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終わりのミックスフルコース-02

 種は弾け、欠片は数多の大地に散らばり、無限の色の花を咲かせた。

 時の迷い子が傷を癒し、血塗れの羽根が生え揃う時、終わりの始まりの鐘は鳴る。

 憎悪の炎が天を焦がし、嘆きの叫びが花畑を枯らす。

 無限の運命が交わる場所で、世界はただ一つの明日を選びとるだろう。

――『預言者の著書』第7章13項



「戦争が、始まる……?」

 聖王教会騎士カリムから唐突に告げられた衝撃的な未来予想図に、シン・アスカは動揺を隠せなかった。
 隣の八神はやても真剣な表情を浮かべ、無言でカリムの顔を見つめている。
 カリムは半年から数年先の未来を、年に一度、詩文の形で書き出す能力、『預言者の著書(プロフェーテン・シュリフテン)』を保有している。
 先日作成した〝今年分〟の預言書のページ、その中の一節――『終わりの始まりの鐘』という言葉を、カリムは『戦争が始まる』と解釈したのだ。

 シンとはやて、二人の視線を真正面から受け止めて、カリムは重々しい面持ちで言葉を続ける。

「『終わりの始まりの鐘』を合図に戦争が始まる、それは大規模な次元戦争になる可能性が高いわ。『憎悪の炎』と『嘆きの叫び』が、天地を焼き尽くしてしまう程に……。
 戦争の原因は分からないけど、この『種の欠片』や『血塗れの羽根』って記述が何かの鍵だと思うの。そして熾烈な闘争の果てに、たった一つの世界だけが生き残る……」
「……この『無限の運命が交わる場所』っていうのは?」

 言葉を選びながら慎重に口を開いたシンの問いに、カリムは硬い表情のまま首を横に振った。
 どうやらその記述はまだ解読出来ていないらしい。

「無限の『運命』、数えきれない程の『デスティニー』……騎士カリムは、この『運命』って記述は俺の〝デスティニー〟を表していると考えてるんですよね?」

 重ねて尋ねるシンに「カリムで良いわ」と一言置いて、カリムは首肯する。
〝デスティニー〟――それはかつてシン・アスカが次元漂流者として時空管理局に保護された際、共に管理局に回収された巨大質量兵器である。
 シンの出身世界〝コズミック・イラ〟ではモビルスーツという機動兵器に分類されるそれは、簡潔に形容すれば巨大な機械人形、更に単純に「巨大ロボ」と言えば解り易い。
 原則として一切の質量兵器を禁止している管理社会において、当然デスティニーも存在そのものが許されていない。
 本来ならば即刻解体処分して然るべき代物であるのだが、デスティニーが搭載する核エンジンの存在が問題をややこしくしていた。
 迂闊に手を出して放射能汚染でも起きたら目も当てられない……そのような理由からデスティニーは解体を免れ、現在は機動六課隊舎の地下格納庫に厳重に封印されている。

 ――閑話休題。

 眉間にしわを寄せながら何やら思案を巡らせるシンに、カリムは怪訝そうに首を傾げた。

「……シン君?」

 遠慮がちに声を掛けるカリムを仰ぎ見て、シンはおもむろにこう言った。

「カリムさん、もしかしたら『無限の運命』って言葉は俺の世界――コズミック・イラのことを指してるんじゃないでしょうか」
「え……どういうこと?」

 突然のシンの言葉を上手く呑み込めず、カリムは思わず訊き返した。
 カリムの疑問を受け、シンは再び口を開く。

「『運命』がデスティニー、つまりモビルスーツのことを表してるならば、『無限の運命が交わる場所』というのは数えきれない程のモビルスーツがある場所だと解釈出来ます。
 そして『交わる』という表現が使われていることから、無数のモビルスーツが交錯し、互いにぶつかり合うような場所……戦場のことを言っているのではないかと俺は考えます」
「なるほど……」

 シンの解釈に、カリムは得心したように頷いた。

 モビルスーツ、または同系統の巨大機動兵器は、質量兵器自体を保有も製造も禁止するミッドチルダを始めとした管理世界には存在しない。
 魔法技術を用いて同様の兵器を造ることも不可能ではないが、実際に行動に移す馬鹿は皆無だろう。
 そのような「玩具」に資金や労力を注ぎ込むよりも一人でも多くの高ランク魔導師を擁する方が余程建設的だということは自明であるのだから。
 付け加えるならば、わざわざ「人型」に拘る意味も無い。
 一方管理外世界の方は、そもそもモビルスーツのような兵器を造るだけの技術が無い。
 自然科学・魔法科学の両面から見ても、二十メートル級の人型機械が動き、尚且つ戦闘まで行うというのは驚異的なのである。

 結論として、デスティニーのような兵器はあらゆる意味で次元世界には存在しない、ましてや同様のものを無数に集めるなど不可能だということになる。
 それこそ、〝デスティニーが造られ、また実際に使われた世界〟でない限りは……。

 シンは続ける。

「コズミック・イラにはそれこそ腐る位モビルスーツが溢れてますし、加えてあの世界は少し前まで大規模な戦争を――いや、もしかしたらまた戦争を始めてるかもしれない。
 とにかく、あの世界ならカリムさんの言う『戦争』の火種なんて幾らでも転がってるし、この預言は〝コズミック・イラの戦争〟のことを言ってるんじゃないか。――でしょうか」

 興奮してきたのか最後には敬語すらも忘れ、後から慌てたように言い直すシンを微笑ましく見遣りながら、カリムは小さく頷いた。

「そうね……それが正解だと断定するのは早計でしょうけど、貴方の解釈も候補の一つに入れておいた方が良いかもしれないわね。貴重な意見をありがとう、シン君」
「いや、その……出しゃばったことを言ってすいません」

 柔和な微笑みを浮かべるカリムに、シンが狼狽えたような顔で頭を下げる。
 こうやって他人から正面からお礼を言われたのは、思い返してみれば随分と久し振りの経験だった。

 その時、それまで黙って二人の討論を見守っていたはやてが、おもむろにティーカップの紅茶を口に含んだ。

「……違うな、シンもカリムも間違っとるで」

 唐突に否定の言葉を口にしたはやてを、シンとカリムが同時に振り仰ぐ。

「は、やて……?」
「何だよ部隊長、間違ってるって一体どういう意味ですか?」

 困惑の表情を浮かべるカリムと胡散そうに眉を寄せるシンを横目で見遣り、はやては真犯人を暴く名探偵のような顔で語り始めた。

初めにおかしい思うたんは、カリムが『運命』と『種』と『時の迷い子』って記述、これ全部シンのことやって断定した時や。
 確かにこれらはシンを連想させる言葉ではある。でもカリムの預言書はある意味暗号や、そんなストレートに書かれとる筈がない」

「いきなり前提条件から崩しやがったなオイ。というかあんた十分前と言ってることが違うくないですか部隊長?」

 シンのツッコミを無視してはやては続ける。

「そこんトコがちぃと気になってな、わたしもずっと考えとったんよ……こんな簡単は筈は無い、もっとオモロ――違う何かが隠されてるに違いない、ってな」
「オモロイか? 今オモロイって言おうとしたよな!?」

 更に無視して、はやては再びティーカップを手に取った。
 じらすようにゆっくりと紅茶を喉の奥へ流し込み、はやては科白を再開する。

「初めの二節、『種は弾け、欠片は数多の大地に散らばり』、『時の迷い子が傷を癒し、血塗れの羽根が生え揃う』――この時点で『種』も『羽根』もシンやないゆーのは確定やな。
 これ直訳したら、シンが一度バラバラになった後、元通りに復活するってことになるんやで? 一体どこの帰ってきた光の国の巨人かっちゅー話やねん。
 シンやない、でも全くの無関係でもない「何か」がこの二つの正体やろうな。ついでに言えば、それは戦いを最初から最後まで左右する「鍵」みたいなもんやとわたしは考える」

「「鍵……?」」

 声を合わせて訊き返す二人にはやては首肯する。

「二文目の『血塗れの羽根が生え揃う』ゆーんは、最初の『欠片は数多の大地に散らばり、無限の色の花を咲かせた』の言い換え、つまりこの二つは同じ意味やないかな。
 花が咲き羽根が生え揃った時、『終わりの始まりの鐘』は鳴り、『憎悪の炎が天を焦がし、嘆きの叫びが花畑を枯らす』戦いの果てに『ただ一つの明日』が選ばれる。
 この『明日』って言葉も、『花』や『羽根』と同じもんを指しとると推測出来る。無数の『花』や『羽根』の中からただ一つの『明日』を選ぶ、それこそが戦いの目的なんや」

「明日を、選ぶ……?」

 反芻するシンに一瞥を向け、はやてはまたティーカップを傾ける。

 ……空だった。

 仕方なく隣のシンの紅茶に手を伸ばし、渇いた喉を潤す。
 ティーカップの中で揺れる冷めた紅茶は、別にシンの味などしない普通の紅茶だった。

「――いきなり話は変わるんやけど、機動六課、特にシンの周りってかわいい娘が揃うとるて思わへん?」
「本当にいきなり変わりましたね」

 というか紅茶返せ、と視線で訴えるシンを黙殺して、はやてはどこか憂いを帯びた眼で吐息を零す。

「なのはちゃんは課内アンケートで「彼女にしたい局員」部門第一位やったし、フェイトちゃんの方は「嫁にしたい局員」部門ナンバーワンや。スバルとティアナも素材は一級や。
 見た目は年上のお姉さん(シグナム)からロリっ娘(ヴィータ)までオールコンプリート、中身は天然ツンデレ何でもござれ……ホント、まさに「これなんてエロゲ」状態やな。
 更にもーちょい視野を広げてみれば、医務室に行けばきれいなお姉さんが笑顔で出迎えてくれるし、何よりこんな理想の美人上司が目の前におる。まさに完璧な布陣やないか。
 おまけに最近は義理の娘まで出来そうな勢いやし? ついでに愛と憎しみの戦場ラブロマンスは最早お約束や。……ホンマ、あんたは一体どこのギャルゲー主人公様や? シン」
「何馬鹿なこと言ってやがるんですかyagami」
「yagami言うな! ……真面目な話、シンは自分が今置かれとるこの状況をどう思とるん? 男なら誰もが羨む夢のシチュエーションやで? わたしは女やからよー解らんけど」

 そう言って真剣な顔で赤い瞳を覗き込むはやてに、シンはたじろいだように思わず視線を背けた。
 訊かれている内容は果てしなくくだらないものである筈なのに、答えなければならない強迫観念のようなものを感じてしまうのは何故だろうか。

「どうって……別にどうもしませんよ」

 逡巡するような沈黙の後、シンは躊躇いがちにそう口にした。

「なのはさん達隊長もスバル達新人も、グリフィスやリイン達ロングアーチの皆も、そして勿論あんたも、俺にとっては皆仲間で……それ以上でもそれ以下でもないです。
 そりゃあ俺だって健全な男ですし、異性を意識することが無いとは言いません。でも俺だって立場とか、自分がやらなきゃいけないこととかは弁えているつもりです。
 恋愛とか、そういうのに感けてるような時じゃないでしょう、今は。そんな余計な感情に惑わされて、迷って、間違えて……それで後悔するのはもう懲り懲りなんですよ」

 まるで自分自身に言い聞かせるような口調で胸の中の思いを言葉にするシンを、はやてはどこか憐れむような眼で一瞥して、一言。

「――つまらん」
「オイ!?」
「冗談や」
「…………」

 ジト目で睨むシンを軽やかに無視して、はやては再び(シンの)紅茶に口をつける。

「シンの言いたいことはよー解った、正しいとも思う。面白みは無いけどな。でも皆が皆、シンみたいに割り切っとるとは思わんことやな」
「……どういう意味ですか?」
「わたしらはシンみたいに〝大人〟やないっちゅーことや」

 皮肉めいたはやての科白に、シンは無意識に眉間にしわを寄せていた。
 あからさまにむくれるシンを「ガキやなぁ」と笑うはやての顔が、その時不意に陰りを帯びた。

「夜天の主とかエースオブエースとか呼ばれとるけど、わたしらだって年頃の女の子や。シンが「健全な男の子」やってのと同じようにな。
 シンの言う「余計な感情」ってもんに感けて間違うこともあるかもしれへん――いや、寧ろ間違いをそのまま押し通すんやないやろか?
 邪道やって繰り返して他の皆に広めればいつの間にか王道になっとることも多々あるし、今までそれで上手いこと進んできたんやしな。
 ともかく、わたしらは管理局員である前に一人の女の子やっちゅーことや。男である前に管理局員であろうとするシンとは正反対に、な?」

「……それは、」

 口を開きかけるシンを制し、はやては自嘲するように空笑いを浮かべた。

「とんでもない問題発言やろうなぁ、これ。次元世界の法と正義を護る管理局員、しかも仮にも部隊一つを預かる責任者様が、使命よりも色恋事を優先するなんて言うたんやから。
 本当なら建前だけでもシンみたく――シンは本気やから処置無いんやけど――「世界のために頑張ります!」みたいなことを言わなアカンやろうけど、まぁオフレコってことで。
 繰り返しやけど、わたしらだって女の子や。男の子に興味津々なお年頃やし、もう一歩踏み込んで恋だってする。そんなわたしらに一番近い「男の子」って、実はシンなんやで?」

「――って俺!?」

 急に神妙な顔になったはやてから、しかもいきなり話題を振られ、シンは狼狽えたような声を上げる。

「年齢的にもエリオやヴァイス君よりシンの方が、わたしらにもフォワード部隊の娘達にも近いし、グリフィスは基本的に裏方やからスバル達とはあんまり接点無いからな。
 その点シンはなのはちゃんの助っ人でよく訓練に顔出しとるし、一緒に出撃する時だってある。スバルやティアナからすれば、エリオ以外でほぼ唯一かつ一番身近な異性なんや。
 そーゆー訳で、スバルやティアナにとってシンは「訓練に付き合ってくれる人の良い先輩」、なのはちゃんから見れば「教導も手伝ってくれる頼りになる後輩」ってところやろな。
 シグナムやヴィータとかも、シンに対して特に悪い感情は持ってへん。寧ろ結構好感度高いんやないかな。弟分とか舎弟とか、そんなノリで。リインもシンがお気に入りや。
 良かったなぁシン。周りの女の子達、誰もシンのこと嫌っとらんで? 皆シンのことが大好きや。フェイトちゃんもシャマルも、勿論わたしもな。シンはわたしの自慢の下僕や」
「最後の最後で酷ぇなオイ。ていうか買い被り過ぎですよ部隊長……」
「そんなことないで? 今言ったこと全部、課内アンケートに書かれてた皆のシンの評価や。無記名アンケートやったんやけど、筆跡鑑定で個人を特定してみました!」
「あんた何やってんだよyagami!?」
「だからyagami言うなぁーっ!!」

 大舌戦、再び……と思いきや、意外にもはやての方が舌先を納め、取り繕うような咳払いと共に話を再開した。

「……とにかく、わたしらが〝彼氏彼女未満〟の範囲で、シンにそれなりに好意的であることは、これで解ってくれたと思う。ていうか解っとらんでも割り切れ、先に進まんから。
 で、や。今のところはまだ誰も恋愛感情までは発展してへん(と思う)けど、いつ誰かが〝一線〟を越えてもおかしくない状況でもあるんや。こんな職場、それは尚更やな。
 死と隣り合わせの特殊な環境――要するに戦場やね――に置かれた男女が、極度の緊張を恋愛感情と誤認するのは誰にでもあり得る……って、これはシンには釈迦に説法やね。
 つまりシンは極めて「フラグ」が立ち易い状態やってことやけど、その「フラグ」こそが、天を焦がし花畑を枯らす大戦争を引き起こす、『種』や『羽根』やとわたしは考える」

「ふ、フラグ……?」

 何の前触れも無く話が戻ったことに驚くよりも、はやてが口にした預言書のとんでもない解釈にシンは唖然とした。
 はやての瞳がキラリと輝く。

「『種は弾け、欠片は数多の大地に散らばり、無限の色の花を咲かせた』――これはシンが敵味方問わず恋愛フラグを乱立させることを表しとる。『花』は堕とされた女の子の暗喩や。
 心の傷を癒した『時の迷子』、つまりシンがフラグを立てまくった結果、大量生産された〝恋する女の子〟達は飽和状態になり、やがて爆発する……壮絶な修羅場の始まりや。
 『終わりの始まりの鐘』が鳴り、『憎悪の炎が天を焦がし、嘆きの叫びが花畑を枯らす』大激戦が始まるんやけど、いつかは『世界がただ一つの明日を選びとる』決着の時が来る。
 数多の犠牲の果て選ばれる結末はたった一つ、でも誰も『無限の運命が交わる場所』――シンに至ることは無いかもしれへん。『血塗れの羽根』は、多分シンの死亡フラグやから」

 つまり……と言いながらはやては立ち上がり、深呼吸するように大きく息を吸い込んだ。
 そしてシンの鼻先に人差し指を突きつけながら――、 

「――つまり、シンの女難が世界を滅ぼすんやぁぁぁーーーっ!!」

「「な、何だってぇぇぇーーーっ!?」」










「――って、何だそりゃぁぁぁーーーっ!?」

 雄叫びを上げながら飛び起きたシン・アスカの眉間を、次の瞬間、弾丸のように高速で飛来した白チョークが直撃した。
 再び机の上に轟沈したシンの後頭部を、女教師ちっくなスーツに身を包んだ銀髪の少女――アル・アジフが、眼鏡の奥の翡翠色の瞳を不機嫌そうに細めながら片手で鷲掴みする。

「このうつけが! 世界最強の魔導書たるこの妾、アル・アジフ直々の魔術講義の最中に居眠りとは良い度胸だ。そんなに寝たいならこのまま永眠させてくれようか!?」
「ぐぇええええ……ギ、ギブギブギブギブ! 死ぬ、マジで死ぬからギブ!!」

 握り潰すような勢いで後頭部を締め上げるアルに、シンは思わず絶叫する。

「ほう……ギブ(give)か、死にそうな程に妾の指先が欲しいか? ならばくれてやるわ、この馬鹿弟子がぁぁぁーーーっ!!」
「ぎゃあああああああああああああああああっ!?」
「……原本(はは)よ、それ以上やってはマスターが死んでしまう」

 指先に更に力を籠めるアルに、額にユニコーンのような角飾りを着けた金の髪の少女が制止の声を掛ける――セーラー服のコスプレで。
 シンが契約した魔導書【ネクロノミコン・機械語写本】の精霊、エイダである。

「……むぅ。しかし我が写本(こ)よ、このようなうつけには調きょ――もとい、身体に直接教え込むのが一番であろう。
 万が一死んでだとしても、その時は所詮その程度の術者だったと諦めれば良い。なぁに、これが死んでも代わりなどいる」
「……私はまだはぐれ魔導書に戻りたくはないのだが」

 嗜虐的な笑みを浮かべるアルに、エイダは困ったように吐息を零す。
 大十字九郎探偵事務所には、依然としてシンの悲鳴が響き続けていた。



 時は、大黄金時代にして大混乱時代にして大暗黒時代。
 大魔道都市アーカムシティの夜は、かくも賑やかに更けていく。



――To be continued...

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最終更新:2009年01月24日 20:11
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