読書感想しりとりリレー2006@Wiki内検索 / 「「イン・ザ・ペニー・アーケード」 (スティーヴン・ミルハウザー)」で検索した結果
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「イン・ザ・ペニー・アーケード」 (スティーヴン・ミルハウザー)
...のが上手い。 「イン・ザ・ペニー・アーケード」………少年が訪れたペニー・アーケードは、かつて彼が憧れたものではなかった。 前作と同じく少年を題材とした表題作は、少年の自意識を幻想的に扱った短篇でこれも好き。一見ブラッドベリが扱いそうなモチーフだけど、一語一語にかけた手間が感じられます。 「東方の国」………幻想の中国を項目別に描く。 一番不思議な味わいのする一作を最後に持ってくるのは変な感じもするのだけど、これが恐らくスティーヴン・ミルハウザー本来の味わいなのでしょう。 最後に、掲載しようかどうしようか迷って今回の遅れの原因となった訳者・柴田元幸の巻末あとがきから引用して締めたいと思います。 それでは次のあちゃぞうさん、「ど」でお願いします。 ミルハウザーの登場人物たちが体験する驚嘆の引き金になっているのは、多くの場合「退屈」である。底知れぬ... -
走行履歴
...ク) /あちゃぞう 「イン・ザ・ペニー・アーケード」 (スティーヴン・ミルハウザー) /アンダー 「ゲームの名は誘拐」 (東野圭吾) /和泉 「イブのおくれ毛」 (田辺 聖子) /なりた 「Uの世界」 (神林 長平) /本条 「with you」 (江国香織・岩井志麻子・他) /竹田 「太陽の塔」 (森見登美彦) /マサトク 「ツァラトゥストラはこう言った」 (ニーチェ) /if 「罪と罰」 (ドストエフスキー) /若林 「球形の季節」 (恩田陸) /橋立 「暗闇坂の人食いの木」 (島田荘司) /ささき 「るくるく」 (あさりよしとお) /あちゃぞう 「メグレ罠を張る」 (ジョルジュ・シムノン) /アンダー 「狂骨の夢」 (京極夏彦) /和泉 「石の来歴」 (奥泉 光) /なりた 「99%の誘拐」 (岡嶋 二人) /本条 「子猫が読む乱暴者日記」 (中原昌也) /竹田 「妻を帽子... -
2006年7月
8月7日(月) 【アンダー】 あれ、月をまたいだときは別に書いたほうがいいのかな。 そんな訳で、また豪快に遅れていますけど、出張中に何とかしたいです。申し訳ないです。 7月28日(金) 【アンダー】 明日と勘違いしていて遅くなりましたけど、あちゃぞうさんにお題のMAILを送りました。また難しいのを送っちゃった!と思ってよくよく考えたらそうでもないかな? >なりた様 今回も新刊ではないんですが、新刊に絡めて頑張って考えました………というのはちょいウソで、手伝ってもらっておりますけどね。 スティーヴン・ミルハウザーの感想は未だに「こうすればよかったか? いやそれとも?」と悩んでいた感想だったので本当に救われました。 7月27日(木) 【なりた】 アンダーさんは海外モノというしばりを設けてらっしゃるので、特に大変そう... -
「死のロングウォーク」 (スティーヴン・キング)
バックマン・ブックス〈4〉死のロングウォーク (扶桑社ミステリー) 皆様こんばんわ。 何と言っていいものか………数日前からこれの内容を考えていたんですけど、まさかこういう日に書くことになるとは思っていませんでした。いや、これは個人的な感傷でありまして、読んで下さっている皆様には関係のない事ではあります。 さて、改めていつもの調子に戻って書かせていただきますと、「読書感想しりとりリレー2006」のお時間がやってまいりました。今回、和泉さんから「し」でお題を頂きました。 しりとりなので何が来るか解らないという楽しみがありますが、今回はほっとしたような………「シ」もそうですけど、「ク」とか割と好みです。 そこで今回は「いやいやそんな直球な」「でも次に同じお題が来るかどうか解らないし」と脳内会議の末に決定したS・キングの『死のロングウォーク』に決まりました。 もは... -
「キング・コング」 (エドガー・ウォレス他)
キング・コング (ハヤカワ文庫NV) キング・コング (創元推理文庫) 皆様こんばんわ。 いよいよ「読書感想しりとりリレー2006」が始まりました。第四走者をつとめさせていただきます。身震いする思いです。 昨年のとりとりリレー忘年会の時に「長い」というご指摘を受けたのですが、今年も変わらず同じような調子・同じようなペース・同じようなカラーで書かせていただく点につきましては、ひらにご容赦願います。 一月も半ばを過ぎまして新年早々にという事でもないのですが、口上から入らせていただきます。「読書感想しりとりリレー2006」におきまして、昨年に引き続き海外作品を担当させていただきます。日本の作品は一切、紹介いたしません。日本の作品が嫌いという訳ではないのですが、海外作品の奇想・異観を皆さんにも是非、味わっていただきたい………いや、それよりも味わっている所を観ていただき... -
「スリーピング・マーダー」 (アガサ・クリスティ)
アマゾン・アソシエイトがうまく働いてくれないので、今回は写真なしで行きたいと思います。 この作品は、さすがに巨匠クリスティのものだけあって、文庫だけでも版がいくつもあるようですが、これから読むなら「クリスティ文庫」版が絶対オススメ。なぜなら解説が絶品だからです。1冊で二度おいしいというわけです。 スリーピング・マーダーは記憶の中の殺人を題材とした作品で、ミス・マープルの最後の事件としても有名です。 ある日偶然買った家なはずなのに、なぜか既視感にとらわれる若妻の記憶と過去をめぐって、若い夫婦が調査を進めるというのが話の主筋になり、ミステリーとしてだけではなく(むしろミステリーとしては凡庸だともいえる)、心理的なホラーの要素もふんだんに取り入れられています。ミス・マープルものとは言うものの、マープル自身がそれほど前面に出てきている感じではないのですが、それでも抑えるとこ... -
記事の追加・編集について
編集方法について 「掲示板」以外は、リレーメンバーのみが書き込み・編集できる設定となっています。 まず、画面右上の「ログイン」をクリックします。 ユーザ名とパスワードを入力して下さい。 編集したいページを表示させて(左メニュー等からジャンプ)、枠の右上(タイトル写真バーの右下)の「このページを編集する」をクリックします。 ボックス内に、記事を書き足したり修正したりします。 右下の「投稿」をクリックすれば、編集完了です。「タイムスタンプを更新しない」や「更新情報を宣伝する(Ping)」のチェックは、特にこだわりがなければそのままでオウケイです。 記事内容を確認したい場合は、「投稿」の前に「プレビュー」をクリックしてください。「プレビュー」して問題がなければ「投稿」を、何か問題があればそのまま更に編集作業を続けたあと「投稿」または「プレビュー」をクリックします。 「プレビュー」... -
「リンドキストの箱舟」(アン・ハラム)
リンドキストの箱舟 皆様こんばんわ。「読書感想しりとりリレー2006」のお時間がやってまいりました。一週間超遅れてしまった事はもうお詫びのしようもありません。何とかお題だけは規定日に回したし本も読んだのですが感想がなかなか。 先日参加したmixiの読書会が楽しくてその反面、自分の未熟さにショックを受けまして………あ、また言い訳ですね。 この「読書感想しりとりリレー2006」では断固、海外もの主義!という事で海外作品以外は紹介しないことにしております。それで今回が「り」でして、また迷った挙句、決めさせていただきました。 ハードカバーの、しかもファンタジーを読むなんて久しぶりだなぁと思ってしまいましたが、子供の頃からたどって考えると、もともとはファンタジー作品好きだったのです。読むものがわからなくなってきて、今ではファンタジーのほか、ホラー、SF、ミステリなど乱読状... -
「リンドキストの箱舟」(執筆中です)(アン・ハラム)
リンドキストの箱舟 皆様こんばんわ。「読書感想しりとりリレー2006」のお時間がやってまいりました。一週間超遅れてしまった事はもうお詫びのしようもありません。何とかお題だけは規定日に回したし本も読んだのですが感想がなかなか。 先日参加したmixiの読書会が楽しくてその反面、自分の未熟さにショックを受けまして………あ、また言い訳ですね。 この「読書感想しりとりリレー2006」では断固、海外もの主義!という事で海外作品以外は紹介しないことにしております。それで今回が「り」でして、また迷った挙句、決めさせていただきました。 ハードカバーの、しかもファンタジーを読むなんて久しぶりだなぁと思ってしまいましたが、子供の頃からたどって考えると、もともとはファンタジー作品好きだったのです。読むものがわからなくなってきて、今ではファンタジーのほか、ホラー、SF、ミステリなど乱読状... -
「宇宙船ビーグル号」(A・E・ヴァン・ヴォクト)
皆様こんばんわ。 えー、ぶっちしたと思われるでしょうか。していません。いつアップだったのか思い出せないぐらいブッ放しましたけど。またか。そうこうしているうちに今年も終わっちゃいそうです。 毎度のご挨拶です。この「読書感想しりとりリレー2006」では海外もの主義という事で海外作品のみを紹介させていただいております。今回は「う」で来てそろそろSFをという事で『宇宙船ビーグル号の冒険』はアウト、なら『宇宙船ビーグル号』………ところがお題を送った後に、本が買えないのなんのって。『ウは宇宙のウ』とか買ってこれでもいいかとか思っていたんですが、字だけあってて本は違う、っていうのがいいのかどうか解りませんでした(駄目だろ)。 本が見つからなかったので買いなおしたのですが78年に出ているハヤカワ文庫版、2002年でたったの十刷なのですね………読まれていないもんです。 ワ... -
「月に繭 地には果実」(福井晴敏)
月に繭地には果実―From called “∀”Gundam 福井晴敏と言えば、『亡国のイージス』で日本推理作家協会賞・日本冒険小説協会大賞・大藪春彦賞の3賞を受賞して一躍その名を世間に知らしめた。そしてその2年後、『亡国のイージス』の記憶冷めやらぬうちに、『終戦のローレライ』を発表すると、これも吉川英治文学賞新人賞・日本冒険小説協会大賞を受賞したことで彼の作家としての勢いはさらに増すことになる。 両作品の映画化や、それに伴う文庫の好セールス、自身のファンサイトの管理人を嫁にするなど、いろいろな意味で目を見張る氏の活躍は皆さんもご存知のことかと思う。 この作品は『亡国の~』と『終戦の~』の間に文庫3巻組で発表された作品を1冊にまとめてハードカバーで出版したものであり、富野信者としても有名(あと高村薫も好きらしいので、作中のアレはガチ)な筆者が(おおよ... -
この企画について
企画の概要/期間/ルール/代走について/バナー 企画の概要 本のタイトルでしりとりをしながら、参加メンバー(固定制)が3日ごとに本の感想をアップしていく企画です。 期間 2006年1月1日(日)~12月31日(日) (予定) メンバーの都合等により、早めに終了したり、途中でメンバーが入れ替わったりする可能性もあります。 ルール しりとりのルールは以下の通りとします。 末尾が濁音・半濁音 できればそのままで! 例:「ふしぎ遊戯(ぎ)」→「(ぎ)偽造の手口」 ○ 例:「封神演義(ぎ)」→「(き)きみとぼくの壊れた世界」 △ 末尾が拗音 そのままで! 例:「幽☆遊☆白書(しょ)」 →「(しょ)ショムニ」 ○ 例:「ハローウィン・パーティ(てぃ)」→「(て)テノヒラタンカ」 × 例:「スパイラル・オーヴァ(う゛ぁ)」→「(う゛... -
「ダンス・ダンス・ダンス」(村上春樹)
「大誘拐」(天童真)が紹介できるなあ、とも考えたのですが、「傑作なのでとりあえず読め」しか浮かばなかったので却下していろいろ考えた。例えばささきさんに対抗して「ダブ(エ)ストン街道」(浅暮三文、再読する気にならず)とか「大熱血。」(火浦巧、好きだけど未来放浪ガルディーンってつけたらアウトだし古いしなー)とかいろいろ考えた結果、シリーズものの中間、とも言えるこの作品をあえて選択しました。 タイトルとしては独立しているけれど、「羊男の冒険」とははっきり連続していて、「1970年のピンボール」とも重なると言って良いのだけれど、今読み返したところ大変面白かったのと、これは「ダンス・ダンス・ダンス」から読んでも問題ないと判断したので採用に踏み切った次第であり、了承願いたい。 いや、やはり私にとっての文学ってのは村上春樹なんだなあ、というのが再読して思ったことであり、そして主人公である... -
「メグレ罠を張る」 (ジョルジュ・シムノン)
メグレ罠を張る (ハヤカワ・ミステリ文庫 16-1) 皆様こんばんわ。 「読書感想しりとりリレー2006」、申し訳ないです。今回は遅くなってしまいました。 出張やら何やらいろいろあったのも確かなんですが、全て言い訳です。この先もある種の言い訳で続けさせていただきます。 「MYSCON7」というイベントに性懲りもなく参加することになりました。 その名の通り、ミステリが好きな方が集まって喋ったりイベントしたりするものです。 昨年、ちょっとしたはずみで参加してみてなかなか楽しかったのですが、自分はそんなミステリ者ではないという事を思い知りそれが辛かったです。当然、参加前から自覚はあったのですが………。 会場でいろいろな方のお話を伺いましたが、「いやーなんでまたそんなに読んでいるの?」というぐらいの人がわんさかいらっしゃいました。 読書って孤独な作業... -
「闇から生まれた女」(F・ポール・ウィルソン)
闇から生まれた女〈上〉 (扶桑社ミステリー) 皆様こんばんわ。 毎度毎度、遅れのお詫びを書くのもどうかと思っているのですが、今回はあまりにぶっ放し過ぎました。申し訳ないです。 毎度のご挨拶です。この「読書感想しりとりリレー2006」では海外もの主義という事で海外作品のみを紹介させていただいております。今回は「や」で来て一瞬、迷ったのですが「闇」で始まる作品って結構、多いものですね。 さて今回は私の好きな作家の一人、F・ポール・ウィルソンであります。 となると、新刊も出たばかりだし「始末屋ジャック」シリーズ………といきたい所なのですが、諸事情ありまして今作を選ばせて頂きました。 F・ポール・ウィルソンについて簡単に紹介させていただきます。1946年ニュージャージー生まれ。医者(家庭医)を開業しつつ、作家として活躍中。日本でもファンが多く、邦訳がいろ... -
「世界の中心で愛を叫んだけもの」 (ハーラン・エリスン)
世界の中心で愛を叫んだけもの (ハヤカワ文庫 SF エ 4-1) 皆様こんばんわ。 「読書感想しりとりリレー2006」も二順目に入りました。駅伝なら第一区、といった所で各走者様子を見て………と言いたい所ですが、皆さんの取り上げる本、感想に対して唸らずにはおれません。 さて前回は『キング・コング』で新レーススタートという事でいささか力が入りすぎ冗長になってしまったな、と思ったので今回は短くします。 「読書感想しりとりリレー2006」の中では唯一、海外小説を担当させていただいております。海外小説といってもどうしても英語圏が多くなってしまいますが、日本の作品にはない味わいを紹介して、たまにはそういうものも読んでみようかと思っていただければ幸いです。 乙一『暗いところで待ち合わせ』というタイトルで来たので、お題は「せ」。「それは解るけど、それでいいのか?」と取り上げるま... -
「ゲームの名は誘拐」 (東野圭吾)
敏腕広告プランナー・佐久間は、クライアントの重役・葛城にプロジェクトを潰された。葛城邸に出向いた彼は、家出してきた葛城の娘と出会う。“ゲームの達人”を自称する葛城に、二人はプライドをかけた勝負を挑む。娘を人質にした狂言誘拐。携帯電話、インターネットを駆使し、身代金三億円の奪取を狙う。犯人側の視点のみで描く、鮮烈なノンストップ・ミステリー。 東野圭吾の作品は、私にとってあたりはずれがあるらしく、面白いと感じる本とつまらないと感じる本ときっぱり別れます。 これをお題の本を読む前に買った「レイクサイドホテル」は 私的にどこが面白いのかよくわからなかった一冊でした。 さて、冒頭にあらすじをいれたので割愛しますが、 偽装誘拐が成功し、無事3億円を手に入れた後、この話の山場が訪れます。 葛城の娘-樹里-が殺害されたあたりからあれよあれよと状況が変わって行きます。 前半、色... -
「リアルワールド」(桐野 夏生)
●「リアルワールド」桐野夏生 本作を読んで、なんとなく思い出したのが、綿矢りさの「蹴りたい背中」である。 「蹴りたい背中」の主人公ハツは、クラスメイトたちの上辺だけの友達ごっこにウンザリして、端からクラスに馴染もうとしないオタク少年の生き方に救いを見出そうとしていたが、本作の主人王であるトシやキラリンたちが救いを見出そうとした少年は、オタクどころの話じゃない。下着ドロボウの覗き犯の親殺しという、正真正銘の犯罪者である。彼の逃亡を手助けすることで、社会に対する優越感を抱いていたキラリンたちは、「蹴りたい背中」のハツに比べるとまた一段と男の趣味が悪い(w 物語の前半では、友達と遊んだり勉強したりという「リアルワールド」と、フィクションの如き少年の逃走劇という対比の構造があったはずなのに、話が進むにつれ、普段の生活のほうが幾層もの欺瞞で固められたフィクションだったことが露見して... -
「暗闇坂の人食いの木」 (島田荘司)
暗闇坂の人喰いの木 (講談社ノベルス) 島田荘司である。今日の本格ミステリを語る上で決して外すことの許されない作家である。……であるのだが、ささきはミステリ読みの癖にあんまり島田作品を読んでいない。ひとこれをモグリという。ひきこもりだけど、モグリは嫌なので「ひ」のお題でこの作品を選んだ。 本作は『占星術殺人事件』、『斜め屋敷の犯罪』に続く御手洗シリーズの三作目、つまり作家石岡和己が巷間に上梓した三番目の事件ということになる。石岡先生曰く、この事件に比べたら前者ふたつはまだ生易しい事件になるらしい。 その言葉の通り、この暗闇坂の大楠を取り巻く事件は非常におぞましく、人間の狂気を垣間見せられた。中でも一番恐ろしかったのは、あの厚さであった。あつーい! あついよ小沢さーん! ただ、その重厚(冗長?)な物語の割にメインのトリックは分かりやすいもので... -
「ジョゼと虎と魚たち」 (田辺聖子)
ジョゼと虎と魚たち (角川文庫) マサトクさんから『ジ』でバトンを頂いたので毎回恒例、本屋の文庫コーナーとにらめっこしてきました。 何故か毎回短編集を選んでいるので今回は長編にしようと思っていて目に付いた候補がセカチューでおなじみの片山恭一氏の『ジョン・レノンを信じるな』とこれ、田辺聖子氏の『ジョゼと虎と魚たち』 ちなみに選考の理由は何年か前に映画化しているのでそれならきっと長編だろうという単純なことから。 しかし実際はやっぱり(?)短編集でしたって言うオチがあるのですが。 そして数年前に映画化したという『ジョゼと虎と魚たち』ですが、当時からタイトルだけしか知らずほとんどストーリーを知らなかった(主役が足不自由ってのは何かでみて知ってた)のですが今回読んで初めて知ったのが『ジョゼ』が日本人だってこと。 ジョゼって言うくらいだから本名ジョゼフィーヌとか... -
「木曜組曲」 (恩田陸)
木曜組曲 相も変わらず(うちのPCは「愛も」変わらずと変換しました。意味深)、恩田陸です。 三連荘です。さすがに、自分でもそりゃあんまりだろう、と思わなくもないのですが、この機会を逃したらもう「も」は、まわってこないかもしれない、この本を紹介できる機会はないかもしれないと思ったら、居ても立ってもいられず若林さんへのバトンをまわしてしまっていたのでした。 メインは4年前に変死したある女性作家の死をめぐる真相をめぐり、5人の女たちがお互いの腹の内に秘めていた疑惑を探りあう心理劇であり、れっきとしたミステリーでもあります。。 たった6人(一人は既に亡くなっている)の登場人物、一軒の家(それも居間がほとんど)から動かない舞台、2泊3日という短いけれど密度の濃い期間。その中で繰り返さる、違和感や、疑惑や、妄想、告白、新たな疑惑。これ以上はないくらい「静」に抑えた設定を用意してお... -
「クローディアの告白」 (ダニエル・キイス)
「クドリャフカの順番」が真っ先に頭に浮かんで頭を抱えたが、どうせ一番紹介したい春季限定いちごタルト事件も不可なので米澤氏はいいや。やあ、だから早く秋季限定洋梨ゼリー事件(適当)出してくださいね。寝言はやめてそろそろ本題に入りましょうか、例によって未読棚から引っ張り出してきたのは「アルジャーノンに花束を」のダニエル・キイス作品なので安心して読んだのですが。 がっかりした、というのが本音。ノンフィクションとして基本的にはキイス氏本人の一人称で書いてあるのだが、有り体に言って事件描写が対岸の火事で、まるで読んでいて緊張感がない。いや、上巻を読んでいてこの企画でなければ投げ出そうかと思った。 単純に言ってしまうとこれは斉藤由紀の解説が端的にあらわしている通り、精神障害を抱えた女性が真実を思い出す……いや、ここは英語タイトルを彼女に習って引っ張ってこよう。うん、Unveiling C... -
「タイホされたし度胸なし」(藤田 宜永)
金融業者と そのペットのインコが、何者かによって殺害された。奇しくも第一発見者となってしまった サラリーマン・鳥越九郎は、自らの置かれた状況と 生来の臆病さから、「自分が疑われるのではないか」という不安を肥大させ、やがて「犯人は自分である」と思い込むようになる。 一方、絶倫の私立探偵・中堂鈴之助と、性欲旺盛な助手・色田姫子は、別の観点から その事件の真相に迫ろうとするのだが…。 という物語なのですが、だからといって『自らを犯人だと思い込んだ男と、社会の闇に立ち向かう探偵達が織りなす、サイコホラー的サスペンス』では、全くありません。 小心者で思いこみが激しい鳥越に振り回される、スナックの客たち――フェロモン振りまき探偵&助手、曰くありげなヤクザの親分、薄幸そうな人妻、自らの性に悩む青年、老いらくの動物学者、…etc.を描いた、ドタバタコメディです。 中盤、鳥越が「人質」た... -
「シカゴ育ち」(スチュアート ダイベック)
シカゴ育ち (白水Uブックス 143 海外小説の誘惑) 読書中… -
「海のある奈良に死す」 (有栖川有栖)
読書感想しりとりリレー、昨年に引き続き、今年も参加することになりました。 昨年のうちに「う」のストックをすっかり使い果たした、今年最初の選書は「海のある奈良に死す」(有栖川有栖)。 作者の有栖川有栖は「学生アリス」と「作家アリス」の2シリーズで有名です。この作品は「作家アリス」シリーズに属するものです。 作者と登場人物の名前が同じであるというのは、エラリー・クイーンの流れだそうなのですが、正直なところ、自意識過剰に見えてしまって今まで食わず嫌いでした。 今回はなにやら意味ありげなタイトルに引かれて購入してみましたたが、地理には疎い私には、そもそも奈良に海があるのかないのかそれすらわからない、で、早速インターネットで検索をしてみたところ、あっさり「海のある奈良」なる言葉がさす地名を発見してしまいました(ちなみに現在の奈良県に海はないそうです。海なし県) てっ... -
「ドクター・ブラッドマネー」 (フィリップ・K・ディック)
ドクター・ブラッドマネー―博士の血の贖い― (創元SF文庫) 遅れましたが、今回は「ど」ということでフィリップ・K・ディックの「ドクター・ブラッドマネー」を読んでみました。 SFはたぶん好きなんだけれど、実は(?)あまり読んでいないので造詣がまったく深くなかったりします。ディックは「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」だけ読んだことがある。 「ドクター・ブラッドマネー」はいわゆる核戦争物で、舞台は1981年。これが書かれたのが1963年ということなので、書かれたときには近未来世界、でも今読むと起こらなかった過去の世界で、いきなり読み始めるとけっこう違和感があります。テクノロジーの発達具合が微妙。1963年当時の(ディックの)未来のイメージはこうだったのだなーと楽しめる部分でもありますが。 核戦争自体の描写は割とあっさり終わり、主眼は核戦争後の世界の描写に置かれ... -
「眠りの牢獄」 (浦賀和宏)
眠りの牢獄 (講談社ノベルス) 2回連続メフィスト賞作家、3回連続講談社ノベルスでこんにちは。別に縛りをかけているわけではない。僕の中の何か(主に怖いもの見たさ)がそうさせているのだと思う。そう、まだ縛りの方がマシだという意見は至極もっとも過ぎるので言わないでほしい。 ミステリにおいては、そのトリックが読者に対してフェアであるかが作品を評価する大きなポイントになることが多いのだが、この作品はまさにフェア/アンフェアの境界線に置かれた作品と言える。しかも、そのどちらかに置くかを読者が葛藤し、議論をぶつけ合うことまでを計算に入れたかのような位置にある。筆者の憎たらしいまでのスクリューボールっぷりに嘆息しつつも、我知らず唇が笑みに形作られるのを感じる。 今年ドラマ化されたことで『推理小説』(秦建日子著、ドラマタイトルは『アンフェア』)が巷間でちんまり話題に... -
「超・殺人事件 -推理作家の苦悩-」 (東野圭吾)
超・殺人事件―推理作家の苦悩 (新潮文庫) あちゃぞうさんから「ち」で回ってきた時に、最初に読もうとしたのは『チーム・バチスタの栄光』だった。第4回このミステリーがすごい大賞受賞作だ。ただ、この作品の刊行は1/21。お題が回ってきた時点では出ていない。1/23の感想アップには十分時間があるものの、次走者の橋立さんへのお題メール締め切りはとうに過ぎている。困った。ああ困った。 とりあえずルールを見る。「未刊行のお題はふっちゃ駄目! もーぷんぷん!」とは書いていないのでルール的には問題ないようだ。(よんしば書いてあったとしても、僕の知る限りでだが、本条さんはさとう珠緒ではないはずなので「ぷんぷん!」とは書かないだろう)。 では、こうしたらどうだろうか? 橋立さんには『チーム・バチスタの栄光』とともに同じ「ち」で始まり「う」で終わる別作品を保険として伝えておく... -
「ラグナロク洞 -“あかずの扉”研究会影郎沼へ- 」 (霧舎巧)
ラグナロク洞―「あかずの扉」研究会 影郎沼へ (講談社ノベルス) 霧舎巧を僕は"タクミン"と呼ぶ。 嘘。呼ばない。もちろん藤原伊織のことも"イオリン"とは呼ばないが、佐藤友哉は"ユヤタン"と呼ぶかもしれない。"なっち"といえば安部ではなく京極だし、"辻ちゃん"は辻真先に決まっている。これはミステリ読みにとっては常識と言えることである。知らねば恥ずべきことだが、人に言ったらもっと恥ずかしいことになると思うので、口外するのはお勧めしない。 さて、冒頭の挨拶(挨拶だったんだ)は、これくらいにして作品の感想に入りたいと思う。 本作は筆者のデビュー作から続く「あかずの扉研究会」シリーズの三作目にあたる作品である。全編に漂うラブコメ臭と霧舎学園シリーズの扉... -
「むかし僕が死んだ家」 (東野 圭吾)
「かまいたちの夜」というゲームがある(→htmlプラグインエラー このプラグインを使うにはこのページの編集権限を「管理者のみ」に設定してください。)。我孫子武丸氏が脚本を手がけ、チュンソフトが世に送り出したこの作品は、吹雪に閉ざされた山荘で殺人事件を目の当たりにした主人公たちが、真相を求めて試行錯誤するミステリノベルゲームなのだが、とりあえず今回の「むかし僕が死んだ家」にはあまり関係ない。ただ、来月発売予定の続編htmlプラグインエラー このプラグインを使うにはこのページの編集権限を「管理者のみ」に設定してください。が猛烈に楽しみだ!…が、来月はhtmlプラグインエラー このプラグインを使うにはこのページの編集権限を「管理者のみ」に設定してください。も発売予定だし お財布が大変だなぁ、という主張がしたかっただけだ。 …というのは半分冗談で、今回チョイスした「むかし僕が死んだ家... -
「うま味の誕生」 (柳田 友道)
うま味の誕生 発酵食品物語 (岩波新書) 去年末にhtmlプラグインエラー このプラグインを使うにはこのページの編集権限を「管理者のみ」に設定してください。――“菌類(が擬人化されたもの)を肉眼で見ることができる”という特殊能力を持つ主人公、およびその友人たちの農大キャンパスライフを描いた作品)――を読んで以来、「発酵」や「醸造」といったものへの好奇心が高まりつつあったので、こりゃちょうどいいや、と手に取ってみました。 普段あまり手に取る機会がない「岩波新書」ということで、難しい化学変化式などが羅列してあったらどうしよう…と少し身構えながらページを捲ってみたのですが、幸いこれはそういう本ではなく、「雑学物語」と「歴史物語」を足して2で割ったようなテイストで 「発酵」の仕組み 発酵食品(酒・茶・漬物・チーズなど)の歴史 それらの世界分布図と考察 様々な発酵食品につ... -
「ツァラトゥストラはこう言った」 (ニーチェ)
ツァラトゥストラはこう言った 上 (岩波文庫 青 639-2) というわけで、本しりとり開始から数えて4回目の「つ」出現。そこはかとなく「つ」チキンレースが始まっているように見えるのはたぶん気のせい。 さて、ルネサンス以後の西洋哲学史上では、革命が2回起こっている。1回目はかのカントの「純粋理性批判」にて起こった。有名な「コペルニクス的転回」という奴だ。これをきっかけに、今まで外の世界に存在する事象をただ受動的に受け入れるだけだった「認識」という作業が、自身の自我によって世界を創り上げるというクリエイティブな作業に変化した。 こうして我々の目や耳は自由になった。夜空の無数の星の中に神話の主人公を見たり、山に落ちる夕日に芸術を見たりすることが出来るようになった。しかし、まだ我々が自由になるためには大きな重しがあったのだ。その重しを取り除き、2回目の、そし... -
「三毛猫ホームズの推理」(赤川次郎)
愛蔵版 三毛猫ホームズの推理 「三毛猫ホームズ」になるとは思わなかったが、赤川次郎は複雑な思いとともに一度取りあげようと思っていた作家です。好きな作家、と聞かれて迷わず挙げることができた小学生~中学生時代の頃から、「うーん」と思い始めて読まなくなった高校生まで、それでも杉原爽香シリーズは結構追いかけていたりした。 単純に赤川次郎=読みやすくてさっくりと楽しめるライトミステリ、という感覚で初期作品を読むと意外なほど内容の重さと濃さに驚くかもしれない。いや、バカミスみたいなトリックや、漫画みたいなキャラ設定やエピソードもあるんですが、やっぱり天童真と同じ時代性だろうか。簡単に意味無く男女は寝るし、売春だのお見合いだの(この辺は赤川次郎だ)が「三毛猫ホームズの推理」でも登場するわけだが、やはりこの作品、あるいはシリーズの最大の特徴はホームズであろう。 うん、タイトル通りホーム... -
「返事はいらない」(宮部みゆき)
返事はいらない (新潮文庫) 宮部みゆきの凄さをいまさら語っても仕方が無いのだが、やはりこういうさらりとしながらも素晴らしい短編を見せられると、その実力の高さを痛感させられる。深い人間描写を絶妙の語り口が淀みなく流す。希代のストーリーテラーだなぁ。 本作ではカードローンを題材にした作品が複数あり、「火車」に繋がる部分を垣間見ることが出来、宮部作品の"ステップ"の部分を楽しむことも出来、「ドルネシアにようこそ」も都会生活にすこし疲れた若者を描いたちょっといい話になっており趣が深い。「聞こえていますか」もちょっと小学生頭良すぎなところはあるが、いろいろ考えさせられる作品となっている。 だが本作で一篇を挙げるとするならば、表題作である「返事はいらない」以外にはない。 短編のお手本のようなシンプルかつ鋭い切れ味の作品に仕上... -
「名探偵はもういない」 (霧舎巧)
「名探偵の掟」だの「めぞん一刻」だのいろいろ候補はあったが、丁度ノベルス落ちしたばかりのこの作品を取りあげる事にした。端正な本格で、きっちりと「読者への挑戦までついていて、しかもカバー折り返しには作者自ら「ミスリーディングへの仕掛がある」と明言している期待感あふれる構成。 いや、霧者巧よ何処に行く、と探偵学園シリーズを始めたときにはどうなるかと思ったが、基本的には数少ないロジックを楽しませてくれる作家の一人だ。だがしかし、そういう「本格」に対して感想を語るというのは非常に難しい。感想内に書かれた地の文は基本的に真実となってしまい、余計な推理要素を持ち込むことになってしまうのだ。だからといって内容に全く触れないというのも味気ない。 いったいどうしたものか、と思いつつ結論だけ書くと、ある一点の伏線以外は導けたのでテストだったらまあ及第点なのだが……実は作者の言う「ある一点」とい... -
「太陽の塔」 (森見登美彦)
いちおう「日本ファンタジーノベル大賞」大賞受賞作ということだから、クォリティはある程度は担保されているだろうと買っては見たものの、SF方面の知人友人のあいだで「京大ダメ学生(オタク)小説」等と大学名を冠されて話されることが多く、何とはなしに敬遠して積んでいたもの。 「読書感想しりとりリレー2006」の課題で「た」が回ってきたのをいい機会と、普段は手を伸ばさない棚にある『太陽の塔』をに読んでみたら、いやびっくり、これが猛烈に面白かった。愉快で、チャーミングで、切なかった。 『太陽の塔』の主人公は、非モテで、いちおう頭は良く、けれど肥大しきった自我を持て余しがちな京大五回生の男子で、これは彼が「終わってしまった恋」を再確認する、というような話だ。 しかし、私が女ッ気のなかった生活を悔やんでいるなどと誤解されては困る。自己嫌悪や後悔の念ほど、私と無縁なものはないのだ。かつて私... -
「石の中の蜘蛛」 (浅暮三文)
石の中の蜘蛛 (集英社文庫) えーお前の一両日中は一体何日間のことを言うんだ? んん? なんにちかんのことをいうんだ!?(本当に申し訳ない) 今回はさすがに講談社ノベルスの呪縛から逃れることが出来た(拍手!) だがしかしメフィスト賞作家である(やっぱり好きでやってるのか?)。 本作は人間の五感のどれか一つが突出したらというテーマで描かれる「五感シリーズ」の一冊であり、日本推理作家協会賞も受賞した筆者の代表的作品である。この『石の中の蜘蛛』で描かれているのは「聴覚」。 新しい部屋を決めた日に轢逃げに遭った主人公。彼はそれがきっかけで聴覚が異常発達し、音の可視化までが可能となってしまった。しかも病院で頭蓋骨に穴を開ける実験(報酬70万)を受けたことで第六感が覚醒、最近では菌まで見えるとか見えないとか。 彼は、失踪したという前の住人の... -
「鈍い球音」(天童真)
二階の自室だと空調が必要なくらい熱い季節になりました。単純に言えば七月に入った訳で、既に半分リレーを終えたことになります。過ぎ去る月日は早いものだなあ、と思いつつ今回の作品の検討経緯。一番目に目についたのは倉知淳の「日曜の夜は出たくない」、猫丸先輩シリーズ第一作なのですが、氏の作なら「星降り山荘……あ、絶対だめじゃん」ということで保留に。「人間失格」にするかな、と思いつつ自宅の本棚に見あたらないし買ってまで読み返したくないな、と思ったところに目に入ったのが「鈍い球音」。とりあえず同氏の代表作「大誘拐」には及ばないけれど十二分に面白いし、解説が倉知淳という偶然のバッティングも面白かったので採用決定。 いろいろ監督がらみで因縁のある「東京」と「毎日」の日本シリーズ直前に監督がトレードマークの髭をのこして行方不明になるところから事件は始まり、その調査を行うのはコーチの友人の新聞記者が引き... -
2006年2月
2月26日(日) 【if】 日記スペースがあると何か書かなければいけないような強迫観念に囚われるのは、人間の性というやつなのだと思います。(ごく一部の) さて、1週間のオーストラリア旅行から帰ってきて、未だ南国気分の抜けないわたくしめでありますが、メールチェックしたらまっさきに若林さんからのお題メールが飛び込んできて、一気に目が覚めました。 そして案の定、お題を見てすぐに思い浮かんだ単語は、酒の名前ばかりなのでした。 2月14日(火) 【なりた】 あっ、うっかりしてました。ご指摘ありがとうございます。追記しました。だれが読んでも同じような感想しか抱かないような本ではまったくなくて、むしろそれぞれがとても個人的な読み方をしてしまうような本だと思うので、他の方の感想と合わせて読んでもらうというのは理想的ですね。最初から旅人さんの感想を念頭において書かせてもらえばよかった... -
「橡家の伝説」 (佐々木丸美)
橡家(ツルバミケ)の伝説 http //www.fukkan.com/vote.php3?no=30 佐々木丸美さんの書籍は実に探しにくい。図書館によって全然違う分類をされているからだ。殺人事件だトリックだ言っているという理由で推理小説の棚に入っていたり、超常現象が起きるのでSFの棚に入っていたり。 個人的には、彼女の作品は「恋愛小説」であると思う。トリックだのテレパシーだの前世だの超心理学だのの描写は、全て彼女流の「恋愛」を描くための材料にすぎない。だから、一見して胡散臭いオカルティックなエピソードでも、恋愛を軸にして考えれば不思議なほど自然に受け入れられてしまう。 それにしても、これほどまで読むたびに印象が変わっていく本も珍しい。読み手自身の成長に合わせて、個々のシーンのもつ意味も変わっていく。たとえば恋愛に関しては、中学生の時に初めて読んだときは少女の純... - @wiki全体から「「イン・ザ・ペニー・アーケード」 (スティーヴン・ミルハウザー)」で調べる