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紫のいない3年」を以下のとおり復元します。
<p>書類上のミス、これは時たま起きる事だ。たいていの場合は訂正が実行される</p>
<p> </p>
<p>「な、なにかの間違いではないかと・・・」<br />
私に渡された辞令、ドロワを母艦とする第302哨戒中隊への配属<br />
「私もそう思う。が、ソロモンでドズル閣下が亡くなられて、旧宇宙攻撃軍の下部組織の命令系統が混乱しているのが現状でな」<br />
ア・バオア・クーでの決戦が近づく今、訂正よりも履行が優先されたのである<br />
「は、はぁ・・・」<br />
「敵の攻撃の集中が予想されるS・N両フィールドを避け、出来る限りの女性パイロットはEフィールド等を受け持つようになっていたのだがな」<br />
済まなそうに人のよさ気な人事課の大佐が頭を下げた。私は覚悟を決める。他のみんなと行動を別にするのは不安だったけれども<br />
「いえ、精一杯やってみせます!」<br />
「そうか・・・精鋭というだけあって、あのソロモンで殿軍を勤め、生きて帰って来たエースも居る。前線指揮には問題なかろう。私に言えることはそれだけだ」<br />
「はっ!」<br />
敬礼を返す。いいわよ、エース部隊だろうがやってやろうじゃないの!<br />
「ジオンの為に死んでくれ」<br />
その時はわからなかったけれども、大佐の言葉の意味する事を、私はドロワで思い知らされるになった</p>
<p> </p>
<p>ドロワ</p>
<p> </p>
<p>「ざ、ザクレロ!?私の機体ザクレロなの!?」<br />
私は受領に持って来た技官の首を掴んで振り回した。<br />
「ビグロはもう余ってないんです!このザクレロも、302という事で持って来れたんです!」<br />
なんてこと!よりにもよってザクレロなんて。そう・・・ジオンが負けているというのはそういう事なのね<br />
「せめて被発見率を下げるために黒に塗装してくれるかしら・・・というか、デフォルトの黄色にしなくてもいいでしょうに」<br />
私がリアルorzをしていたその頃</p>
<p> </p>
<p>格納庫通路<br />
「ケリィの容態が気になるが・・・」<br />
ガトーはいらついていた。ソロモンでソーラ・システムの照射を受け、負傷したケリィが収容されたのはキシリア旗下の艦で、連絡がつかずにいたからだ<br />
「く、誰にケリィの代わりが勤まるというのか!」<br />
補充を受けれるとはいえ、あまりにも大きな穴だった。ケリィのビグロによる火力支援で敵の足を止め、ガトーらMS隊が切り込む。それが302の基本的な戦い方だ。それを封じられたのだから<br />
「302だ。補充の機体と人員を受け取りに来た」<br />
しかし気をとりなおし、ガトーは用件を言って扉を開けた</p>
<p><br />
プシュッ</p>
<p><br />
「あ゛」</p>
<p><br />
最初の出会いはそんなものだった</p>
<p>「はぁっ、はぁっ・・・!」<br />
正にSフィールドは地獄だった。Nフィールドと共に、連邦軍にとっての最大攻撃目標である空母ドロワが存在するからである<br />
「っく!」<br />
逆流しそうな胃の内容物をこらえる。それにしても目につくのは隊長、アナベル・ガトー大尉機の戦い方だ<br />
「撹乱!」<br />
不意に来たその一喝にボタンを押し込む<br />
「はいっ!」<br />
あの人は、味方がいる時は格闘戦を多用した。私を含めた若年兵には、疲労の割に撃墜効率が落ちる為に戒められたそれをだ<br />
「カリウス!」<br />
「はっ!」<br />
そして私達が弾を撃ち尽くして何も出来ない的となったとき、カリウス伍長と共に盾として前線に残り続けるのである<br />
「その聡明さは美徳であるが」<br />
一度補給に帰還した時、自機の性能と腕に自信のなかった私は、ザクレロのランチャー全てにビーム撹乱幕を詰め込んだ。彼等を支援するにはこれが一番だと判断したからだ<br />
「死ぬぞ」<br />
戦列に戻った私に、武装を尋ねた大尉は険しい顔でいった<br />
それが意味することはわかっている。私は大尉らと共に弾が切れたら支援無しの後退を行わなければならない。そして私にはその技量がない<br />
「きゃっ!」<br />
乱戦で流れて来たジムの突き出したサーベルを、危うい所で避ける</p>
<p>「くぅっ!」<br />
撹乱幕を使っているせいで、こちらのビームも使えない。今私には、ヒートナタ以外に武装は無いも同然なのである</p>
<p><br />
ドンッ!</p>
<p><br />
さっき私のザクレロを攻撃して、そのまま慣性に任せて流れていったジムが四散する。<br />
「支援役が支援されては意味がないぞ」<br />
「カリウスさん!」<br />
カリウス伍長のリックドムが見越し射撃を行ったのだ。気付けば敵の攻撃が多少落ち着いて来ていた<br />
「・・・敵の限界か?」<br />
少なくとも今まで乱戦であったが、比較的優位にジオンは戦いを続けていた。戦闘というものは、崩れだせば早い。勝つにしても負けるにしても<br />
「だと、良いのですが」</p>
<p> </p>
<p> </p>
<p>私達はこの時知るよしもなかった。連邦がドロワを撃沈した事で戦力の再編を行い、再びSフィールドへと襲いかかろうとしていた事も。<br />
そして運命の銃弾がジオンの最高指揮権者の頭脳を貫いていた事で、それに対応すべき方策を放棄してしまっていた事も・・・</p>

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