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*北欧神話風・設定


173 :創る名無しに見る名無し:2008/12/24(水) 04:19:58 ID:4g42arfF

神々が殺した巨人、ユミル。 
ユミルの屍はあまりに大きく、それは蛆に食まれ、いつしか大地となった。 
ユミルの腐肉を食み大地を創製した蛆に、神々は人の形を与えた。 
齢三つで大人となり、齢七つで老人になる、その珍奇な種族は個々の名前を持たず、全員まとめてドゥワウフと呼ばれる事を好んだ。 
ドゥワ(耕す)・ウフ(人)とはよく言ったものだ。彼らは大地を愛し、地下に住む事を好んだ。 
彼らは、何故か一切の神秘術を使えなかった。身体自体が神に与えられた神秘術の結晶であることが原因だ、そう彼らは考えている。 
矮矯な体長と頑健で強靱な体を持つ彼らは、神秘術が使えない替わりに、異常なまでの剛力と叡智の種族・エルフを凌ぐ手先の器用さを得た。 
やがてドゥワウフは大地の深く昏い底から、先祖が食べ残したユミルの血溜りを見つけた。 
大地に流れる黒い血を、ドゥワウフはOILと呼び、神秘術をも凌ぐような不可思議な練成術を編み出した。 
鉄より硬く樫より軽い武具。腱より切れず髪より細いロープ。絶対に割れない器。 
ドゥワウフが造るそれらは、エルフが神秘術を駆使して造り上げる品々にも匹敵した。 
エルフは元々、ドゥワウフが大地を成し地球を形作った時に、神々が監理者として措置した種であり、地球とその記憶を同じくしていた。 
地球と同じだけの知識を持つエルフ達だが、ドゥワウフの練成術をユミルの血液の色にちなんで黒魔術と呼び畏怖した。 
地球の知識に於いても、地球に成り損なったユミルの血を知る理りは無かったのだ。 
エルフはドゥワウフに黒魔術の使用を止めるように勧告したが、ドゥワウフは応じなかった。 
エルフは神秘術を使い、ドゥワウフに制裁を与えた。 
剛雷が打ち鳴り、大雨が郷を沈め、地割れが大地ごとドゥワウフを埋ずめた。 
ドゥワウフは激憤し、エルフに、最強の猛毒を持った鉱物を投げ付けた。 
ドゥワウフは、神の設計図を狂わす、恐るべき鉱物を見つけていたのだ。 
地球の知識にも或るその鉱物は、エルフにも充分過ぎるほど恐ろしさがわかった。 
ドゥワウフはその鉱物を砕いては投げ、掴んでは投げた。 
鉱物に一度でも触れたドゥワウフは、激しい眩暈に襲われ、ざばざばと嘔吐し、それでも鉱物を投げて、命が尽きるまでエルフに鉱物を投げ続けた。 
鉱物に一度でも触れたエルフは、激しい眩暈に襲われ、ざばざばと嘔吐し、それでもドゥワウフに神秘術を使い、命が尽きるまでドゥワウフを殺し続けた。 
エルフもドゥワウフも戦いの果てにヴァルハラへとエイルヘリアルとして招かれ、とこしえに殺しあい続けた。 
片目欠きのオーディンに、ドゥワウフは猛毒の鉱物で造ったグングニルを献上した。 
生き残った者達の間にも戦いは何千年も続き、エルフにもドゥワウフにも、神の設計図が狂った者が多数生まれた。 
エルフは狂った者を排斥した。 
ドゥワウフは狂った者を排斥した。 
設計図の狂ったエルフの女を、設計図の狂ったドゥワウフの男が襲った。 
教育も何も成されていない狂ったドゥワウフは、始め、狂ったエルフの女を殺して食べようとした。 
狂ったエルフの女は、断片なりとも地球の知識を持っていたので、男と女の営みについてしっていた。 
狂ったドゥワウフをなだめ、誘ない、彼等は営みの快楽を知った。 
狂ったエルフは狂ったドゥワウフの子を身籠もった。 
狂いに狂った設計図は神の手を完全に離れ、監理はもはや不可能となった。 
ドゥワウフは狂い、禁断の果実を食べてしまった。 
楽園は快楽の瞬間だけあらわれ、追い出されるどころか、一秒か二秒、瞼に写るだけであった。 
もっとも、一秒か二秒のために、今も、営みは続いているのだが。 

〈了〉

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