪滅ぼし編

これまでの登場人物紹介(注:以下の登場人物は全て本ssのオリジナルキャラクターです。捏造です)

ハイネ・シュト―レン:未来から来たフォルテの長女を名乗る十代前半の少女。
ルナ・フランボワーズ:蘭花の娘だという十歳前後の自称未来人。
レイ・ブラマンシュ :赤い瞳以外は「母親」と瓜二つな自称ミントの未来の子供。
ステラ・アッシュ  :ヴァニラの面影を持つ時を翔ける幼女。
マユ・シラナミ   :謎の偽ミルフィーユ。シンや本物のミルフィーユとの関係は不明。

前回までのあらすじ:どうやらエンジェル隊と「子供」達との関係は複雑なようです。



――トランスバール暦432年、トランスバール本星第一軌道要塞基地(通称、エンジェル隊基地)

「わったしはさっすらいパティシエまゆまゆ~、どーんなケーキもイチコロころりぃ~♪」

 その日、彼女はエンジェル隊基地の自室で久々の休暇を謳歌していた。
 鼻歌を口ずさみながらキッチンを慌ただしく駆け回り、趣味のお菓子作りに精を出す。
 今日のお菓子はフランダルシェ、調理ロボットに弟子入りした母がレシピを伝授され、娘の自分に作り方を教えてくれた秘伝のケーキである。
 その昔、マロンケーキに挑戦した母は甘栗と間違えてロストテクノロジーを生地に混入して大変なことになったらしいが、自分はそのようなドジを踏むつもりは無い。
 材料も調味料も新鮮な国産品を使用し、道具もそれなりに上等なものを揃えた……自分の準備に抜かりは無い。
 キッチンを改めて見渡し、彼女は満足そうな表情を浮かべて一人頷いた。

 型に詰めたケーキ生地をオーブンに入れ、タイマーを規定の時間にセットしながらオーブンに蓋を閉じる。
 ケーキ作りも既に終盤、後は生地の焼き上がりを待って、最後にクリームとシナモンでデコレーションすれば完成である。
 作業が一つの山場を越え、彼女はほっと息を吐いた。

 誰と一緒に食べようか……オーブンの中のケーキ生地を見守りながら、彼女は候補者を頭の中にリストアップする。

〝エンジェル隊〟の仲間達――はNEUEへの出張任務で後三日は帰って来ないので除外。
 皆が帰って来た時にでもまた何かを作って出迎えてあげよう。

 お世話になっている叔母夫婦――もやめておいた方が無難かもしれない、気がつけばいつの間にかお菓子対決になっていそうで怖い。
 ……別に本職のお菓子職人である叔父とお菓子勝負をして負けるのが怖い訳ではない、ないと言ったらない。

 皇王陛下――却下、以前似たような目的で執務室に突撃して手酷い門前払いを喰らったのは未だに記憶に新しい。
 あそこに乗り込むのならばこちらもそれなりの装備を整えなければ話にならない。

 そして最後に、四人の「妹分」の顔が彼女の脳裏を過った。
 今は亡き両親の昔の同僚だったという女性達の子供で、彼女にとって妹のような――否、〝血の繋がりはないが繋がっている〟正真正銘の妹達である。
 下の三人は揃って同じ幼年学校に通っているから拉致――もとい捕獲するのは簡単であるし、一番上の娘が通う軍アカデミーも皇王陛下の執務室に比べれば乗り込むのは容易い。

「……うん、今日のおやつはハイネちゃん達と食べよう。答えは聞いてないっ♪」

 彼女が上機嫌でそう自己完結したその時、まるで図ったかのようなタイミングで――非常警報が鳴り響いた。

『緊急連絡、緊急連絡。エンジェル隊基地に不審者が侵入、倉庫に保管していたロストテクノロジーを奪って現在逃走中です』

「侵入者……敵!?」

 胸元の通信機越しに伝えられた緊急連絡にマユは瞠目したように一瞬目を大きく見開き――、

「ガーディアンエンジェル隊、マユ・シラナミ中尉。状況了解しました、ただ今より侵入者の迎撃に向かいます」

 ――しかし即座に思考を軍人のそれに切り替え、マユと名乗った桜色の髪の少女は腰のホルスターから引き抜いた拳銃の安全装置を外した。

 休暇はおしまい、ここからは任務の時間だ。
 オーブンの中のケーキ生地を、マユは名残惜しそうに一瞥する。
 ケーキ、皆と一緒に食べたかったな……いや、すぐにこの仕事を終わらせて、それから皆で食べれば良いか。
 そんな風に自身を納得させ、マユは部屋の出入り口へと足を進める。
 電子ロックを解除し、空気が抜けるような音を立てながらスライドする自動扉を潜ったマユは、次の瞬間――、



 黒くて太くて硬そうで物騒な鉄の筒を抱えた四人の不審者と、目が合った。



「…………えっと?」

 目の前の現実が俄かには信じられず、マユは思わず己の目を疑った。

 トレードマークのキャップの下に黒い目出し帽を被った艦隊提督の長女がいた。
 パピヨンマスクを着けた占い師兼宇宙最強の格闘チャンピオンの一人娘がいた。
 白いニワトリの着ぐるみを着た某財団総帥令嬢がいた。
 セルロイドのお面を被ったどこぞの宗教団体幹部の秘蔵っ子がいた。

 ――ありのままのことに見たことを話そう。
 この任務が終わればお茶会に誘う筈だった四人の妹分が、怪しさ抜群の格好で通路に勢揃いしていた。
 バズーカ砲というおまけつきで。

 自分は少し錯乱しているのだろうか? そうかもしれない。
 前略、お母さん……見慣れてるけど見慣れない人達に囲まれて、あなたの娘は物凄く戸惑ってます。

 余りにも予想外な光景を前にマユの被った「軍人の仮面」に亀裂が入り、異常事態への反応が一瞬遅れた。

 ……それがいけなかった。

「「「「せーの……!」」」」

 マユに生じた僅かな隙を見逃すことなく、不審者達は四人掛かりで支えるバズーカ砲を垂直に振り上げ――、




 彼女の脳天へと、思い切り振り下ろした。



――トランスバール暦412年、エンジェル隊基地・地下

「やーみは続くよどこまでもぉ~、真っ暗くらいクライ~♪ 二度目のクライは泣いちゃうかもぉ~?」

「……ミルフィーユ、そんな陰気な歌を笑顔で歌うのはやめろ」
「同意です。色々な意味で気が滅入ります」

 どこまでも暗闇と瓦礫の中を慎重に進みながら、シン・アスカとマユ・シラナミは揃って大きく息を吐いた。
 シンの手の中に握られる、この場唯一の光源――携帯電話の液晶画面の光が照らす先では、ミルフィーユ・桜葉が不思議そうに首を傾げている。

 シン達三人が移動を始めてから、既に数十分の時が経っていた。
 暴走したモビルスーツ・デスティニーの破壊活動によって生まれたこの広大な瓦礫の山は、シン達が思ったよりも深く、歩けども歩けども中々出口に辿り着かない。
 液晶の光のみを頼りに、瓦礫の中を手探りで進むという今の状況は、三人の心身を著しく疲弊させていた。
 更に絶望的なことに、画面に表示された携帯電話のバッテリー残量は既に三割を切っている、電池切れになるのは時間の問題だろう。
 バッテリーが切れれば、自分達は文字通り「光」を失ってしまう……だからその前に一刻も早く、この空間から脱出しなければならない。

 だが、そんなシン達の思いも虚しく――、

『マユでーす。ケータイの電池が切れちゃいましたー、バッテリーの充電をお願いねっ』

 ――メモリーに記憶された〝シンの妹のマユ〟の声がバッテリーの枯渇を告げ、液晶画面の光が消えた。

 沈黙した携帯電話をパチリと二つに折り畳み、シンは握った掌ごとポケットの中へ押し込んだ。

 ここまでか……ポケットの中の携帯電話を握り締めたまま、シンは諦めたように息を吐いた。
 一切の明かりの無いこの完全な暗闇の中、闇雲に動き回るのは余りにもリスクが高い。
 この場で救助が来るのをじっと待つことが、今この状況で自分達に出来る最善の策だろう。
 もっとも、落下の衝撃で通信機は故障し、エマージェンシー・コールの電波も届くか疑わしいこの地下深くで、救助の人間が自分達の発見にどれだけ掛かるか見当もつかないが。

 惑星トランスバール軌道上に浮かぶ巨大な軍事要塞衛星、エンジェル隊基地……その地下深くで、シン達は目下遭難していた。

「流石に絶望かもな、こりゃ……」
「えぇ~? シンく~ん……」

 手探りで見つけた瓦礫の上の腰掛けながら呟くシンに、ミルフィーユが落胆したような声を上げる。
 その時、シンの耳元でパチリという〝携帯電話を開く音〟が聞こえ――、

『マユでーす。ケータイが起動しまーすっ』

 ――〝目の前にいる方のマユ〟の録音音声と共に、闇の中に液晶の仄かな光が浮かび上がった。

「あははははー、実はわたしも持ってたりして? ケータイ……」

 液晶画面が放つ仄暗い光に照らされながら、そう言って悪戯が成功した子供のように笑うのは――マユ。

「今度はわたしが先導しますから、もう少しだけ前に進んでみませんか?」

 柔らかな笑みを浮かべながらそう提案するマユに、シンとミルフィーユは思わず首肯していた。
 携帯電話から垂れ下がるストラップの先端では、羽根を模した白い飾りが揺れていた。



――トランスバール暦432年、エンジェル隊基地

「ちょっと! これどーゆーつもりなの!? ハイネちゃん!!」

 後ろ手で縛られ、椅子の上に拘束されたマユが、目出し帽を脱ぎ捨てた赤い眼の少女、ハイネを睨みつける。
 怒気の籠ったマユの眼光を受け流し、ハイネはキャップを頭に被り直した。
 その腰には、マユを拘束した際にホルスターごと取り上げた軍用拳銃が鈍く光っている。

「ごめんね、姉さん。あんまり手荒なことはしたくなかったんだけど……」
「とか何とか言い訳してますけど、いざヤる時には躊躇ありませんでしたわよね? ハイネお姉様」

 謝罪の言葉を口にするハイネに、ウサギ耳のような飾りを着けた紅の瞳の女の子、レイが着ぐるみを脱ぎながら口を挟んだ。

 妹の皮肉に一瞬不機嫌そうに眉を寄せ、ハイネは椅子に繋いだマユを見遣る。
 雁字搦めに縛られ、一切の動きを封じられた桜色の髪の姉貴分は、意思の強さを窺わせる薄桃色の双眸でハイネ達を睨みつけていた。

「どうしてこんなことをするの……? こんなの遊びとか悪ふざけじゃ済まないよ!?」
「遊びでやってるんじゃないんだよ!!」

 悲痛な声で叫ぶマユに、ハイネも声を荒げて怒鳴り返した。
 軍事施設への無断侵入にロストテクノロジーの奪取、更には基地に勤務する軍人の拘束、そして監禁……どれも重罪であることに疑いはない。
 そこに「子供であるから」という言い訳など通用せず、既に自分達は立派な犯罪者なのだ。
 自分達「子供」が起こしたこの暴挙は、保護責任者であるフォルテ達「母親」にも多大な迷惑をかけることになるだろう。

 だがそれでも、自分達は止まることは出来ない、止まる訳にはいかない。
 今この機会を逃せば、もう二度とチャンスが巡って来ないかもしれない。
 だから多少強引な手を使ってでも、自分達は「計画」を完遂させなければならない。
 この残酷な現実を否定するために、〝優しくて暖かい未来〟を創るために。
 歴史を変えようと、〝コーディネイター〟をこの世界から葬ろうと、決めたから……。

 ハイネは怒気を納め、ぎこちない笑顔を浮かべながらマユの顔を正面から見つめた。

「二週間前に発掘された“時を越えるロストテクノロジー”、これを使ってあたし達は過去の世界へ行く。
 コーディネイト技術がまだ確立していない過去の世界なら、研究を完全に潰すことも夢じゃないからね」

 盗み出したロストテクノロジーを見せつけるように手の中で弄びながら、ハイネは唇の端を持ち上げた。

「過去を弄るついでに、父さんの運命も変えてくるよ。優しくてあったかい最高のハッピーエンドを創ってみせるから、だから姉さん――お願いだから、邪魔しないで」
「そうそう。お姉ちゃんやママ達が必死で頑張っても出来なかったことを、アタシ達がみーんな代わりにやってあげるんだから! 感謝してよね?」
「コーディネイターの問題は、わたくし達コーディネイターにお任せ下さい」
「ゆがめられた命に、魂の救済を……」

 達観したような顔で笑うハイネの科白を引き継ぐように、ルナやレイ、そしてステラが次々と口を開く。
 まるでこれが「最期のお別れ」であるかのような、悲しさを押し殺したような笑顔を浮かべながら……。

 唐突に、マユは気付いた。
 気付いてしまった。
 仮にハイネ達の計画が成功して、歴史が変わって、コーディネイターという哀しい生命がこの世界から消え去ったとして――、

 では〝コーディネイターであるハイネ達〟は、一体どうなってしまうのか……?

「駄目……っ! 皆やめて……!!」

 椅子から身を乗り出しながら、マユは必死な声で制止を訴えかける。
 もう嫌だった。
 自分の大切な人達が、自分の目の前で消えてしまうなど。
 もう二度と、そんな辛い思いはしたくなかった。

 しかしマユの叫びも空しく、ロストテクノロジーは起動し――、

「さよなら。マユお姉ちゃん」

 別れの言葉と共に、次の瞬間、全てが――マユの意識も――光に呑み込まれた。






「――ってことがあってさ。まさか姉さんまで巻き込まれてこっちの時代に来てるとは思わなかったよ」

――トランスバール暦412年、エンジェル隊基地

 未来からこの時代へやって来た経緯を語り終え、ハイネは疲れたように息を吐いた。

「お母様方のアルバムの中のミルフィーユ・桜葉さんは、本当にマユお姉様にそっくりで、いつもお父様と一緒に笑って映っていらっしゃいましたから。
 きっと先入観があったんでしょうね……お父様の隣にいるマユお姉様を、わたくしもミルフィーユさんだと信じて疑っていませんでした。迂闊でしたわ」

 ハイネの科白に便乗する形で、レイも深々と嘆息する。

 落ち着きを取り戻したブリーフィングルームは、しかし依然として重苦しい空気に包まれていた。

「未来を否定する、か……」

 ソファに深々と腰掛けた蘭花が、天を仰ぎながらぽつりと呟く。

「――で、アンタ達は一体何をするつもりな訳?」
「……ノーマッドⅡ」

 蘭花の問いに、ヴァニラの面影を持つ緋色の眼の幼女、ステラが膝の上のぬいぐるみに声をかけた。
 ステラの呼び掛けに応えるように、ぬいぐるみの両眼がきらりと輝き、ブリーフィングルーム奥の大型スクリーンモニターに光が入る。
 画面を埋め尽くす膨大な文字の羅列、モニターに表示された何かの文書データに、一同の視線が集中した。

「これは……」
『現在判明しているコーディネイター研究機関の詳細データです。施設の座標から研究員の個人情報、更に計画を主導する軍高官の名前まで、分かっている情報は全て』

 眉を顰めるウォルコットに、ノーマッドⅡが何でもないことのように解説する。

「ちょっと、アンタ達がいた研究所は軍が摘発したんでしょ? それなのに計画の責任者が軍の高官ってどういうことよ!?」
『知能が低い人だなぁ。そんなことも分からないんですか?』

 興奮したようにソファから立ち上がりながら問う蘭花に、ノーマッドⅡが見下すように言葉を返す。

『確かに、受精卵に手を加えて自分達の都合に合わせて「改造」するのは生命を冒涜する忌むべき所業ですし、その技術を完成させるために人体実験するなんて以ての外です。
 人道的な面から言えば、コーディネイターは赦されざる罪の産物と言えるでしょう――が、そのような「建前」を排除した視点から見れば、果たしてどうでしょうか?
 才能や資質、性格をも自由に調整して、理想的な兵士を無制限に生産出来るんですよ。こんな便利な技術、そんなスバラシイ可能性を軍が放っておく筈が無いじゃないですか。
 第一、オリジナル・コーディネイターは一応ロストテクノロジーなんですよ、当然そのデータも超一級機密です。そんな物を軍上層部の人間以外の誰が手に入れられるんですか』

 当たり前のように言うノーマッドⅡに、蘭花は苦々しそうな表情で沈黙する。

「……とまぁ、そんな訳でコーディネイター研究はかなり根が深いの。関係者を全部皆殺しにして、研究施設を惑星ごと吹き飛ばしても完全に「根絶やし」にするのは多分無理」
「しかし「今」なら――この時代ならば、コーディネイト技術の復活計画はまだ机上どころか紙の上にすら存在していません。
 今なら軍が保管しているお父様の遺伝子サンプルを焼き捨てて、データベース内の関係データを消し去れば事足りるでしょう」

 ノーマッドⅡに便乗する形でそう口にしながら、ハイネはおどけたように肩を竦め、レイは柔らかな微笑みを浮かべる。
 その瞬間、蘭花達は目の前の「子供」達に底知れぬ畏怖を感じていた。

「――なんて偉そうなこと言ってるけど、本当はその程度のことしか出来ないだけなんだけどね。逆に言えば「その程度のこと」で未来を変えられる方法を選んだ訳だけど」

 子供達の恐るべき計画に大人達が戦慄する中、ルナが明るい口調で話し始めた。

「コーディネイターだからって、未来人だからって、結局アタシ達がただの子供だってことに変わりは無いもの。出来ることなんて高が知れてるわ。
 だから逆に考えてみたの……ちっぽけで無力なアタシ達が、アタシ達に出来ることで世界を変える方法を。それで考えついたやり方がこれだったの」

 淡々と響き続けるルナの言葉に、その場の誰もが聞き入っていた。

 でも……と、表情を真剣なものに変えてルナは続ける。

「もしもアタシ達が失敗したら、例えば全部をやり遂げる前に死んじゃったりしたら……その時は、ママ達に後を任せても良いかな?」

 何の躊躇いも無くルナが口にしたその科白に、蘭花達は思わず息を呑んだ。

「ママ達が何の関係も無いのは解ってるけど、でも押しつけちゃって良いかな……?」
「アンタ……」

 顔を俯かせ、震える声で懇願するルナに、蘭花が思わず声を上げる。
 何かを言わなければならないと思った、だが何を言えば良いのかが分からなかった。

 俯かせていた顔を上げ、ルナは泣き顔のような笑顔を浮かべて蘭花達を――エンジェル隊を見渡した。

「だって、ママ達いつも言ってたんだもん……ギャラクシーエンジェルは正義のヒーローだって。パパとママ達が皆揃えば、出来ないことなんて何も無いんだって……!」

 それはあらゆる意味で自分達を翻弄し、世界を変えてみせるとまで豪語した稀代の〝時空テロリスト〟には到底似合わぬ、年相応の「子供の理屈」だった。

 その時、蘭花達「大人」も漸く思い出した。
 ルナもレイも、ステラもハイネでさえも、本人達が口にした通り〝コーディネイターであり未来人である前にただの子供〟なのだ。
 その出生の秘密や野望の壮大さに圧倒され、そんな当たり前の事実さえも忘れ去っていた。

「ねぇ……助けてって、言って良いかな……?」

 涙を浮かべながら尋ねるルナの声は、まるで迷子の子供のように弱々しかった。



……To be continued

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最終更新:2008年12月29日 15:35
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