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無限桃花の愉快な冒険18 - (2010/04/29 (木) 23:21:10) の最新版との変更点

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ここはとある創発の館。 「あらぁ。久しぶりねぇ」 サムライポニーテール少女、無限桃花は危機に直面していた。 冬の気配も消え去り、やっと春が来たようなのどかな日。ちょっとサロンにでも顔を出すかと廊下を歩いていたら なんと不幸なことだろうか。出逢ってしまったのだ。桃花を病院送りした張本人に。 本能的に一歩後ろに下がる桃花。一度植えつけられた記憶はそう簡単には消えない。入院生活とは一体なんだったのか。 「そんなに怖がらなくてもいいじゃない。あの時はちょっと遊び過ぎちゃったかなって反省したのよぉ」 果たして本当にそうだろうか。 そうやって油断させてまた口に出せないような、それこそ違う板でやりなさいと言われるような行為の数々を受けるのではなかろうか。 とくにあの刀。刀というかなんというかとりあえず刀であることは確かなんだがいかんせん刀というよりも棒に似たあの刀。 あれが危険なのだ。医者桃花のように純粋な破壊力を求めているわけではない。だがあの刀は女性に対しては医者桃花のソレ を遙かに越える精神攻撃が可能なシロモノだ。どんな攻撃か気になる人間もいるだろうが今はここに書くことじゃない。 桃花にとって重要なのはいかにこの場を切り抜けるかだ。次同じ目にあったら人生からリタイアする可能性が高い。 変態桃花が一歩踏み出す。無駄にでかい胸部が意味もなく揺れる。 「ち、近づくな! 次、一歩近づいたら……斬る」 腰に差した刀を少しだけ相手に見せる。脅すために。だがそれは何の意味も果たさなかった。 「知ってるわよぉ。あなた、刀を絶対に抜かないんだってねぇ」 変態桃花は知っていたのだ。桃花が刀を抜かないことを。ならばこの行為がどれだけの意味があっただろうか。 体術では敵わない。とすれば逃走するしかない。だが変態桃花の嗅覚は犬のそれと同じ程度と自称している。 「別に今日は襲うわないわよぉ」 その嗅覚から逃げることは出来るのか? 犬のそれと言っても桃花にはどのくらいのものかはわからない。 ただ漠然と「すごくいい」ぐらいの知識なのだ。眼鏡桃花なら知ってるかもしれない。だが、ここに眼鏡桃花はいない。 要は自分の匂いを残さなければいいのだ。それにはどんな方法があるだろうか。そういえば雨の日は嗅覚が効き難い という話を「ねぇ、聞いてるのぉ? ちょっとお話したいだけじゃない」聞いたことがある。室内である以上は雨は多分 期待出来ない。ならばいっそのことをどこかで水を被ればいいのではないだろうか。濡れるがアレを受けるよりかは ましだ。しかし水に濡れたら匂いは断てるのか? そもそも水を浴びる時間を変態桃花がくれる保障は? ずっと逃げ回っていれば変態桃花も疲れるだろう。だが奴が自分以上の体力があったらどうしようもない。 ならば鞘に入れたままの刀で対抗するのはどうだろうか。奴の刀は所詮こちらとくんずほぐれつになったときにしか 使えないものだ。リーチがあ「ちょっとぉ。大丈夫ぅ?」る分近づかせず攻撃することが出来る。桃花は体術よりかは 劣るが剣術だってそこそこの自身がある。相手が一瞬でこっちに近づく技を持っていなければそのまま間合いを取りつつ その時、桃花は肩に何かが置かれる感覚がした。思考が中断し、反射的に自分の肩を見る。 そこには手が置いてあった。そのまま手を辿っていくと心配そうに桃花を見る変態桃花の顔が近くにあった。 「本当に大丈夫ぅ? 汗すごいわよぉ?」 「あっ……が……」 一瞬。さっき見たときは数十歩の間合いがあった。なのに一瞬で。 今、変態桃花と桃花の間合いは一歩もない。刀の懐。そしてあの刀の間合い。 桃花の眼の前は真っ白になった。 目を開けるとやはり眼の前は白かった。だが、その天井はつい最近まで見ていた天井。 上体を起こすと横で読書をしていた医者桃花に気付いた。 「あの変態。結構ショックを受けてるよ」 医者桃花がコーヒーを差し出す。桃花は礼をいいつつ、受け取る。 「あいつは間違いなく変態だ。だけど結構繊細なんだよね。自分でやっておきながら自分で苦しむなんて器用なやつだ」 コーヒーはブラックだった。とても苦い。だけどぼけた頭を冴えさせるのにはいい薬になる。 「あの変態は……私以外にも同じことをしてきたのか?」 「してきた。ただし一回しかやらなかった。それとお前ほど激しかったこともない」 「私にだけ特別激しかったってことか・・・…。一体なんで」 医者桃花がひとつため息を吐く。その後、コーヒーを飲む。 「生憎恋の病は専門外でね。なんにしろ変態はアレさえなければいい奴なんだ。そう怖がらずに接してやるといいさ」 その後、話が夜中まで続いたのは言うまでもない。 どっとはらい。 ---- #left(){[[無限桃花の愉快な冒険17]]}#right(){[[無限桃花の愉快な冒険19]]} ---- [[無限桃花の愉快な冒険まとめに戻る>無限桃花の愉快な冒険]]
ここはとある創発の館。 「あらぁ。久しぶりねぇ」 サムライポニーテール少女、無限桃花は危機に直面していた。 冬の気配も消え去り、やっと春が来たようなのどかな日。ちょっとサロンにでも顔を出すかと廊下を歩いていたら なんと不幸なことだろうか。出逢ってしまったのだ。桃花を病院送りした張本人に。 本能的に一歩後ろに下がる桃花。一度植えつけられた記憶はそう簡単には消えない。入院生活とは一体なんだったのか。 「そんなに怖がらなくてもいいじゃない。あの時はちょっと遊び過ぎちゃったかなって反省したのよぉ」 果たして本当にそうだろうか。 そうやって油断させてまた口に出せないような、それこそ違う板でやりなさいと言われるような行為の数々を受けるのではなかろうか。 とくにあの刀。刀というかなんというかとりあえず刀であることは確かなんだがいかんせん刀というよりも棒に似たあの刀。 あれが危険なのだ。医者桃花のように純粋な破壊力を求めているわけではない。だがあの刀は女性に対しては医者桃花のソレ を遙かに越える精神攻撃が可能なシロモノだ。どんな攻撃か気になる人間もいるだろうが今はここに書くことじゃない。 桃花にとって重要なのはいかにこの場を切り抜けるかだ。次同じ目にあったら人生からリタイアする可能性が高い。 変態桃花が一歩踏み出す。無駄にでかい胸部が意味もなく揺れる。 「ち、近づくな! 次、一歩近づいたら……斬る」 腰に差した刀を少しだけ相手に見せる。脅すために。だがそれは何の意味も果たさなかった。 「知ってるわよぉ。あなた、刀を絶対に抜かないんだってねぇ」 変態桃花は知っていたのだ。桃花が刀を抜かないことを。ならばこの行為がどれだけの意味があっただろうか。 体術では敵わない。とすれば逃走するしかない。だが変態桃花の嗅覚は犬のそれと同じ程度と自称している。 「別に今日は襲うわないわよぉ」 その嗅覚から逃げることは出来るのか? 犬のそれと言っても桃花にはどのくらいのものかはわからない。 ただ漠然と「すごくいい」ぐらいの知識なのだ。眼鏡桃花なら知ってるかもしれない。だが、ここに眼鏡桃花はいない。 要は自分の匂いを残さなければいいのだ。それにはどんな方法があるだろうか。そういえば雨の日は嗅覚が効き難い という話を「ねぇ、聞いてるのぉ? ちょっとお話したいだけじゃない」聞いたことがある。室内である以上は雨は多分 期待出来ない。ならばいっそのことをどこかで水を被ればいいのではないだろうか。濡れるがアレを受けるよりかは ましだ。しかし水に濡れたら匂いは断てるのか? そもそも水を浴びる時間を変態桃花がくれる保障は? ずっと逃げ回っていれば変態桃花も疲れるだろう。だが奴が自分以上の体力があったらどうしようもない。 ならば鞘に入れたままの刀で対抗するのはどうだろうか。奴の刀は所詮こちらとくんずほぐれつになったときにしか 使えないものだ。リーチがあ「ちょっとぉ。大丈夫ぅ?」る分近づかせず攻撃することが出来る。桃花は体術よりかは 劣るが剣術だってそこそこの自身がある。相手が一瞬でこっちに近づく技を持っていなければそのまま間合いを取りつつ その時、桃花は肩に何かが置かれる感覚がした。思考が中断し、反射的に自分の肩を見る。 そこには手が置いてあった。そのまま手を辿っていくと心配そうに桃花を見る変態桃花の顔が近くにあった。 「本当に大丈夫ぅ? 汗すごいわよぉ?」 「あっ……が……」 一瞬。さっき見たときは数十歩の間合いがあった。なのに一瞬で。 今、変態桃花と桃花の間合いは一歩もない。刀の懐。そしてあの刀の間合い。 桃花の眼の前は真っ白になった。 目を開けるとやはり眼の前は白かった。だが、その天井はつい最近まで見ていた天井。 上体を起こすと横で読書をしていた医者桃花に気付いた。 「あの変態。結構ショックを受けてるよ」 医者桃花がコーヒーを差し出す。桃花は礼をいいつつ、受け取る。 「あいつは間違いなく変態だ。だけど結構繊細なんだよね。自分でやっておきながら自分で苦しむなんて器用なやつだ」 コーヒーはブラックだった。とても苦い。だけどぼけた頭を冴えさせるのにはいい薬になる。 「あの変態は……私以外にも同じことをしてきたのか?」 「してきた。ただし一回しかやらなかった。それとお前ほど激しかったこともない」 「私にだけ特別激しかったってことか・・・…。一体なんで」 医者桃花がひとつため息を吐く。その後、コーヒーを飲む。 「生憎恋の病は専門外でね。なんにしろ変態はアレさえなければいい奴なんだ。そう怖がらずに接してやるといいさ」 その後、話が夜中まで続いたのは言うまでもない。 どっとはらい。 ---- #left(){[[無限桃花の愉快な冒険17]]}#right(){[[無限桃花の愉快な冒険19]]} ---- [[無限桃花の愉快な冒険まとめに戻る>無限桃花の愉快な冒険]]

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