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歴史は「べき乗則」で動く
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歴史は「べき乗則」で動く――種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系科学 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)
- 著者:マーク・ブキャナン(Mark Buchanan)
- 原題:Ubiquity: The New Science That is Changing the World
戦争の原因は政治や歴史に求め、自身の原因は地球物理学に求め、森林火災の原因は気象や自然の生態学に求め、そして市場暴落の原因は財政、経済、あるいは人間の行動心理に求められるべきものである。どれもそろって「大惨事」や「大激変」と形容されるが、これらの出来事はそれぞれ特有の土壌から発生してきたものだ。しかしそれでも、これらはある興味深い類似性をもっている。国際関係のネットワーク、森林や地殻の構造、投資家の期待や展望のつながりあい──こうしたシステムの組織構造はどれも、小さな衝撃がシステム全体へと広がりうるようになっている。それはまるで、こららのシステムが不安定な剣の先でバランスをとっていて、それがいつ崩れてもおかしくない状態であるかのようだ。
- マーク・ブキャナン『歴史は「べき乗則」で動く――種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系科学』 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)、p24
目次
- 第1章 なぜ世界は予期せぬ大激変に見舞われるのか
- はかない平穏
- 大火災
- 突然の暴落
- 剣先に立つ
- 砂遊びする男たち
- 蝶を超えて
- 歴史の意味
- 第2章 地震には「前兆」も「周期」もない
- 不安定な地面
- ミッション・インポッシブル?
- 世界の主
- 大きな泥玉
- 背景雑音
- 第3章 地震の規模と頻度の驚くべき関係:「べき乗則」の発見
- 爆弾探知
- ジャガイモの理論
- 原因は一つ
- 第4章 べき乗則は自然界にあまねく宿る
- 完璧なフラクタル
- 電子の小島
- 歴史物理学
- 細部の記憶
- 第5章 最初の地滑りが運命の分かれ道:地震と臨界状態
- 砂山と地震
- 密着と滑り
- デジャヴ
- 誤りから出た一致
- どうしてそうなるのか?
- 不均衡な世界
- 第6章 世界は見た目よりも単純で、細部は重要ではない
- 秩序の形成
- ゼロの物語
- 集団の出現
- 深遠なる原理
- 臨海的思考
- 第7章 防火対策を講じるほど山火事は大きくなる
- 正しく燃やす
- 超臨界状態
- 相対性と臨界
- 米粒──砂粒の改良版
- 第8章 大量絶滅は特別な出来事ではない
- 不可抗力
- 凍てつく風
- 図書館での10年間
- 第9章 臨界状態へと自己組織化する生物ネットワーク
- 山々をさまよう
- デジタル生物
- 棒と楔
- 進化的思考
- 外なる力、再び現わる
- 第10章 なぜ金融市場は暴落するのか:人間社会もべき乗則に従う
- 基礎に戻る
- 激しい変動
- 群集
- 心理戦
- 世間は狭い
- 第11章 では、個人の自由意志はどうなるのか?
- 道を作る
- 都市の仕組み
- 金持ちへの道
- 第12章 科学は地続きに「進歩」するのではない
- 砂の歴史
- 物語を超えて
- 学問の性質
- 通常の科学、通常でない科学
- 革命の物理
- 第13章 「学説ネットワークの雪崩」としての科学革命
- 論文の足跡
- 科学という砂山
- あまりに人間的な
- 文明と不満
- 残酷な計算
- 信念の力
- 第14章 「クレオパトラの鼻」が歴史を変えるのか
- 偉大な砂粒
- クレオパトラの鼻
- 歴史ゲーム
- 第15章 歴史物理学の可能性
- 歴史の物理学
- 訳者あとがき
- 解説:増田直紀
- 原注